ブラックバスで蒲鉾を作ってみたら驚きの美味しさ 捌く時に大切な事と蒲鉾づくりの要点を詳しく紹介
ブラックバスのミニ知識
ブラックバスは大正時代にアメリカのカリフォルニア州から神奈川県の芦ノ湖にオオクチバスが食用目的で移入されたのが最初と言われています。
今では日本各地の河川湖沼に広まり在来の水生生物を食い荒らす害魚として特定外来生物に指定され、日本の侵略的外来種ワースト100にも選定されると言う不名誉な魚の代表格になってしまいました。
ちなみに国際自然保護連合からはオオクチバスが世界の侵略的外来種ワースト100に選定されています。
日本に於いては釣りの対象魚として人気ですが、上記のような問題から釣ったブラックバスを再放流(キャッチアンドリリース)する事を法的な規制で禁じる水域もかなり増えてきました。
元は食用目的で移入された魚ですから再放流(キャッチアンドリリース)禁止なら持ち帰って食材として利用するのが特定外来生物の駆除の一助にもなる良い方法だと思います。
今回は釣ったブラックバス(オオクチバス)での蒲鉾作りを詳しく紹介していきます。
蒲鉾のミニ知識
蒲鉾(かまぼこ)は今から千年ほど前の平安時代に既に作られており、当時は竹の棒に川魚(ナマズ等が使われた)のすり身を串刺し状に付けて焼いたもので、現在の竹輪に近い食べ物だったとの事です。
その形が水辺に生える植物の蒲の穂に似ているので蒲鉾の名前が付いたのだそうです。
板に乗った、いわゆる現在の蒲鉾は江戸時代なってから考案されたとの事です。
まずはブラックバスを釣る
材料のブラックバスの入手方法ですが、鮮魚での販売はまずされていないと思いますので、自分で釣るか、釣りが趣味の知人に頼んで釣って貰うのが手っ取り早い入手方法です。
今回は河川で釣った上の写真のブラックバス(オオクチバス)を使っての蒲鉾作りを紹介します。
尚、釣ったブラックバスを持ち帰る時は必ず釣り上げた水域で締めてから(絶命させてから)持ち帰ります。
ブラックバスは特定外来生物に指定されていますので、例え食べるためであっても生息域からの生体での持ち出し(生きたままで持ち出す事)は禁止されています。
持ち帰ったブラックバスの調理(下処理)
ここからはブラックバスで蒲鉾を作るための調理の方法を説明していきます。
まずは下処理として三枚おろしにした後に皮や骨を全て取り除いた状態の柵取り(さくどり)までを行います。
この柵取りまでの作業は一般的な魚でお刺身などを作る時のさばき方と同じです。
まずはウロコ落としを使ってウロコを全て取り去ります。
この時に使うウロコ落としは100均で売っているウロコ落としがコスパも良く作業性も良好です。
ウロコが取れたら食材としては使わない頭と内臓を取り除きます。
頭と内臓を取り除く時は、まず頭の上半分を背骨を断ち切るように切り裂きます。
出刃包丁などを使って上の写真の位置に刃の切っ先を入れて頭の上半分だけを切り裂きます。
背骨を切り裂く時はかなり力が入りますので怪我をせぬよう注意して作業します。
頭の上半分が切り裂けたら、頭と胴体をシッカリ掴んで、折るような感じで胴体から頭をもぎ取ります。
今回のような比較的大きな魚の場合は、もぎ取る位置の腹側にも、内臓までは切らないように注意して、皮だけに軽い切れ込みを入れておくと簡単に頭をもぎ取ることが出来ます。
このようにすると頭に内臓が付いた状態で胴体から頭を切り離すことが出来ますので、その後の作業が綺麗に楽にできます。
もぎ取った頭と内臓は廃棄します。
頭と内臓が取れたら、次は腹の内部に付着している大量の脂を除去します。
この部分の脂の除去がブラックバスを美味しく食べるための大切なポイントになります。
頭と内臓を除去したブラックバスの腹の中を見ると上の写真の黄色い線で囲んだ部分に大量の脂が付着しています。
この部分は浮き袋の膜が腹の内壁と接合するところです。
ここに断面が三角形で浮き袋の付け根を取り囲むように稜線状に脂が付いています。
ブラックバスはこの部分に大量の脂を溜め込み、この脂がブラックバスの臭みの最大の原因になっています。
この脂は必ず取り除きます。
今回のように三枚おろしにして肋骨を取り除く調理方法ならば、肋骨を取り除く時に一緒にこの脂も取り去ってしまうことになりますので、さして問題はありませんが、焼き魚のように肋骨を付けた状態で食べる場合には、この脂を取り忘れると臭くて食べる事が出来ないと言う羽目になってしまいますので注意が必要です。
まずは上の写真のように三枚下ろしにします。
この状態では浮き袋の付け根部分にある稜線状の臭い脂はまだ付いたままです。
肋骨をすき取ってしまえば、臭い脂も一緒に除去できます。
上の写真のように肋骨をすき取ります。
上の写真のように肋骨の上に付いている臭い脂も取り去ることができます。
今回のような大きいブラックバスの場合、腹の下側の縁の部分にも脂身が付いていますので、この部分を細長く切り取ってしまいます。
ここまで出来れば、臭い脂の除去は完了です。
臭い脂を取り去ればブラックバスの臭い要因のほぼ全ては除去できたことになります。
ちなみに、皮が臭いとか、皮の表面にある滑りが臭いとかの話も耳にしますが、それは誤報です。
皮や滑り自体は臭くはありません。
皮を残した状態で調理したら臭かったと言う時は、それは皮の下にある皮下脂肪が原因です。
故に皮下脂肪が多い個体は皮も取り去った方が良いと言うことです。
皮下脂肪が少なければ皮は付けたままでも美味しく頂けます。
尚、皮を付けたままにするか、残すかは、皮下脂肪の有無以外にも、作る料理の種類にもよります。
今回のような蒲鉾では出来上がりの色合い的にも皮は取り去った方が良いでしょう。
側線の部分に血合い骨をが入っていますのでこれを取り去ります。
どこに血合い骨が入っているかは、側線付近の身を指でなぞってみると、血合い骨が指先に当たりますので位置を確認できます。
上の写真のように血合い骨が入っている部分を細長く切り取ります。
皮を引きます。
皮を取り去る時は、皮の方を刃物を進める方向とは反対側に軽く引っ張る感じで作業すると上手くいきます。
これでブラックバスの柵取りまでの下処理が完了しました。
臭味もなく骨や皮も付いていない、食材として利用できる状態になりました。
今回はこれを使って蒲鉾を作りますが、フライ、天ぷら、ソテー、焼き魚、煮魚など、どのような料理にも美味しく利用することができます。
柵取りしたブラックバスを蒲鉾に仕上げる
ここから先の作業は様々な魚を使って作る蒲鉾つくりと同じです。
まずは柵取りした身をすり身にします。
すり身にしやすいように柵取りした身をぶつ切りにしておきます。
ぶつ切りにしたら水に浸けて軽く揉み洗いして滑りを取り除きます。
滑りが残っていると蒲鉾の弾力あるプリプリ感が損なわれると言われていますので、水を替えながら数回行い滑りを良く洗い流します。
滑りが洗い流せたらキッチンペーパーなどを使って水気を除去します。
蒲鉾は魚の身に加える塩の効果で、すり身にした時の強い粘りが生まれ、これが最終的に蒲鉾のプリプリ感になります。
よって身の量に対して加える塩の量はとても大切です。
そのような理由から水気を切った魚の身の重量を正確に計ります。
蒲鉾づくりではすり身を作る時に魚の身の重量に対して2%重量の塩を加えます。
今回は240gの身でしたので2%ですと4.8g、約5gの塩を加えてからすり身にします。
塩だけでも蒲鉾は作れるのですが、今回はより美味しく仕上げるために酒、味醂、澱粉、卵白、砂糖を適宜加えます。
用意した材料をすり潰してすり身を作ります。
昔ながらのすり鉢とすりこ木を使う方法もありますが、フードプロセッサーのような電動調理器を使うと簡単に作れます。
すり身を作るなら上の写真のような手持ちのモーター部の先端に船のスクリューのような回転羽根が付いたタイプの製品が力も強くて使いやすく、その上、後片付けも簡単でベストだと思います。
尚、魚のすり身づくりにジューサーミキサーが使えそうな気がしますが、すり身が出来上がるにつれてかなりの粘りが出るため、ジューサーミキサーでは力が足りずにモーターが焼き付いてしまう危険がかなり大きいです。
予め用意した材料は全て加えた状態ですり潰してすり身にします。
魚の身をすり身にすると、まるで建築用のシリコーンコーキング並の粘りとベタ付きが出ます。
これを適当な形に成形して蒸せば蒲鉾の出来上がりです。
市販されているような板に付いたドーム型の蒲鉾を作りたいところですが、すり身の粘りとベタ付きを考えると難しいところがあります。
今回は誰でも簡単に失敗なく出来る方法、ラップフィルムを使った方法で巾着型に成形します。
すり身を適量ラップフィルムの上に乗せます。
この時の量は、この後の蒸す時の事を考え、あまり多すぎないほうが良いです。
ピンポン玉やゴルフボール位の量が良いと思います。
蒸している最中に中に湯が入らないように輪ゴムでシッカリと結びます。
やや平たい巾着型に成形したら冷蔵庫に入れて24時間おいておきます。
こうすることによって、魚の身と塩が反応して弾力あるプリプリ感が増すのだそうです。
24時間経ったら冷蔵庫から出して熱湯で蒸します。
専用の蒸し器が有ればそれを使うのが簡単ですが、普通の鍋で蒸すこともできます。
鍋で蒸す時は、ラップの封さえシッカリしていれば熱湯に中に直接入れても大丈夫ですが、ザルなどを使って熱湯から離した状態で蒸せばより安心です。
15分〜20分ほど蒸します。
蒸し上ったら直ぐに氷水に入れて急速に冷やします。
蒸し上がったら氷水に入れて急冷します。
完全に冷えたらラップフィルムを剥がして出します。
完全に冷えたら食べやすい厚さに切れば出来上がりです。
ちなみに、今回作ったすり身を蒸す代わりに油で上げればさつま揚げ、棒に付けて焼けば竹輪になります。
特定外来生物ブラックバスもアッと驚く美味しい蒲鉾の出来上がりです。
楽しく釣って、美味しく食べて、特定外来生物の駆除にも役立つブラックバスでの蒲鉾づくりの紹介でした。
最後までご覧頂きありがとうございます!!
この記事は動画でもご視聴頂けます。動画ではブラックバスを釣るところから、さばいて調理して蒲鉾に仕上げて食べるところまでが一連でご覧頂けます。魚のさばき方などは動画のほうが分かりやすいと思いますが、動画では特に魚をさばくシーンで魚の血や内臓が写っていますので、そういった物が苦手な方はご注意下さい。