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【上越市】知ってる?シンプルで懐かし美味いレトロ菓子!秋の夜長のお供に謎が深まるおやつはいかが?

かどまる珈琲と緩いものを愛すWebライター(上越市)

雁木が並ぶ地域に住むライターのかどまるです。日に日に夜が長くなってきて秋本番になってきました。秋の夜長は読書で楽しむという方も多いのではないのでしょうか。

今回ご紹介するのは読書や本そのものではなく、ネーミングが昭和の文学作品を連想させる昔ながらのお菓子「夜光パン」。名前だけではなく、味や形もレトロな雰囲気が漂うご当地お菓子です。

実はこのお菓子、市内でもあちこちの老舗和菓子屋さんで作られているのですが、販売までに2日もかかる大変手の込んだ物。
昔と違い製造数が減ったことで、ご年配の方はご存知かもしれませんが若い世代の方は知らないという人も多いのでは。

今回は本町の栄喜堂菓子店さんが夜光パンを製造なさっていると聞き早速購入してきました!以前、二七の朝市で大判焼きが大ヒットした件でお世話になった栄喜堂さん。
「冷めても美味しい大判焼き」に行きつくために様々な工夫をなさっており、今も大判焼きが二七の朝市で好評販売中です。

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謎多き上越のソウル&レトロフード「夜光パン」。

高田本町商店街の栄喜堂菓子店さん、店頭でもイチ推し商品の夜光パンです。

夜光パンについて調べてみると、
・市内の老舗お菓子屋さんが製造販売している
・いつ、だれが考案し販売を開始した時期も不明だが昔から売っている
・「パン」だけどしっかりした歯ごたえがあり、焼き菓子という扱い
・表面には砂糖の粒が残る程度のコーティングがしてあり、夜の照明が今より暗かった時代に粒が月明かりで光るように見えたので「夜光」とついた説があるが詳細は不明

何とも謎多いソウルフード、これは食べてみるしかありませんね。

こんにちは~と栄喜堂さんに入ってみると…ありました!

栄喜堂さんでは10個入りと2個入りが製造販売されています。
ラベルもレトロ可愛い!
大きさはトランプの半分くらいのカードサイズでちょっとつまんで食べるのに便利なサイズです。

袋から取り出してみると、噂どおり全面にお砂糖がしっかりコーティングされています。
持った感じはパンではなくお菓子ですね、早速いただきます。

んん!素朴な甘さで美味しい!
しかもしっかりと甘い。
外側は砂糖でカリっと、内は生地が膨らんだ優しい食感で食べ応えがあります。
これはコーヒーや牛乳とも相性が良さそう。
シンプルな素材で作られ全体的に優しいお味なので、お子様からお年寄りまで地域で愛されてきたのかがわかります。
ついあと1つ、もう1つとつまんで食べたくなりますね!
しかもこの時にふと思ったのですが初めて食べたのになんだか懐かしい、不思議な感じになりました。

そして購入したらやってみたくなるもの。
外が暗くなってから撮ってみると、お砂糖が光っています。
ネーミングの由来はですがネーミングに偽りなし。キラッと美味しくいただきました!
上越にはまだまだ知らない、美味しいものが沢山あるのですね。
夜光パンは日持ちがするのでまた買いに行ってストックしておかなくちゃ。

他県の味噌パン、玉子パンとも違う上越の「夜光パン」

実はこういった「昔ながらのお菓子屋さんが作る硬めのパンと呼ぶお菓子」は全国各地、ボーロやサブレに近いハード系から夜光パンのようにソフトな食感を残したものまで様々なものがあります。
長野県や山形県にある味噌で味をつけた生地を焼き上げた「味噌パン」、玉子を使った「玉子パン」等が有名ですね。

なんとかどまるの出身地にも「味噌パン」という、パンにしてはかなり硬いお菓子があったのですが「味噌パンではなくて味噌サブレではないのか」と聞くと「いいや、これは味噌パンだ」と言われたことがあり、ある一定の年齢以上の方ほど「パン」と呼んでいました。そんな中で育ったので夜光パンも受け入れが早かったかどまるですが、全く知らない方から見ると不思議がいっぱい詰まったお菓子なのかも。

上は上越の夜光パン、下は山形県のゴマ入りの味噌パン。パンと名が付くお菓子の硬さは作るお店でかなり違うようです。
上は上越の夜光パン、下は山形県のゴマ入りの味噌パン。パンと名が付くお菓子の硬さは作るお店でかなり違うようです。

でもそういった現代でもメジャー系のものは生地に味がついているものがほとんどで、上越の夜光パンのように焼き上がり後に更にひと手間加えたものはまだ見たことがありません。

大正時代に東京で爆発的に流行ったという玉子パンが地方で独自に変化したのか、それとも…と、夜光パンの謎は秋の夜長と共にますます深くなっていきます…。

栄喜堂さんに夜光パンについて聞いてみた!実は時代に反する、エモさ際立つ商品だった

製造元の1つである栄喜堂さんでも、夜光パンがいつ始まったのか名前の由来について等はわかりません。

栄喜堂の店主、浅野さん(以下:浅野さん)
「実はこの夜光パン、うちでは平成20年頃に復活したものなんです」

ええっ。そうだったのですね!
浅野さんによると夜光パンはお菓子製造のプロでも商品として提供できるものになるまでのリスクが高いものなのだそう。

浅野さん
「うちは朝市の大判焼きのように時代に合わせて工夫した商品もありますが、夜光パンは昔ながらの原材料と製造法でやっています。すると中には期待通りに膨らみが足りないものも出てきてしまい、商品にならないものもあるんです」

うーん、プロでも難しいのですね。
ちなみに何故、そこまでのリスクを背負って昔ながらの製造法にこだわっているのでしょう?

浅野さん
「今は甘さ控えめのものとかいろんなお菓子が手に入る時代ですが、これは敢えてその逆をいきたいと思いました。昔のままの作り方と甘さで『どこかで食べたことがある』感じといいますか、食べて懐かしい、昔おばあちゃんの家で食べた名前も知らない甘いおやつ、そんなお菓子があってもいいのかなと」

かどまるが夜光パンを初めて食べた時に感じたものは、的外れではなかったようです。
小さい頃に食べた、今はどこで手に入るのかもわからないお菓子たち。
甘くて美味しいものの記憶は脳に焼き付いて、忘れられない記憶になります。

ちなみにかどまるは、家族の証言で裏付けできた一番古い記憶は2歳の時、旅行に行った親族のお土産でもらった九州の銘菓でした。
やっと自分の名前を言えるようになったような歳だったのに「黄色くて細長い、甘いお菓子」を覚えているのです。それほどまでに甘くて美味しいと感じた記憶は強烈に印象に残るものなのかもしれません。

浅野さん
「甘いものの記憶って忘れられないですよね。あんこも日本人特有の忘れられない味だと思います。製造リスクはありますが、こんなお菓子があったよねと懐かしさを楽しむおやつ、そんなふうになったらいいなと思います」


月が今よりも綺麗に見えていた時代、お砂糖の粒が月明かりで光ったかもしれないおやつ。
謎が多い夜光パンは現代にない甘さで、懐かしさを蘇らせてくれるアイテムなのかもしれません。栄喜堂さん、お忙しいところありがとうございました。

秋の夜長に上越の「夜光パン」、まだ未体験の方は是非お試しを!

いかがでしたでしょうか?今回は謎が多い夜光パンについてお伝えしました。
市内でも作っているお店の数が減っているそうなので、見つけた時が購入するチャンスです。

シンプルな素材で作られる、素朴な甘さの夜光パン。
どこか文学作品を連想させる不思議な名前の懐かしいおやつ、秋の夜長の読書のお供にもぴったりですね。
まだこの甘さと食感と懐かしさを未体験の方は是非、本町商店街の栄喜堂菓子店さんへ足をお運びください。

栄喜堂菓子店
住所 上越市本町5-5-7 電話 025-523-5391
営業時間 9:00~18:00 定休日 毎週水曜日
公式ホームページInstagramもご覧ください

珈琲と緩いものを愛すWebライター(上越市)

角(かど)は丸くやわやわと。上越の雁木がある地区に移住して10年、美味しい&楽しい情報をご紹介します。

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