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【宗像市】町家に「レール」?明り取りの「天窓」赤間宿の古民家拝見!伝統文化にふれた貴重な一日です♬

kekko地域情報発信ライター(宗像市・福津市)

その昔、宿場町として栄えた「唐津街道赤間宿」は、今も貴重な伝統文化が息づいています。
特に白壁と兜(かぶと)づくりが特徴の町家は、通りに面した屋根の部分が兜のように見え、おもむきある姿です。
しかし、今ではこうした貴重な歴史的建物が徐々に取りこわされ、残り少なくなっているようです。
今回「響きあうアート宗像」が、来年3月に芸術祭を開催する会場として借りうける出光邸旧「桝(ます)屋」の片付け作業をすると聞き、内部を取材させてもらいました。

◇赤間宿「桝屋」

唐津街道赤間宿通りには、出光興産創始者である出光佐三氏の生家や勝屋酒造など、兜づくりの町屋が残されています。

2024年3月に、宗像市大島と赤間宿を会場とする芸術祭「響きあうアート宗像」が開催されます。
その実行委員会の代表・武藤美奈さんから、赤間宿の会場となる「桝屋」の片付け作業をすると聞き、見学・取材をさせてもらいました。
ここ「桝屋」は菓子の製造販売をしていた商家で、江戸中期にたてられたそうで、白壁に兜づくりという特徴ある町家には風情を感じます。
そして赤間宿の古民家に息づく伝統や文化を背景にくりひろげられる「響きあうアート宗像」にも興味をおぼえました。

◆「響きあうアート宗像」概要
会期/2024年3月9日(土)~24日(日)
会場/大島・唐津街道赤間宿
響きあうアート宗像Instagram 
響きあうアート宗像HP 

十数年前までこの看板をかかげて、菓子問屋として営業されていたそうです。

「桝屋」に到着したときには「響きあうアート宗像」実行委員会のメンバーと出光家の方々による片付け作業がはじまっており、いそがしくされる中、取材をさせていただきました。

歴史の分だけ多くの道具や荷物が残されていたようですが、午後にはすっかり片付き昔の佇まいを取り戻したようです。
この日はこの家のあるじ出光一哉氏に、作業の合間に建物のせつめいや思い出ばなしなどをうかがいました。

◇桝屋の内部

京町家で知られる「うなぎの寝床」と同様、赤間宿の町家も奥行きの深い間取りになっているため、入り口から裏口までの距離が長いのにおどろきます。

*冷凍庫

アイスキャンディーを貯蔵する時に活躍していた、大きな冷凍庫が残されています。
ここも「響きあうアート宗像」が作品の展示につかうため、熱心に片付けられていました。

*屋内を走るレール

「桝屋」の一番の特徴は何といっても、店舗入り口から裏口まで50mもの長いレールが敷かれていることです。
このレールにトロッコをはしらせ、運搬作業などをされていたのでしょう。

屋内にレールが敷かれている古民家があると以前から聞いていたので、一度見てみたいと思っていて、念願がかなった瞬間です。

奥行きの深い間取りになっているので、このようなことが実現したのでしょうね。
とても珍しく貴重な風景を見せていただきました。

店舗の天井は「踏み天井」で、上階の床下地を下階の天井として見せる形式になっているようです。

*中の間

帳場として使われていた「中の間」は、営業当時のままいろいろな備品が残されていました。

ふるい調度品や神棚が、時代を感じさせるいい味になっています。

2階から帳場が見えます。
2階から帳場が見えます。

*明り取りの天窓

帳場に上がらせてもらうと、思わぬ光景にであいました。
天井は吹き抜けになっていて、あかるい日差しが差しこんで開放的です。

うなぎの寝床式の間取りになっている赤間宿の商家では、明り取りのための「吹き抜け」がある家が多いという説明文をみつけました。
この吹き抜けがあることで、階上の部屋も自然光を取り込めます。

◇二階部分

下から見あげると、太い梁がみえる2階部分が気になります。

お願いして見せていただくことにしました。

なかなか天井裏まで見られないので、とても貴重な体験です。

むき出しになった太い梁は圧巻で、江戸時代からこの家をささえてきたという力強さを感じます。

階下にある冷凍庫のえいきょうで、床がくちてしまっています。

*2階にもレールが

レールが敷かれているのは、1階だけかと思っていると2階にもありおどろきました。

下から引きあげた荷をトロッコにのせて、階上でも運搬するのに使われたのでしょう。

◇まとめ

今回、幸いなことに赤間宿の「桝屋(出光邸)」内部の見学ができました。
以前から興味のあった建物だけに、詳しく見せてもらえて感謝しています。

歴史的にも貴重な古民家ですが、経年劣化による修理などの維持管理は大変で、そのため伝統的な景観が、少しずつ失われるのは残念でなりません。
「響きあうアート宗像」開催時に、また出会えるのを楽しみに取材を終えました。

赤間宿通りには店舗やイベント会場として営業している古民家が多数あります。
散策がてら立ち寄ってみてはいかがでしょう。

◆「桝屋(出光邸)」について
所在地/宗像市赤間4丁目10ー7

※「桝屋(出光邸)」は通常見学できませんが、赤間宿通りでのイベントの際には展示会場として開放されることがあります。
また、来年3月「響きあうアート宗像」の会場になります。

地域情報発信ライター(宗像市・福津市)

宗像市、福津市のあらゆる情報や魅力を余すところなく紹介、発信するライターとして活動して参ります。

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