Yahoo!ニュース

マタニティブルーは心の病気なの?私は弱い人なの?

理学療法士/ケイシー理学療法士、骨盤底筋指導士、マタニティヨガインストラクター

こんにちは。

最近少しずつですが朝夕は涼しくなってきました。

今年こそ気兼ねなく大好きな温泉に行きたい!

願わずにはいられない飯田かおりです。

今日は、マタニティブルーについて

お話していきます。

マタニティブルーについて

あなたや周りの人は

どのように考えていますか?

マタニティブルーの女性に対し

「ストレスに弱い」「メンタルが弱い」

そういう人がなるもの。もしくは、

「大げさ」「子供が可愛くないんだね」

などと感じる人もいますでしょうか。

実は、マタニティブルーはどんなに

心が強いポジティブモンスターのような

女性でも、なります。根性論では

どうにもならないもの、それが

「マタニティブルー」なんです。

マタニティブルーとは

マタニティブルーとは、

産後すぐ~10日程度に生じる

一過性の情緒不安定な状態のことをいいます。

これは、自然と回復するケースがほとんどですが

長引くと「産後鬱」という疾患に移行する

可能性があります。

ではなぜ、マタニティブルーが

起こるのでしょうか。

それを説明するにあたり、産後の女性の

身体の状態についてお話します。

基本的に産後2か月の間を「産褥期」といいます。

女性の身体は、赤ちゃんを生んだら

「はい、お疲れー!」とすぐに

元通りになるわけではありません。

赤ちゃんの通り道である膣や骨盤周囲は

物理的にぼろぼろの状態となり、妊娠後

100倍にも膨らんだ子宮はぎゅーーっとした

痛みとともに徐々に元の大きさに戻ります。

(これを後陣痛といいます)

そして出産後に子宮に残った不要なものは

悪露(おろ)となり体外に出されます

赤ちゃんを育てるために必要だった

血液量や女性ホルモン、各臓器の働きも

ゆっくりと戻っていきます。

出産は奇跡ですが、女性のカラダに残る

傷跡は奇跡のように消えてはくれず

現実のものとして女性を疲弊させます。

また、ここで起こる変化で重要な変化が

女性ホルモンの変化です。

妊娠中は母体を満たしている女性ホルモンですが

出産とともにほぼ0にまで激減してしまいます。

女性ホルモンは、女性の髪や肌のつやを保ったり

精神的に安定させる作用があります。

これが急激に失われることで

産後の抜け毛や肌荒れ、そして

精神を安定させるホルモンを

失ったことによりメンタルのジェットコースターを

体験します。

これが、マタニティブルーの大きな原因の一つです。

いいですか?

ただでさえ、膣には傷ができ、骨盤周囲は

子供を通すために大きく開き肉離れの大けが状態、

身体の節々は痛み全身疲労困憊です。

そこに、新たな命を迎え

待ったなしの緊張感のある育児がスタート。

さらに、髪も肌もぼろぼろで

悪露で血は出るし、後陣痛でお腹は痛い。

加えて女性ホルモンの急激な低下により

精神状態が不安定となります。

これ、余裕でいられるほうがおかしい気が

してきませんか?(笑)

「私なんでこんなにだめな母親なの」

「なんでこんなに精神が弱いの」

いいえ。これは

女性ホルモンの急激な変化に伴う

「正常な身体反応」なんです。

そして、生理が戻り女性ホルモンが

戻るにつれて徐々に精神状態も

安定してきます。

この「マタニティブルー」という現象を含む

産後の不調は避けられません。ですが人は、

予測できることが起こったときには

知らずに起こったときよりも

冷静にその事象と向き合うことができます。

もし産後に、

「なぜか涙が出てしまい、どうしようもなく

イライラしてしまう、不安になってしまう!」

といったときに、知識が少しあるだけで

「あぁこれが例のあれか!!」と、自分を

少し俯瞰して見ることができるんです。

もちろん、たとえ知識としてはあっても

自分で対処するには限界があります。

精神的にも身体的にもボロボロの、

産後の自分にそんな自分をケアできるのか

と聞かれたら、正直難しいと思います。

なので、産後に迎える不安定さに対し

私のおすすめの対処法は

「妊娠中、もしくは妊娠前から

夫婦・家族で話しておくこと」です。

妊娠中は、女性ホルモンで身体は

満たされており身体もまだ無傷な状態なので

落ち着いて話をすることをしやすい時期です。

その時期に、

私のこのブログを旦那さんには読んでいただき(笑)

産後の家事のことや、

どんなことをしてほしいか、

ほっといてほしいのか、優しくしてほしいのか

おいしいものを買ってきてほしいのか(笑)

冷静な頭でいられるうちに計画を立てて

おくことがとても大事だと思います。

そしてどうしても仕事で手助けをできないのであれば

家族の協力や家事サポートなど、助け舟を

用意しておくこと。

そういった準備が結果的に

夫婦を、そして家族を救うことになると

私は考えています。

昨今は「産後クライシス」と呼ばれる

産後数年の間に夫婦仲が急激に悪化する現象が

取り上げられることも増えています。

二人で愛を築き、育んで、ようやく

宝物のような我が子を迎えたのに

そんな結末は正直すごく悲しいなと

思ってしまいます。

なのでどうか

「産後考えたらよくね?」と後回しにせず

心に余裕のあるうちに、面倒くさがらずに

話してほしい。そしてそれを、聞いてほしい。

そういう機会をちゃんと作ってほしいと思います。

産後のママは、

イライラをぶつけることがあるかもしれません。

急に不安で泣き出しちゃうかもしれません。

でもどうか孤独にしないで寄り添ってほしい。

そして新米パパの家での仕事ぶりは

お粗末な家事かもしれない。

全然気が利かないで「なんで!?」なことを

しちゃうかもしれない。

でも、どうか今は許してあげてほしい。

きっとそれを怒ろうとすると

産後の不調や不安定さが上乗せで

不必要な圧で怒ってしまうから。

コントロールできない産後の不安定さは

許してもらい、助けてもらい

逆に家事がお粗末で気が利かないとしても

許し、とにかく自分の回復に努めること。

そして、徐々に女性ホルモンが戻ってきて

落ち着いてからまた、改善について

話し合っていくこと。

それが、マタニティブルーを含む

産後のメンタルジェットコースターを

乗り切る方法なのではないかと考えます。

読んでくださってありがとうございました!

理学療法士ケイシーより

愛をこめて

理学療法士、骨盤底筋指導士、マタニティヨガインストラクター

病院で理学療法士をしているケイシーです。【理学療法士とは】Physical Therapist(PT)ともよばれます。主に体に障害を負った人をリハビリし日常に送り出したり、運動の指導、体のメンテナンスなどをする仕事です。ケイシーは現在、【妊娠中や産後の女性の体のケア】と【入院中の患者様のリハビリ】【予防医学】を専門としています。ここでは、病院で働いてるからこそ話せる小話や、心と体を健やかに保つことの大切さ、日常生活に役に立つ医学情報などについてなどざっくばらんにお話ししていきます。

理学療法士/ケイシーの最近の記事