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【上越市】5/13は瞽女さん縁の弁財天ご開帳!奉納演奏あり、高田瞽女のロックな生き様を知るチャンス!

かどまる珈琲と緩いものを愛すWebライター(上越市)

雁木が並ぶ地域に移住して10年、ライターのかどまるです。
突然ですが皆様、瞽女(ごぜ)さんをご存知ですか?
上越の高田地域にお住まいの方なら存在したことはご存知かと思いますが「集団生活をしながら地方を歌と三味線で巡業していた、目にハンディキャップがある女性たち」のことです。

瞽女ミュージアム高田。高田瞽女の最後の親方杉本キクイさんとお弟子さんの写真です。
瞽女ミュージアム高田。高田瞽女の最後の親方杉本キクイさんとお弟子さんの写真です。

室町時代から全国各地にいたとされる瞽女さんですが、高田の場合は幼少期に生まれつきや病気で視力を失った少女が「親方」の家に弟子となることで瞽女唄や三味線の修業をし、農村部を巡業しながら磨き上げた腕前を披露していました。明治時代にはおよそ19軒、100人近い瞽女さんがいたとされ、上越市民なら映像や本で見たことがありますね。

社会福祉と医療が発達した現代ではもういない瞽女さんですが、今回は5/13に瞽女さんの総会だった妙音講と弁財天のご開帳、更に瞽女唄の継承者の横川恵子さんによる瞽女唄奉納があると聞き、今回はそれをご紹介することにしました!

5/13(土)天林寺「妙音講」と瞽女唄奉納

【妙音講】
開催日 2023年5月13日(土)
開催時間 11:00
開催場所 大龍山「天林寺」(上越市寺町3-17-6)
内容 弁財天御開帳と横川恵子さんによる瞽女唄奉納
*参加費無料、駐車場は現地案内あり

【瞽女唄奉納②】
開催時間 14:00
開催場所 瞽女ミュージアム高田(東本町1丁目)
内容 横川恵子さんによる瞽女唄奉納
*参加費 入館料(協力金)一般500円、学生(学生証提示)300円、中学生以下無料
*当日の駐車場は瞽女ミュージアム高田ホームページでご確認ください

【事務局より】広告では「日」曜日と記載されていますが、正しくは「土」曜日です。
【事務局より】広告では「日」曜日と記載されていますが、正しくは「土」曜日です。

芸能の神弁財天は瞽女さんの守り神。
普段は公開されておりませんが、この日特別に公開されます。

瞽女ミュージアムから山麓線方面へ行く途中に天林寺さんがあります。
入口にも同じポスターがありますね!

「妙音講」は高田瞽女さんたちの総会のようなものだったそうですが、そもそも瞽女さんとはどんな女性たちだったのでしょう?
高田が拠点だったのに高田の人たちが案外知らない瞽女さんたち。
それにはいくつかの理由が推測されます。
①現代ではもう存在しないこと
②芸を披露するのは巡業先(農村部)なので高田(街)で披露する機会があまり無かったこと
年間300日巡業していた瞽女さんたち。普段はほとんど高田にはいなかったことになります。でも遠くにいてもこの5/13の妙音講だけは何があっても出席していたそう。

うーん、興味が沸いてきました!
早速「瞽女ミュージアム高田」へ行って瞽女さんについて調べねば!

高田町家らしい「瞽女ミュージアム高田」

東本町にある瞽女ミュージアム高田。元麻屋さんだった町家が使われています。

昭和12年に建てられた国の登録有形文化財です。町家建築がお好きな方も是非!

入口を入ってすぐ土間の部分がショップになっています。
ショップは誰でも利用可能、展示室は有料です。
(今回の画像は全て許可をいただいています。展示室内は撮影不可ものもあるのでスタッフさんにご確認ください)

ショップでは関連書籍やCD、様々なグッズを販売中。

う~ん、書籍気になる!通常の本屋さんには無いラインナップです。

この日は連休に入ったばかりということもあり、お話を聞いている間にもたくさんの来場者が。
皆さん遠くからお越しですね!高田へようこそ。
そしてスタッフの渡辺さん、お忙しいのにご対応ありがとうございます!
早速入館料を払ってお邪魔します!

それにしても立派な町家!
イベント当日、午後の部の瞽女唄奉納2回目はここが会場になります。
普段はこんな風に瞽女さんをモデルにした画家の斎藤真一氏の作品などが展示されています。

見上げると天井の高さにびっくり!2階も展示室になっているので後で拝見します!
まずは瞽女さんについて知らなければ!

日本映画の巨匠による映像も!

「お時間ありますか?よかったら映像資料もご覧いただけますよ」
と、ミュージアムの渡辺さんに映像資料を勧められ鑑賞することに。
この映像、およそ半世紀前に撮影された25分くらいのものですが、なんとあの大島渚監督によるドキュメンタリー!
高田瞽女の最後の親方だった杉山キクイさんとお弟子さんの巡業に密着した貴重映像です。

見ているうちに、
ん…?
なんだかイメージしてた瞽女さんと違う…?

3人1組で連なって巡業していた瞽女さんたち。医療も福祉も今ほど充実していなかった昔、大変なご苦労をされて芸を身につけ、厳しい戒律の中で生きてきました。

でも映像では瞽女さんの演奏時の力強い歌声と三味線の音色が巡業先の人々の涙を誘ったかと思うと、楽しそうに囲炉裏を囲んで踊り出す人、手拍子に合わせて一緒に歌い出す人も映っていてみんな本当に楽しそう。
何といっても、古い映像でナレーションが音割れしているのに対し瞽女さんの歌はしっかりと今でも見る人の心を掴んでいるのが凄い。

そう、我々が勝手に持っていた瞽女さんのイメージと少し違う感じがしたのです。
瞽女さんたちは瞽女になるきっかけは、悲しい出来事ではありますが、こちらが思うような「目が不自由で大変だろうなあ」「不便だろうなあ」という気持ちがある意味、フィルターをかけてしまって瞽女さんの本当の姿を見ていなかったのではと思いました。




戒律と瞽女であることの誇り、生き方がストイックな高田瞽女!

スタッフの渡辺さんにお話を伺いましたので記載します。
映像を見終わると「いかがでしたか~?」と声をかけて下さった渡辺さん。

かどまる「興味深かったです!辛いこともあったけれど、ハンディキャップを上回る瞽女さんたちの姿に驚きました!」

渡辺さん(以下渡辺)
「そうですよね、映像を見ると山道もスタスタと歩いてスピーディですしハンディキャップを持っているのに、と驚きますよね」

「映像を見ているうちに『ああ、自分は瞽女さんたちを違う目で見ていたんだな、全く知らなかったんだな』と気が付きました…。芯がとても強い女性たちだったんですね」

渡辺「そうなんですよ、厳しい戒律の中で皆さんきちんと自立していました」

「芸も凄いですね!歌声も三味線もとにかく力強くてストイック。まるでロックみたい!」

渡辺「映像の中で瞽女さんたちが門付け(玄関先で三味線を披露し来訪したことを伝えること)を再現していたでしょう?あの時、立ちながら三味線を弾くために片足をちょんと段差の上にのせて三味線を固定してるのを見ましたか?」

「見ました!あの弾き方、すごくかっこいい!」

渡辺「でしょう!瞽女の映画を撮影した時は、女優さんも同じようにかっこいいスタイルで演じられています」

三味線を固定するための所作とはいえ、視力を失った女性たちが生きるために磨き上げてきた芸。瞽女としての生き方と芸に引き込まれた瞬間でした。

「でも、高田の人は芸を見る機会が無かったせいか瞽女さんについてよく知らないですよね。巡業先の村のシーンもびっくりしました」

渡辺「そうですね、皆さんの歓迎の様子を見ると楽しみに待っていたことが伝わってきます。でも拠点である高田に不在の日が多くあまり芸を見せる機会が無かったので、逆に高田の人のほうが知らないことが多くて。『知っているよ、お祭りで茣蓙敷いて三味線弾いてお金を集めてた人でしょう』とか、『あれが瞽女だよ』と間違った情報を伝えてしまう人もいました。昔のお祭りで実際そういう瞽女らしき人はいましたが、それは何らかの理由で瞽女のルールの中で生きていけなくなった『元瞽女』の人で、本来の瞽女さんではありません」

そうか、瞽女の巡業は3人1組だから1人では巡業が難しい

渡辺「はい、映像の玄関先のシーンでお米を代価にいただいていたでしょう?新潟の瞽女は芸能娯楽を得難い農村部や山間部が巡業の中心で、瞽女宿も庄屋さんでした。なので街の人のほうがよく知らず、先程のような間違ったイメージが伝わってしまうこともありました」

見えないということに甘えを持たず、自分たちを厳しく律しコミュニティを保っていた瞽女さんたち。5/13の妙音講は総会や久々の顔合わせだけではなく、自分たちで戒律を再確認する大切な年に一度の日だったのです。
渡辺さん、お忙しいところご対応ありがとうございました。

貴重な瞽女の資料と作品の数々、建物も味わい深いミュージアム

せっかくなのでミュージアム内もご紹介します!
瞽女に魅せられた画家の齋藤真一氏の作品などは主に1階、2階では瞽女さんの写真や瞽女研究の資料などが展示されています。

階段どうぞお気をつけて!

この建物は瞽女さんが使っていたものではありませんが、高田の町家のよくある姿です。
瞽女さんたちもこういう階段をひょいひょい登り降りしていたかと思うと凄い。

2階の渡り廊下より。
先ほどまで見ていた映像はこの下付近で見ていました。

奥の洋間には斎藤真一氏の資料等が展示されています。

渡り廊下の反対側の和室は部屋が分かれており、瞽女さんの写真をはじめ全国にいた瞽女さんをまとめた地図などの資料展示室になっています。

杉本家の瞽女さんたちの年間スケジュール。雪が多い時期はさすがに巡業範囲が限られているようですが、芸の稽古もあるので休んでいる暇はありませんね。「妙音講に遅れないように、5月12日には必ず帰宅する」、しっかり記載されています。

5/13の第一部の妙音講は天林寺、第二部はミュージアムで是非!

いかがでしたでしょうか?ハンディキャップをものともせず、強くストイックに生きた瞽女さんの文化や記録が残されていることは大切なことだと思いました。

そしてかどまる自身も高田の出身ではありませんが、この日だけでもミュージアムへ来たのはほぼ県外の方たち。どうやら普段でもその傾向があるらしく、むしろ県外から来た人のほうが瞽女についてよく知っているという逆転現象が起きているようです。
こんなにかっこいい女性たちがいたのに勿体ない!
生き方が多様化した時代というのもありますが、目に見える障害だけではなく見えない障害もある現代日本。だからこそ瞽女さんたちのことを多くの方に知って欲しいなと思いました。

是非、この妙音講の機会に天林寺と瞽女ミュージアムへ足をお運びください!

瞽女ミュージアム高田
住所 上越市東本町1-2-33
電話 025-522-3400
開館日 毎週土、日曜日
*連休や観光シーズンは開館日が変更されます
開館時間 10:00~16:00(入館は15:50まで)
公式インスタグラムもどうぞご覧ください

珈琲と緩いものを愛すWebライター(上越市)

角(かど)は丸くやわやわと。上越の雁木がある地区に移住して10年、美味しい&楽しい情報をご紹介します。

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