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9/25最終日。必見「メメント・モリと写真」東京都写真美術館

Luna Subitowriter editor(東京都渋谷区)

東京都写真美術館で開催中の「TOPコレクション メメント・モリと写真 死は何を照らし出すのか」が9/25に最終日を迎えます。写美の所蔵品から珠玉作を紹介するTOPコレクションは、毎回エッジがきいていて見逃せません。今回のキュレーションも奥が深くて秀逸でした。

作家のラインナップも アジェ、ユージン・スミス、ロバート・フランク、セバスチャン・サルガド、マリオ・ジャコメッリ、ハンス・ホルバイン、荒木経惟、牛腸茂雄、澤田教一、東松照明、藤原新也e.t.c…と贅沢。

メメント・モリ(memento mori)とは、ラテン語で「死を想え」という意味。イタリア語だとmoriの発音は「モーリ」に近い。私見ながら、ラフに訳すと「まあ結局みんな死んじゃうけど、だからこそ今ここにある生を慈しもうよ」みたいな。超訳的には「諸行無常」かなと。

中世ヨーロッパでペストが流行した際、人間と骸骨が踊る画〈死の舞踏〉と結びついてメメント・モリという言葉が広く普及したといいます
中世ヨーロッパでペストが流行した際、人間と骸骨が踊る画〈死の舞踏〉と結びついてメメント・モリという言葉が広く普及したといいます

会場は3部構成で、1章はロラン・バルトやスーザン・ソンタグなどの思想からメメント・モリと写真の関係性、2章はメメント・モリと孤独、ユーモア、3章はメメント・モリと幸福をテーマにした写真が展示されています。

『藤原信也の聖地』より
『藤原信也の聖地』より

メメント・モリというと、藤原信也氏の死と生を鋭く照射した名著『メメント・モリ』が即座に思い浮かぶけれど、彼の写真や言葉も今展の重要なキーヴィジュアル&キーワードに。

『藤原信也の聖地』より
『藤原信也の聖地』より

生と死の時を往還するマリオ・ジャコメッリの写真のセレクトも素晴らしく。東京都写真美術館でかつて目にしたことのある写真が多かったけれど、メメント・モリというテーマで捉えた展示はとても胸に響きました。

東京都写真美術館「知られざる鬼才 マリオ・ジャコメッリ展」図録より
東京都写真美術館「知られざる鬼才 マリオ・ジャコメッリ展」図録より

単なる二項対立ではない生と死について、深く内省させられる写真展です。9/25が最終日なので、お見逃しなく。

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TOPコレクション メメント・モリ 死は何を照らし出すのか
東京都目黒区三田1-13-3恵比寿ガーデンプレイス内
東京都写真美術館 2F展示室
2020年6/17~9/25
料金 一般700円

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writer editor(東京都渋谷区)

奥渋在住20余年。旅、アート、インテリア、ウエルネス、映画、猫など多様なメディアに携わる文筆家。

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