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「女性の心が弱い」は本当!?その意外な理由研究結果から分かった事実を専門家が分かりやすく解説

理学療法士/ケイシー理学療法士、骨盤底筋指導士、マタニティヨガインストラクター

理学療法士ケイシーです。

私は普段から女性についての文献を
読み漁るのが好きなんですが
最近面白い文献と出会って、
「へぇー!!」と
考えるきっかけになったので
今日はご紹介いたします。

結論から言うと

「女性は心が弱い」「繊細だ」
といわれることがありますが、
これは事実です。

あらゆる研究で、証明されています。

でも、その弱さにはちゃんと合理的な
理由があります。

「脳におけるエストロゲンの

見えざる作用」という文献において

一般に女性は男性に比べ不安や恐怖に
対する感受性が高く、不安状態や
鬱状態に陥りやすいとされています。
引用文献

そのため女性は、不安障害、うつ病、
心的外傷後ストレス障害(PTSD)、
パニック障害などの発生リスクは
男性より高いんです。

これには、

女性ホルモンのエストロゲンの
作用が大きくかかわっています。

エストロゲンとは

エストロゲンは卵巣から出るホルモンで
排卵を促すホルモンであり、
生理後は増え、生理前~生理中は
減少します。

また、このエストロゲンは産後と
閉経前後の2つのタイミングで
急激に減少する特徴があります。

エストロゲンには、

生殖機能を保つほかに
肌や髪に潤いをもたらしたり、
代謝を上げてくれる、
骨を強く保ってくれる、など
女性にとって良い効果がたくさんあります。

産後の肌荒れや抜け毛は
このホルモンの減少が
関わっているんです。

実はそれ以外にエストロゲンには
「恐怖」や「不安」、
「うつ状態」を抑制するといった

精神的な安定化作用があることが研究により
明らかになっています。

女性に「安定」をもたらすホルモンが
生理周期やライフイベントによって
変動する、この《揺らぎ》によって
女性の精神状態は安定しづらくになります。

生理前や産後、または更年期に
精神的に不安定になることを
経験した方はいないでしょうか?

精神的に安定している人と自分を比べて
「私は弱い人間だ」と落ち込んだことが
ある方はいないでしょうか?

実際に
エストロゲンが少ない女性のほうが
PTSDになりやすい

■生理前や産後、閉経期に
うつ病の発症リスクが高い

■女性の自殺企図は生理期に多い

ということが研究により分かっています。
このような方は、性格云々の問題ではなく
体質的にエストロゲンの変動に対する感受性が
強いことが考えられます。

ではなぜ、女性はこのエストロゲンという
女性特有のホルモンの影響を受け、
不安や恐怖体験に敏感になってしまうのか?

私たちの進化と精神の関係

これは、我々の「進化論」から説明できます。

かつて男は、
身の危険を冒して食材を確保したり
集団を外敵から守る役割を負っていました。

つまり男は
危険に敏感だと社会的役割を
全うできなくなるためある程度
鈍くある必要がありました。

一方で女性は、
子供を産み育てるという点で
種の維持に重要な役割を果たしています。

そのため自らの身体を守るために
用心深い脳の構造となってる
と考えられます。

実際に女性は
男性と比較しリスクを回避する
傾向があり、これは生物学的役割や
女性としての体格的弱さといった点から
自らに降りかかる危険に細心の注意が必要
となります。

その結果周囲の出来事に過剰に反応し
不安心理が高まり、精神症状に繋がることが
考えられています。(性別以外にも
関連要因があるため必ずしもこれではないが)

我々女性の身体は、かつてこの世に
生きていた女性たちが、命をつなぐために
神経をすり減らして生きてきた証拠

なんです。

敏感で、不安を感じやすいこと、
それは弱さではなく
生き抜くための術だった。

そう思うと、少し弱さの見え方が
変わる気がしませんか?

役割が変化した現代社会

現代社会においては、
この社会的役割は
大きく異なり、
男女の営みに性差が生じないことも
増え、「男女平等」な世の中になりました。

しかし、今回お伝えしたように
私たちには
生物学的な性差が存在します。

つまり、
不安や恐怖に対する感受性に対し
「女性は敏感」で「男性は鈍感」である
いう可能性があります。

これは、

働き方や育児への関わり方にも影響して
くることが考えられます。

「どうして子供をちゃんと
見てなかったの!?」

と怒られることが多い旦那様、
狩りに出ていた時代の
生物学的な特徴に引っ張られている
可能性があります。

むろん、個々の価値観や生き方だって
影響するので一概には言えませんが(笑)

色んな視点からお互いを眺められるような
ひとつの知識になれば幸いです。

それでは今日はここまで。
ありがとうございました。

理学療法士ケイシー

理学療法士、骨盤底筋指導士、マタニティヨガインストラクター

病院で理学療法士をしているケイシーです。【理学療法士とは】Physical Therapist(PT)ともよばれます。主に体に障害を負った人をリハビリし日常に送り出したり、運動の指導、体のメンテナンスなどをする仕事です。ケイシーは現在、【妊娠中や産後の女性の体のケア】と【入院中の患者様のリハビリ】【予防医学】を専門としています。ここでは、病院で働いてるからこそ話せる小話や、心と体を健やかに保つことの大切さ、日常生活に役に立つ医学情報などについてなどざっくばらんにお話ししていきます。

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