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【宮城県 松島町】ふしぎな伝説が残る湯治場 -湯の原温泉元湯 霊泉亭- [湯ノ原地区]

Molly Chibaフリーランスライター(東松島市・松島町)

むかしむかし、平安時代初期(824-834年頃)に宮城県松島町の現在の「湯ノ原地区」に、とても不思議な「湯」が湧き出したという。

当時、国宝「瑞巌寺(ずいがんじ)」のお坊さんが重い病と闘っていた時、その不思議な湯を沸かし入浴をしたところ、たちまち病が消え去ったそう。

それから、お坊さんは不思議な湯が湧き出た地を「霊泉亭(れいせんてい)」と名付け、人々に湯治(とうじ)をおすすめしたと伝えられている。

この不思議な伝説(※)は語り継がれ、今も現役の湯治場「湯の原温泉・元湯 霊泉亭」として地域の人々に永く愛されている。(※伝説の全文は同施設内に読み物として掲示されている)

霊泉亭は木造で風格のある建物に、浴場のほか休憩所と宿泊所を完備。そして建物の裏手側には、不思議な湯の伝説が記された石碑などがしっかりと残されている。

『カラカラ・・・』と懐かしい玄関口を開けると、まるで山小屋のお湯屋さんの雰囲気。木目模様が美しく、あたたかな暖色系の照明がぬくもりのある空間をつくりだしていて、居心地の良さを感じる。

靴を下駄箱に入れたら、小さな受付でいそいそと財布から550円を取り出す(2023年12月時点の大人1名の料金)。受付そばにはオリジナルタオルや飲み物に、雑貨が少し。「湯」を楽しむ場所だから、たくさんの物は必要ないという感じが、いい味を出している。

『湯治場は、一人で黙々と湯とともに自分の身体と向き合う。』

そんな、たいそうな言葉を浮かべなら浴場に入ると、木造の突き抜けるような高い天井に、8席の洗い場。幅約3、4メートルの重厚な浴槽には、こんこんと不思議な湯が注ぎ込まれている。

真っ白な湯気がふわりと立ちのぼり、たらいを置く音や湯を共にする人々のちょっとした言葉が鳴り響く。42、3度位のちょうどいいお湯加減に『ふぁあ・・』と、なんとも言えない声が溢れだし、思うことは『何千年も前に湧き出した伝説の湯は、いい湯だ。』

絶えず続いている存在は、これからも地域にとって大切にしていきたい宝物。

新しい年を迎えるとともに、あたたかい不思議な湯を楽しむ。
ゆったりと湯につかるというのは、やっぱり良いものだぞ。

名称:湯の原温泉・元湯 霊泉亭(ゆのはらおんせん・もとゆ・れいせんてい)
住所:宮城県宮城郡松島町松島湯ノ原11
営業時間:8:00-20:00(受付19:30まで)
定休日:年中無休
[年末年始の営業時間]
特に変更無しで元旦も朝8:00から営業(最終受付は通常通り19:30まで)

フリーランスライター(東松島市・松島町)

日本出身/日本と英国を拠点に活動。自然と動物が大好きな人間です。国内地域ニュース、日英サッカーコラム、サステナブル・ツーリズムに関する記事を執筆中。

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