1992年秋に松島町内に開館した「松島オルゴール博物館」。当時、日本国内にいながら遥か遠くヨーロッパの土地ベルギーから譲り受けた、見たこともない大きさのオルゴールの音色や実物に、多くの人々は感動を覚えたと思う。洋風の大きな館に一歩踏み入れ、奥へと上がっていくと日本にいるはずが、海を越えた先のフランスやドイツ、そしてベルギーの国々の息吹を感じる木製の立体的なオルゴールの数々に、筆者自身も圧倒されたのをしっかりと覚えている。

その後、2011年の東日本大震災の影響で一度閉館をしていたが、リニューアルオープン。
名前は「ザ・ミュージアム MATSUSHIMA」として、館内の内容にもいくつか変化が加わった。メイン展示であるヨーロッパ各国のオルゴールは昔のままに、既定の演奏時間になると館内で大迫力の音色を体感することも昔と変わらず可能。

一方で、時間と共に進化を遂げているのが館内の展示コーナー！実際に筆者が体験して非常に興味深く面白いと感じたコーナーをご紹介していこう。

館内1階の「北原コレクション 機械じかけの人形たち」展示コーナーは、開運！なんでも鑑定団の鑑定士の一人、北原照久さんのコレクションを見学することができる。
筆者がなんとなく想像していた展示品は、日本国内のブリキ製のおもちゃやポスター、骨董品などかなぁと思っていたのだが、見事にその陳腐な想像は覆された...！

まず意表をつかれたのが、日本国内の製品ではなくアメリカ製のコレクションが展示されているということ。少し説明をすると、北原さんが没入するくらい気に入ってしまったコレクションの種類の一つが、「モーションディスプレイ」というもの。これはとても簡単にいうと、電気仕掛けで動くオブジェ（置物）のことだ。北原さんは、1984年頃にアメリカ・ロサンゼルスで製造された'とある'モーションディスプレイの製品（作品）に出会い、それ以来虜になってしまったそうだ。

モーションディスプレイと呼ばれる'電気じかけで動くオブジェ'は、1925年から1959年にかけてアメリカの「ベリンジャー社」という企業が、群を抜いて製品を多く生産していたそう。
そのベリンジャー社のスタジオや、ディスプレイ製作工程などの写真などが、贅沢にも大きなパネルで展示されていてとても興味深い。たとえモーションディスプレイに興味がない方でも、昔のアメリカの雰囲気などが味わえるので、それだけでも楽しく感じると思う。

さらに驚くのが、展示製品を眺めている最中に一定の時間が経過すると、ディスプレイたちが「カクカク....キコキコ..」と動き出す仕掛けになっていること。
急に動き出すので「お！」とびっくりしてしまうのだが、仕掛けとわかると「ちょっと待って！」と、急足で全部の仕掛けを確認して回りたくなるほど、ユニークな動きを披露してくれる。可愛いんだこれが。

これらアメリカ製のモーションディスプレイの展示数もかなり多いのだが、それ以外にも懐かしい国内製のフィギュア系コレクションもちゃんと詰め込まれているのが、ファンにはとても嬉しい！

松島のザ・ミュージアムに行こう！というと、大抵の皆は以前の'オルゴール'がすぐ頭に思い浮かぶと思うが、このように進化をし続けている館内は、もはや老若男女問わず楽しめるようになっている。オルゴールの他にも、ご紹介した北原コレクションコーナーの展示で、アメリカの歴史を探れたり、ゴジラのフィギュアやダースベーダーの面を間近で見物できたり、また企画展示室もありそこで定期的に様々な展示も行っている。（※2023年2月現在はフランスの画家ジャン＝ピエール・カシニョールの作品展示中）

展示以外ではワークショップの存在も大きなポイント◎お子様はもちろんだが、父母も一緒に作りたくなる「手作りオルゴール」は、どんな仕掛けになっているのか非常に気になるところ家族で遊びに来て一緒に何かを作れるのは、お子様にとっても貴重な時間。

帰りにはお土産ショップで、ミュージアム限定の商品を見て回るのも楽しい時間。
ちなみに限定品の中には、なんと東松島「ブルーインパルス 紙袋オルゴール」を販売している。ブルーインパルスがついにオルゴールに・・・！一体どんな曲が流れ出すのか非常に気になる商品だ。

いくつもの楽しさが館内にギュッと凝縮されている「ザ・ミュージアム MATSUSHIMA」。
1992年に松島町に仲間入りしたこの建物の中には、日本とヨーロッパ、そしてアメリカなどの文化や歴史に触れることができる貴重な場所。
表現をするとすれば、ミュージアム自体がお〜きな、おもちゃ箱だろうか。

パカッと箱を開ければ、そこには想像を越えたたくさんのワクワクが待っているぞ。