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スパークリングワインの種類:それはシャンパンじゃないですよ!

縁いろのワインJ.S.A.WINE Expert/SAKE Diploma

ワインは、基本的な知識があるだけで、より一層飲むのが楽しくなります。

「縁いろのワイン」では、ワインの知識向上に役立つ情報を発信しています。

今回のテーマは「スパークリングワインの種類」。

それはシャンパンじゃないですよ!

ワインあるあるなのですが、発泡性のワインのことをどれでも「シャンパン」と呼ぶ方とても多いです。

シャンパン(シャンパーニュ)は、フランスのシャンパーニュ地方で造られ、フランスのワインの法律で定められた条件をすべて満たしたスパークリングワインのことなのです。

同じフランスのシャンパーニュ地方以外の地域で造られたものはもちろん、イタリアやスペイン、その他の国で造られたスパークリングワインは、シャンパンではありません。

フランスのスパークリングワイン

フランスでは、発泡性ワインのことを総称して「ヴァン・ムスー」と呼びます。

フランス語でヴァン(Vin)はワイン、ムスー(Mousseux)は泡という意味です。

シャンパーニュ地方で作られる発泡性ワインは「シャンパーニュ」、それ以外のものは「ヴァン・ムスー」と呼ばれます。

シャンパーニュ

シャンパーニュは、前述しましたがシャンパーニュ地方で醸造された発泡性ワインです。

シャンパーニュ地方は、パリから電車で2時間余り、フランスの北東部に位置するワイン産地。

シャンパーニュに用いられるぶどうの品種は「ピノ・ノワール」「ピノ・ムニエ」の黒葡萄2種と白葡萄の「シャルドネ」の3種類です。

 この3品種をブレンドして造られたものの他、白葡萄のみで造られた「ブラン・ド・ ブラン」、黒葡萄のみで造られた「ブラン・ド・ノワール」があります。

シャンパーニュの製法の特徴は「瓶内二次発酵」にあります。

 シャンパーニュ独特の繊細な “泡”はこのプロセスによって生まれるのです。

 アルコール発酵は『酵母の働きにより、葡萄の糖分がアルコールと二酸化炭素CO2 に変わる化学反応』 ですが、これを瓶の中で行うことにより、発生したCO2をボトルの中に閉じ込めて発泡性のワインに仕立てあげるわけです。

クレマン

クレマンは、シャンパーニュ地方以外の産地で、シャンパーニュと同じ製法を用いて作られた発泡性ワインです。

シャンパーニュと遜色のないキメの細やかな泡立ちや繊細さが特徴です。

シャンパーニュよりもリーズナブルな価格で本格的な味わいが楽しむことができます。

イタリアのスパークリングワイン

イタリアの発泡性ワインは、総称して「スプマンテ」と呼ばれています。

イタリアでは炭酸ガスの強さで区分されており、3気圧以下の弱発泡性ワインや半発泡性ワインを「フリッツァンテ」、赤の弱発泡性ワインを「ランブルスコ」と呼びます。

プロセッコ

プロセッコは、イタリアのヴェネト州で造られる発泡性ワイン

プロセッコは、大きなタンク内でまとまった量のワインを短期間で仕込む密閉式タンク方式という製法で造られています。

ブドウ本来の香りを邪魔するものが一切ないフレッシュ&フルーティーな味わいで、シャンパーニュの特徴であるパンのような香りはありません。

プロセッコに使用することが認められているブドウは主要品種のグレラ(最低85%)、グレラ・ルンガ、ヴェルディゾ、ペレラ、ビアンチェッタ(最大15%まで)といった土着品種。

その他、シャルドネとピノ系品種をブレンドすることが認められています。

飲み会での「とりあえずビール!」は、イタリアでは「プロセッコ」と言っても過言ではないくらい、日常的なお酒なんです。

フランチャコルタ

フランチャコルタは、イタリアのロンバルディア州フランチャコルタ地方で造られる発泡性ワイン

シャンパーニュと同じ瓶内ニ次発酵方式を採用していますが、法定熟成期間はシャンパーニュの15ヶ月よりも長い最低18ヶ月。

使用が認められているブドウの品種は、シャルドネ、ピノ・ネロ(ピノ・ノワール)とピノ・ビアンコ(上限50%)です。

イタリアの奇跡と賞され、「人生の喜びに満ちている」と表現される上質な発泡性ワインです。

ランブルスコ

ランブルスコは、イタリアの主にエミリア・ロマーニャ州で造られている発泡性ワインです

ブドウの品種は、ランブルスコ・ディ・ソルバーラ、ランブルスコ・サラミーノのなどのランブルスコ種。

赤の発泡性ワインが有名ですが、スティルワイン(赤・白)も造られています。

リーズナブルな価格で楽しめるため世界的に人気です。

その他スプマンテ

  • オルトレポー・パヴェーゼ:ピノ・ネロ主体のロンバルディア州のスプマンテ
  • アスティ:モスカート・ビアンコという品種から造られる甘口スプマンテ。ピエモンテ州のアスティ県、アレッサンドリア県、クーネオ県の3県のみで造られています。
  • トレント:トレンティーノ地方で造られる高級スプマンテ。ブドウ品種は、シャルドネ、ピノ・ネロ、ピノ・ビアンコ。

スペインのスパークリングワイン

スペインでは、発泡性ワインのことを「エスプモーソ」と呼びます。

ただ、カタルーニャ地方でシャンパーニュと同じ製法で造られる「カヴァ(Cava)」のほうが馴染みがあると思います。

Cavaは、カタルーニャ語で「セラー」、ワインを熟成させる洞窟(Cave)に由来しています。

販売本数では、プロセッコ、シャンパーニュと並んで、世界3大スパークリングワインの一つです。

カヴァに使用が認められているブドウ品種は下記9つ。
※特に主要な品種は、チャレッロ、マカベオ、パレリャーダです。

<白ブドウ>

・チャレッロ

・マカベオ

・パレリャーダ

・シャルドネ

・スビラ・パレン

<黒ブドウ>

・ガルナッチャ

・モナストレル

・トレパ

・ピノ・ノワール

ドイツのスパークリングワイン

ドイツの発泡性ワインは「シャウムヴァイン(Schaumwein)」と呼ばれます。

実は、ドイツはスパークリングワインの消費量が世界一と言われています。

そんな消費大国ドイツにおける発泡性ワインの代名詞と言われるのが、「ゼクト(Sekt)」です。

ゼクトは、生産国や生産年など異なるワインをブレンドしたベースワインを用いることができる発泡性ワイン。

下記の4種類があります。

■ドイチャー・ゼクト(Deutscher Sekt)

ドイツ国内で、ドイツ産のベースワインから生産される

■ゼクト b.A.(Sekt b.A.)

13の特定生産地域で生産された“クヴァリテーツ・ヴァイン”から生産される

■ヴィンツァーゼクト

個々の醸造所の個性ある製品で、伝統的な醗酵法を経て生産される

■クレマン(Crémant)

ゼクトb.A.のカテゴリーに属する製品で、厳しい規定(収穫は手作業、圧除梗せずに丸ごと房を圧搾する、150kgの収穫から得られる果汁は100リットル以下など)を満たした場合に認められる

ブドウ品種は、リースリング、ピノ・ノワール、シャルドネの他、中世から19世紀ごろまで広範囲で栽培されていた土着品種であるエルプリングが再注目されています。

製法については、下記4つの方式が認められています。

■トラディショナル方式

シャンパンや高級スパークリングワインに採用されている製造法(高品質)。

■トランスファー方式

トラディショナル方式を一部簡略化した方式。

■シャルマ方式

大きなタンクで二次発酵を発生させる方式(低コスト)。

■田舎方式

発酵途中のワインを瓶に詰めて、残りの発酵を瓶内で継続させる方式。

まとめ

  • シャンパン(シャンパーニュ)は、フランスのシャンパーニュ地方で造られた発泡性ワイン
  • イタリアの発泡性ワインの総称は「スプマンテ」
  • スペインの発泡性ワインの総称は「エスプモーソ」だけど、有名なのは「カヴァ」
  • ドイツの発泡性ワインの総称は「シャムバイン」だけど、有名なのは「ゼクト」
  • 上記以外の発泡性ワインは「スパークリングワイン」

とにかく、「スパークリングワイン」と言っておけば、間違いじゃないのです。

それぞれのおすすめスパークリングワインはこちらで紹介しています。

最後まで読んでいただきありがとうございました。

J.S.A.WINE Expert/SAKE Diploma

2016年日本ソムリエ協会認定J.S.A.ワインエキスパート取得。2017年日本ソムリエ協会認定J.S.A.SAKE DIPLOMA取得。ワインにハマったきっかけは漫画「神の雫」。以来その奥の深さに魅了されました。ワイン歴18年の知識と経験で、わかりやすくワインの楽しみ方を伝えます。

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