Yahoo!ニュース

【藤沢市】謎だ...。掘れば掘るほど闇が深まるミステリースポット『夢告の井戸』

ころんころライター(藤沢市)

【プライスレス藤沢】
~藤沢の魅力を再発見~

藤沢市内で見つけたプライスレスな情報シリーズ。61カ所目は藤沢市片瀬海岸にある『夢告(むこく)の井戸』です。

先日、江ノ島の『龍口寺』から国道134号線の「片瀬東浜海水浴場」方面へ歩いていると、『特別養護老人ホーム 鵠生園』のあたりになにやら石碑?のようなものを見つけました。

わかるでしょうか?グイッと寄ってみます。

写真中央に何かありますよね。正面にまわってみます。

さきほどの正体はこちら。『夢告(むこく)の井戸』と書かれた石碑です。石碑には、右手に密教系の仏具「金剛杵(こんごうしょ)」と左手に「数珠(じゅず)」を持った「弘法大師(空海)」が彫られています。そして「夢告」について調べると、どうやら仏教用語のよう。WEB版新纂浄土宗大辞典には、以下のように書かれています。

むこく/夢告
神仏が夢において何らかの意思を示し告げること。またその夢および伝えられた内容をいう。平安時代以降に用例が広く見られるようになる。神の意志表示としての託宣とは異なり、夢告は仏・菩薩の意志やことばが夢を回路として表明され、仏教者個人の神秘的・宗教的体験として受容される傾向がある。夢は古来、神秘的なものとして認識されており、古代においては神の告げとしての夢を得るための祭祀行為が行われ、かつその夢の意味や吉凶を判断する卜占ぼくせんなどが行われた。また平安時代から鎌倉時代にかけて、神社や寺院に参籠し、夢告を得ようとする実践行為が盛んであったことが日記、物語、説話などに確認できる。その内実としては、単純に神仏が夢にあらわれるものだけを指すわけではなく、特別な夢を経験した場合、後にその夢が神や仏からの夢告であったという判断がなされることがある。夢告という現象には、それが神仏の意思表現であるという状況判断や解釈が常に伴っているのである。平安時代の浄土信仰における往生の予告や結果が、夢もしくは夢告として示されたことが往生伝などに確認できる。鎌倉時代のいわゆる新仏教の祖師たちについては、夢告が廻心えしんの契機として伝えられている。法然は善導の『観経疏』をうけて専修念仏の道へ進んだが、その確信は善導との夢中での対面にあるとも言われる(『夢感聖相記』)。このほかに親鸞、叡尊、道元、一遍など、夢における体験が重要な意味を持つとされる人物は多い。若い頃から霊夢をたびたび見た明恵が書き残した『夢記』は著名である。

「弘法大師(空海)」と『夢告の井戸』は一体どのような関係と歴史があるのか?その昔、ここに「神のお告げがうけられる井戸」のようなものが存在したのか?(しかし付近に井戸らしきものは見当たりません)。案内板などもないため、謎はますます深まります。

まず『夢告の井戸』のすぐ北側に建つ『特別養護老人ホーム 鵠生園』に問い合わせてみると「県が管理されているのではないか」との回答(それ以上の詳細はわからず)。その後神奈川県にも問い合わせてみましたが、指定文化財などには登録されておらず詳細は不明とのこと。最後に藤沢市にも確認しましたが、こちらも文化財登録などはなく、詳細は不明ということでした。

ただし、各方面から出てきた話をまとめると、その昔片瀬地区で発行された冊子に「この石碑には明治40年という文字が彫られている」と書かれているそうで、その年に建てられたものではないか?と推測されます。また元々は個人宅にあった石碑のようで、区画整理や道路整備などの開発事業でこの場所に移されたのではないか?といった話もありました。さらにGoogleマップの口コミを見ると「この井戸は弘法大師のお告げにより湧きでた清水で、その水面に月光を浮かべ目を洗えば眼病にご利益がある、と江戸時代の記録にある」といった書き込みも見られました。

結局のところ、謎は何一つ解明しなかった『夢告の井戸』(掘れば掘るほど闇が深まる謎の井戸という結果になってしまいました。汗)。

謎は深まってしまいましたが、目の前は爽やかな風が吹く『片瀬東浜海水浴場』。海水浴のついでにでも、立ち寄ってみてはいかがでしょうか?

基本情報
『夢告の井戸』
住所:藤沢市片瀬海岸
※駐車場は無いため、行かれる際は公共交通機関をご利用ください。

【関連情報・藤沢市の不思議スポット】
見るたびに顔が変わる奇妙なお地蔵さん
おしゃれ地蔵
狭くて怪しい道の先には...
『白山神社』と『北町公園』
絶壁の前にベンチだけがある公園
富士見ベンチのある公園
顔が怖すぎる最恐の大鳥居
『四ツ谷不動』と『大山道一の鳥居』
「今の見た?」不思議な光景をガン見...
村岡東石塔群
60年に一度しか開かない謎の仏堂
庚申堂(こうしんどう)
近付いてみたら衝撃の姿だった
舟地蔵

ライター(藤沢市)

湘南エリアの複数メディアや紙面、昭文社「まっぷるトラベルガイド」などで、記事執筆&撮影を担当。取材スポットは1000ヶ所近く。そんな取材後記や、徒然なるままのゆるゆる日暮らしを、Instagramに綴っています。ほわっとあたたかくなる「神奈川県藤沢市」の情報をお届けできたら幸いです。※「毎週日曜の20時10分」に約1週間分の記事をまとめてお届けする「LINEでの配信」がスタートしました。ご登録いただくと藤沢市の話題(特に美味しいもの情報)に困りません。

ころんころの最近の記事