【白井市】白井市内に唯一残る「今井の水塚」は、水害の歴史と先人の知恵を伝える貴重な文化財
白井市北部の今井地区には「金山落し」と呼ばれる水路があります。
「金山落し」の両側の土手に植えられた約280本もの桜並木は「今井の桜」として白井市の花見の名所にもなっています。
その近くにある、こちらの民家の敷地内にひと際高く盛られたところに建つ蔵。
近くに行ってみたところ、「白井市指定有形民俗文化財 今井の水塚」という表示柱が立っていました。
こちらのお宅の方が庭先にいらっしゃったので水塚についてうかがったところ、江戸時代、手賀沼に排水設備ができるまではこの辺りは水はけが悪く、大雨が降ると手賀沼が度々氾濫し水害が起こっていたのだそうです。
その為、家の敷地よりも一段高く盛土し、その上に建物を建て、洪水が起こった際には家財道具を持って避難するために造られたのがこの水塚なのだそうです。
水塚を裏手側から見ると、他の建物よりだいぶ高いところに建てられているのがよくわかります。
度重なる手賀沼の氾濫に対し、後に排水路として整備されたものが前述の水路「金山落し」なのです。
水害の無くなった現在では、こちらの水塚は物置き倉庫として使われているだけなのだそうですが、昔のままの姿をしっかり保存されているのですね。
また、近くに「今井の水塚」の説明板があると教えていただいたのでそちらも見に行ってみました。
それによると、「金山落し」沿いに11カ所水塚が現存しているようです。
そのうちの7基が白井市指定有形民俗文化財に指定されているとのこと。
水塚は、千葉県内では関宿町・印西市・栄町・本埜村などの利根川下流域にみられるそうですが、白井市内ではこの今井地区だけに残るもののようです。
「今井の水塚」は、昔の水害の歴史と、先人の生活を守るための知恵と工夫を今に伝える貴重な文化財なのです。
「今井の水塚」
- 所在地:千葉県白井市今井40
- ※個人宅のため、敷地内の見学は許可をいただいてください。