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【秋田県横手市】彼は何者?横手の集落に鎮座する巨大藁人形『道祖神』とは?

KANEYANWEBライター/地域クリエイター(大仙市・横手市)

疫病や災いを祓う守り神!各地に鎮座する『人形道祖神』を探せ!

……って、いきなり「ウォーリーを探せ」みたいなテンションだが、皆さんは横手の『人形道祖神』をご存じだろうか?

まるでドラえもんのようなズングリ体系にインパクトのある面構え、身長は人間を遥かに上回る約2.5メートル。もはや夜中に突然出会ったら大人でも半泣きになるビジュアルだが、彼は決して悪いやつではない。むしろ各集落の災いを祓う神様なのである。

そんなわけで今回は、横手の各地に鎮座する巨大藁人形・道祖神をいくつか紹介したい。……とはいうものの、彼らはどこに祀られているのだろうか。私はマップとナビを頼りに、道祖神を探すため車を走らせた。

神社の中で災いを祓う道祖神(横手市大雄宮田)

まず私が向かったのは横手市大雄である。若干迷子になりつつ大雄宮田地区にある『神明神社』に辿りつくと、彼はいた。

のどかな集落の神社に足を踏み入れると
のどかな集落の神社に足を踏み入れると

彼はいた
彼はいた

大雄宮田の道祖神
大雄宮田の道祖神

閑静な集落にポツンとある神社に足を踏み入れると、彼は両手を広げて、まるで「通せんぼ」をするかのように仁王立ちしていた。これは「この集落に疫病や災いを通さない」という意味である。

髪が長いため最初は女性だと思ったが顎ひげが生えており、おそらく男性だろう。いや、勝手に決めつけてはならない。なんせ神様だ。むしろ性別の概念などないのかもしれない。

この通せんぼポーズには「災いを通さない」という意味が込められている
この通せんぼポーズには「災いを通さない」という意味が込められている

学校の前で災いを祓う道祖神(横手市大雄藤巻)

次に私が向かったのは大雄の藤巻地区である。県道13号線沿いを車で走っていると、彼はいた。大雄藤巻の道祖神は道路の脇に祀られているため、今回は容易に発見することができた。

県道13号線を走っていると
県道13号線を走っていると

彼はいた
彼はいた

大雄藤巻の道祖神
大雄藤巻の道祖神

揺れる稲穂の横で、凛と構える道祖神。大雄藤巻地区では「ヤクジョサン」や「カシマサマ」と呼ばれ親しまれている。身長2.5メートル、体重およそ100キロの巨大ボディを誇る彼は、毎年田植えが終わる時期に作り替えられ、この地に祀られている。

ちなみに彼の後ろに見えるのが、2012年に設立した明峰中学校だ。ユニークな顔が特徴的な彼だが、お馴染みの通せんぼポーズで未来ある子供たちを災いから守っている。

道祖神を作り替えて祀る『藤巻の厄神立て』は集落の伝統行事だ
道祖神を作り替えて祀る『藤巻の厄神立て』は集落の伝統行事だ

田園地帯で災いを祓う道祖神(横手市十文字町睦合)

最後に私が向かったのは十文字である。「道の駅」などがある十文字の中心部から離れた田園地帯に、彼はいた。

のどかな田園地帯に佇むように
のどかな田園地帯に佇むように

彼はいた
彼はいた

十文字町睦合の道祖神
十文字町睦合の道祖神

髭をたくわえ、腰に刀を差した道祖神。彼は勇敢な表情で一面に広がる田園風景をじっと眺めている。道祖神には男女の概念が無いのではないか。先ほど私はそう記したところだが、この道祖神は間違いなく男であろう。その証拠に下腹部にはイチモ……あっ、スイマセン。

ハッキリとした顔立ちと、まるで「怪物くん」のような耳が印象的な、十文字睦合地区の道祖神。厄除けと共に子孫繁栄の想いも託された彼の視線の先には、豊かに育った稲穂が風に揺れていた。

道祖神に見守られながら、立派な稲穂が揺れている
道祖神に見守られながら、立派な稲穂が揺れている

今回紹介した3体のほかにも、各地に数多く存在する道祖神。秋田県内でも横手市のほか県北から県南まで幅広くその姿を確認できる。地区によっては石碑と藁で作られている場合もあるようだ。

その地区それぞれの表情を持ち、その地区それぞれの想いが込められ祀られている守り神。ちょっぴり不思議な道祖神たちは、各集落のどこかで、今日も災いから人々を守り続けている。

大雄宮田の道祖神
所在地:秋田県横手市大雄平柳 神明神社
問合せ先:大雄地域局 大雄地域課 産業建設係(0182-52-2111)

大雄藤巻の道祖神
所在地:秋田県横手市大雄藤巻
問合せ先:大雄地域局 大雄地域課 産業建設係(0182-52-2111)

十文字睦合の道祖神
所在地:秋田県横手市十文字町睦合真角
問合せ先:十文字地域局 十文字地域課 産業建設係(0182-42-5119)

WEBライター/地域クリエイター(大仙市・横手市)

大仙市在住のWEBライター。趣味は酒場巡り。現在はYahoo!で地域情報を発信しているほか、秋田市のフリーペーパー「あおぽ」でグルメ記事の執筆や「大仙経済新聞」の運営にも携わっています。

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