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【宮城県 松島町】修理中でも変わらぬ景色がある場所 [富山観音の展望台 *2023年4月情報]

Molly Chibaフリーランスライター(東松島市・松島町)

今回は、とてもありきたりかもしれないが、'松島の景色を眺められる場所'について、いくつかの補足情報と共にご紹介していこう。
松島の風景を眺めるならば、ここがいいよ、あそこがいいよと、たくさんの候補が存在する。
確かに、たっぷりとした豊かな海原と、そこに点在する個性的な形状の島々は、どこから眺めても素敵なのだ。
しかしながら、選ばれし'展望場所'というのは、やはり別格なのである。

宮城県松島町の手樽にある「富山観音(とみやま かんのん)」は、松島四大観(まつしま しだいかん)の一つに選ばれている展望場所だ。麗観(れいかん)という名でも呼ばれている。少し説明をすると、この'四大観'とは松島湾に存在する島々(約260と言われている)を、ぐる〜りと見渡すことができる場所のことを意味している。
そして'麗観'とは、その場所から観た景色を'表現する言葉'とされている。つまり、富山観音の位置から眺める松島湾の景色は、おそらく'麗しい(うるわしい)'という意味と考える。

さて、選ばれし景色を観たい!と思い立ったとして、どのようにして富山観音まで行けば良いのか?これがまず最初の難関なのである。
徒歩で向かう場合の最寄り駅は、JR仙石線「陸前富山」駅なのだが、そこから山道を登った後に、ようやく入口とも言える階段が見えてくる(上記写真)。ここまで約40分前後の所要時間だ(個人差は有り)。文字だけで見ると大変なように感じるが、大昔(約50年前)は地元の小学校の遠足コースとして、陸前富山駅から歩いて山頂まで登ったという話を耳にした。そう、歩けるはずなのだ。
車の場合は、なんとスイスイと階段入り口の場所まで来ることが出来るのだ。なので、車を停めたら、歩き始めは入り口の階段からという訳だ。筆者は、徒歩も車もどちらも良い点はあると思う。

階段の両サイドには、大きな杉の姿。不思議とその合間から差し込んでくる日差しは、杉のお陰なのかとても柔らかく眩しさを感じさせない光だ。ふんわりと輝く階段の道はとても神秘的。
山頂までは強めの傾斜というよりも緩やかなのだが、階段の数はやや多め。ちょっと体力的に心配という方でも安心して欲しい。まずは少し歩いたら慌てずに、一旦立ち止まって休もう。階段がしっかりと整備されている幅広の石なので、腰掛けることも可能だ。そして、晴れていれば杉の間から見える景色は最高で、そして空気もとても清々しいぞ。(夏場以外でも、水分補給はマメにしておこう!)

だいぶ上まで登ってから、下を眺めると立派な杉林の姿を再確認することが出来る。その高さには、驚きを超えて親しみが湧いてくる。一体どのくらいの年月が経過しているのか、植物の強さにはとても励まされるものがある。

さあ、頂上だというところで階段が昔にタイムスリップしたかのように、丸く削れ上がり苔の化粧を施した姿に。頂上付近の数段だけが、昔の姿のまま残っていて踏み締めるたびに味わいを感じる。

頂上に到着すると、東屋(あずまや)タイプの展望台がすぐ目の前にあり、麗観と呼ばれている景色を眺めることが出来る。しかし、現在(4月10日時点)展望台は老朽化のため修繕工事中で、中に踏み込むことが出来ない状態だ。そのため、写真ではなかなか奥の景色がわかりづらく申し訳ないのだが、実際の現場ではしっかりと奥に広がる景色の麗しさを体感することが出来るぞ。標高116.8メートルという高さと位置が相まって、松島湾を見渡せる範囲の広さにはさすが四大観!と納得。

最後に、設備についてだが気になるのはトイレの有無。特に、徒歩でここまで来たという方にとっては、トイレがなかった場合とても辛いと思うのだ。長時間の散歩には、どうしても欠かせない問題。安心して欲しい、富山観音にはしっかりとあるぞ。

暖かくなってきた時期の散歩は格別であり、それと共に眺める景色が最高であれば、なおさら素敵な時間を過ごすことが出来る。どうだろうか?改めて、松島の四大観を訪れてみるというのは、筆者はとてもおすすめだ。慌てずに、余計なことを考えずにフラッと立ち寄るのがとても似合う場所。麗しの景観のある富山観音。かなり、いいものだぞ。

名称:富山観音(とみやま かんのん)
住所:宮城県宮城郡松島町手樽三浦

フリーランスライター(東松島市・松島町)

日本出身/日本と英国を拠点に活動。自然と動物が大好きな人間です。国内地域ニュース、日英サッカーコラム、サステナブル・ツーリズムに関する記事を執筆中。

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