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【日光市】松屋敷の夏・特別展~想いをつなぐ七夕と着物のストーリー~ 8/13まで開催中

フルリーナYocトラベル・グルメライター/音楽講師/作詞家(日光市・鹿沼市)

金谷家ゆかりのお屋敷・松屋敷で「松屋敷の夏・特別展~想いをつなぐ七夕と着物のストーリー~」が、8月7日より13日まで開催されています。金谷家ゆかりの緑美しい名庭園・五角堂・お屋敷で、日本各地に伝わる七夕のしつらいと風情を愛でながら、涼やかな風に吹かれて心安らぐひと時を過ごせます。併せて屋内では、婚礼衣装や婚礼用品、アート表装の作品も展示。五角堂では抹茶とお菓子も楽しめます。この夏おすすめのイベントです!

「旧暦七夕のしつらい」涼やかなる日本の夏の風情

今回の特別展では、日本の暦や年中事と楽しむ暮らしを提案するコミュニティ「いとよし」と松屋敷が、共に庭園・五堂・1Fにてさまざまな七夕のしつらいを展示しています。

日々の喧騒の中で、七夕の風情を楽しんだり、移ろいゆく四季のひと時を愛しむ・・・そんなひと時を過ごすことも少なくなっててしまった筆者ですが、今回の特別展は、とても心に響くものがありました。

七夕の様々な横顔

七夕というと織姫と彦星にまつわる星まつり・・・短冊に願い事を書いて笹の葉につるす七夕飾りを思い浮かべますよね。しかし実は他にもさまざまに意味を持つ行事であることを、今回の特別展では楽しみながら知り、体験することができます。

たとえば、松屋敷の玄関先や庭園に飾られている「七夕馬」。あれ?これ、お盆に飾る馬に似ているなあ、と思い、スタッフの方に聞いてみたら、七夕はお盆とのつながりもがあるのだそうです。

五角堂には五色の吹き流しが飾られています。この五色は、青(緑)が木、赤が火、黄が土、白が金、黒(紫)が水を表しています。また、この五色には魔除けの意味もあり、短冊や吹き流しにもこの五色が使われています。

展示されている「七夕のしつらい」の近くには、その由来や歴史、意味などの説明パネルが置かれています。庭園の美しい緑に吹きそよぐ風の涼やかさ、水辺や木の葉の中に遊ぶ光を楽しみながら、ひとつひとつの「しつらい」の由来や意味を知っていくのは、なんと心地よく楽しいことでしょう!

通常は非公開のお屋敷の中も見学できる! 松屋敷1F/2Fの展示

「松屋敷」は、金谷ホテル二代目社長・金谷眞一が、病弱な次女・雪子のために用意した屋敷です。眞一は、実弟の山口正造(富士屋ホテル3代目社長)と共同で所有していたこの地に、金谷ホテルの敷地内にあった家屋を移築。雪子はこの屋敷で療養し、健康を取り戻し、やがて敷地内で乳牛を飼い酪農を始め、金谷畜産部として牛乳やバターまでも手掛けていきました。

松屋敷の名の由来となった赤松林の中には、明治時代後半から昭和20年代まで、金谷ホテルに電気を送っていた、自家水力発電施設の跡も残っています。

金谷家の病弱なお嬢さん・雪子が生き生きと暮らし働いた「松屋敷」。そのお屋敷の1F玄関が今回の特別展示の受付となっています。

玄関から靴を脱いで屋敷に入ると、1Fには織姫にちなんだ糸車や糸巻きや、さまざまな七夕のしつらいも展示されています。

2Fには、昭和20~40年代に仕立てられた、婚礼衣装や結納品も展示されています。

婚礼衣装や結納品などが展示されている部屋に続くスペースでは、「アート表装」の展示もされています。アート表装は、かつて大切にされていた着物や帯、時代裂(茶の湯で使われた絹織物)を使い、掛軸や屏風として生まれ変わらせたもの。 考案者である松田芙未子先生の作品も多数展示されています。

日本各地に伝わる「七夕のしつらい」も

展示の中には、日本のある地方に伝わる「七夕のしつらい」も。
こちらの展示物は、熊本県八代市と芦北町に伝わる「七夕綱」。集落の入口などに綱を張り、藁製の人形や履物、農具などの藁細工を吊るしたものです。長い一本綱は川を挟んで張られる場合が多く、松屋敷でも水辺を利用して展示しています。

この可愛らしい紙の人形は、山梨県に伝わる「オルスイ」さん。袖の裾が丸い方が女性、角ばった方が男性だそうです。この紙人形はその名の由来が面白く、七夕が終わると紙に包んでタンスの中などに保管されるため、家の人が出かける「留守」でも「居る」から「オルスイさん」、というのだそうです。

松屋敷の笹飾りに参加してみよう

七夕の様々なしつらいや展示物を楽しんだら、ぜひ笹飾りにも参加してみてください。

五色の短冊の中から、好きな色の短冊を取って願いを書きます。

自分の願いに合った色を選んでくださいね。

書き終わったらたら、きるだけ高いところに短冊をつるしましょう。

会期中、五角堂ではお抹茶とお菓子も楽しめる!

会期中は、11:00~14:00の間、五角堂にてお抹茶とお菓子を楽しめます(500円)。

私たちも、絵のように美しい水辺を目の前に、魔除けの五色の吹き流しが揺れる風に吹かれて、心やすらぐお茶の時間を楽しみました。

わたしのピンクの「おひがし」は蟹、母のおひがしは金魚でした。可愛らしいおひがしも、お抹茶も、とってもとっても美味しかったです!

かつて療養中だった雪子が、ここから庭を眺めていたという五角堂。
雪子を元気にしていった清らかな空気と爽やかな風を感じながら、魔除けの五色の吹き流しの下で楽しむ風雅なお茶席。ぜひ、楽しんでみてください。

喧騒を離れた日光の穴場散策スポット

松屋敷は世界遺産日光の社寺にほど近い高台にあります。
観光局でにぎわう日光の観光エリアからほんの少し離れただけなのに、静寂に満ちた、涼やかで美しい場所です。この旧暦の七夕の季節、「松屋敷の夏・特別展」に足を運んでみてはいかがでしょう。特別展を見終わったら、ぜひ池泉庭園と、屋敷の名の由来となった赤松や様々な木々の木陰も散策してみてくださいね。

松屋敷の夏・特別展~想いをつなぐ七夕と着物のストーリー~
開催期間:8月7日(月)~13日(日) 
開園時間:10:00-16:00(最終入園15:30)
入場料:大人500円 学生250円(特別展場を含む)
※会期中は五角堂にてお茶席を設けます(11:00 - 14:00 お抹茶とお菓500円)
HP:松屋敷HP
アクセス:【タクシー】東武日光駅、JR日光駅から約5分
      【バス】中禅寺・湯元方面行き〔「神橋」停留所より徒歩約15分。
       【車】日光宇都宮道路・日光インターから約2.5km。
※カーナビを利用の場合は、目的地を「ホテル高照」に設定。「松屋敷」の住所、電話番号を入力しても正確な道順を示さないのでご注意ください。いずれの場合も、梅屋敷旅館・ホテル高照を目指し、その入り口を入り直進約150m先突き当りです。
駐車場:あり(4~5台)+臨時駐車場あり
※隣接する梅屋敷旅館・ホテル高照の駐車場は利用できません

トラベル・グルメライター/音楽講師/作詞家(日光市・鹿沼市)

自然と美味しいものが大好きな食いしん坊。宇都宮在住ですが、ばばちゃまをのせた車いすを押して、大好きな日光&鹿沼あたりにあちこち出没しています。Yahooエキスパート、たびハピ、日光市公式観WEB日光旅ナビ、いちご大学などに寄稿しています。

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