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神戸のB面「新開地」を楽しむ秘訣を知りたくば、おっちゃんの行動を見よ【神戸市】

Hinata Yoshioka旅するフォト&ライター(神戸市)

神戸観光といえば元町・三宮界隈を思い浮かべますが、マニアックに観光したいならおすすめするのが新開地。もちろん神戸っ子ならご存知ですよね。この日はそんな神戸のB面、新開地へ散歩に行ってみました。

新開地の駅から商店街へ出て、歩き始めた途端におっちゃんの洗礼を受けることに…私の方へまっすぐ寄ってきて大きな声で「日本国民は~」と語りかけ、何事もなかったかのように去って行きました。

そう、新開地といえばおっちゃん達の聖地。いわば先住民です。あまり怖がらずに、何ならリスペクトしてその生態を覗きつつまち歩きをすることで、意外に楽しく過ごせたりします。

ここはおっちゃん達の遊び場であって、彼らは新開地の良さを隅々まで知るプロフェッショナルといったところ。「郷に入っては郷に従え」ですね。

早速、おっちゃんがいそうな立ち食い寿司屋に入ってみることに。店内に入ると、カウンター席と奥にテーブル席が3つほど。もちろん椅子はなく、おっちゃん達がビールを飲みながらお寿司を立ち食いしていました。

赤出汁とお寿司がこれだけ付いて600円。ランチ時のサービスメニュー
赤出汁とお寿司がこれだけ付いて600円。ランチ時のサービスメニュー

店内の有線で中島みゆきが流れた後に、坂本龍一&忌野清志郎の「いけないルージュマジック」が流れてキュンとしてしまったのですが、人生の達人のおっちゃん達とここで立ち食いしながら聞いているとどこか世の中を達観するかのような気分にもなります。これぞ新開地マジック。

ほんのり漂うタバコの匂いも懐かしく、串カツや天ぷらの注文を書き込む細長い紙と鉛筆を前に眺めながら、お寿司を口いっぱいに頬張りました。

店を出て、ゆるい傾斜のある商店街を登っていきます。新開地寄席はこの日もやっていました。落語や芝居小屋があるのも乙(おつ)なもの。今でも盛んに行われている様子が嬉しいですね、そのうち入ってみようと思います。

この近くには有名洋食店の「グリル一平」があったり、小腹が減ったらたこ焼き、立ち食いうどんなどもあります。しかもリーズナブルなので気軽におやつ感覚で入れる感じが良い。最近はお洒落なお店もちらほら見かけるなど、もう昔のままのイメージではありません。

新しくなった湊川公園は、スッキリさっぱりした雰囲気
新しくなった湊川公園は、スッキリさっぱりした雰囲気

正直、以前は街中に少し重みのある雰囲気も残っていました。私が新開地の喫茶店で早朝バイトをしていた学生の頃、通勤途中で「ねーちゃんおはよう」と道端に寝っ転がった酔っ払いらしきおっちゃんが声をかけてきたり。

だけど、私は怖い思いをしたことは一回もなかったし、おっちゃんという人達はどこか愛らしい存在でもあります。そして新開地はとても自由な雰囲気でもあり、かなり前から多様性は確立されている様子。言ってみれば最新の街。

パルシネマという映画館も健在です。昔、香港の裏社会や怪しい夜の街が出てくるような映画を観に行ったことがあるのですが、映画が終わって外に出た時の街のカオスっぷりがあまりに凄くて、今見た映画がふっ飛んだというのも笑える思い出です。

異彩を放っていたストリップ劇場も今はもうありません。小綺麗な街になり過ぎてちょっと寂しい気持ちにもなりますが、所々にまだディープな気配も残っているのでそれを探す楽しみがあるように思います。

探索してみると面白い物を発見できる街、新開地。「おっちゃんがいそうな場所に宝物あり」かもです。新開地、その世界はおっちゃんの好きなものであふれていました。

とは言え、明らかにヤバそうな場所へ入ったり夜道のひとり歩きなどは控えましょうね。それは新開地でなくてもどこでも同じことが言えます。どうか、楽しめる範囲内で。

行きたいけど、もし土地勘もなく不安であれば「新開地ファン」というWebサイトでイベントチェックしたり、「上方落語鑑賞と喜楽館のバックステージ見学、下町ランチの3つの体験」ツアーなど、企画に合わせて行ってみては。

神戸のB面、新開地の面白さは行ってみないとわかりませんよ。友達を誘ってレッツゴーです!

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神戸、新開地

旅するフォト&ライター(神戸市)

旅なしに人生は語れない、ノマド系フォトライター。国内から世界各国まであちこち歩きまわって取材する、体当たりレポートを得意とする。趣味は美味しいもの食べ歩き、料理、音楽、ダンス、ものづくり、イベント企画などなど、気になる物には何でも手を出してしまう。南国気質で、とにかくマイペースな自由人。

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