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【男性更年期に起こること】男性ホルモンが減るとどうなる? 

永田京子更年期トータルケアインストラクター

「更年期なんてオンナの問題だ」とか「男性更年期、オレには関係ない」なんて未だに思っていませんか。ある年齢を境に、「最近太ってきた」「元気が出ない」 といったことを感じるようになったら、それは男性ホルモンの低下が関係しているかもしれません。今回は、 男性ホルモンのテストステロンが低下した時、つまり男性更年期の特徴と対策ケア方法をご紹介していきます。

私は、更年期サポートのNPO法人ちぇぶらという団体で代表を務めており、女性ホルモンとカラダのトリセツ講座、男性更年期講座、エクササイズ講座を、企業・自治体・医療機関・サークルなどへ全国出張してお届けしています。

そのなかで、先日このような相談をいただきました。

「夫のメタボがとまりません!さらに、仕事で疲れているようなのに、夜も眠れていないようで心配です。最近テレビで男性にも更年期があることを知ったのですが、もしかしたら夫も更年期なんでしょうか。更年期で男性ホルモンが減るとどのようになっていくのでしょうか。(50歳 女性)」


男性更年期については、まだまだ情報も少なく、周りの理解が足りていない現状があります。辛いと感じても理由がわからず我慢してやり過ごしたり、心の不調を長引かせてしまっている方も多くいらっしゃいます。

“知らない”ということは不安をかきたて、より辛さが増してしまう事になりかねません。まずは知ることから。この記事で、男性更年期にかかわる男性ホルモン「テストステロン」について理解を深めていただければと思います。

今回は、

  • テストステロンの3つの働きは?
  • テストステロンが低下するとどうなる?
  • テストステロンの増やし方

について、解説します!!

テストステロンの働きは「男らしさ」「性欲」だけではない

性ホルモンの加齢による変化(NPO法人ちぇぶら「KO-NENKIの教科書」より)
性ホルモンの加齢による変化(NPO法人ちぇぶら「KO-NENKIの教科書」より)

テストステロンは、男性ホルモンの一種。思春期に急激に分泌量が増え、20代をピークにその後はゆるやかに減少していきます。

テストステロンは、主に3つの大切な働きをしています。

まず一つ目は、体をつくる役割。筋肉や骨格の成長を促し、がっちりした体をつくります。

二つ目は、心のバランスを保つ役割です。テストステロンは大脳に作用して、前向きな思考や決断力を高めます。気持ちが前向きになったり、やる気がでたりといったように精神面にも影響して、心のバランスを保っています。

三つ目は、性行動を可能にする役割です。テストステロンは脳内物質のドーパミンを分泌させ、勃起させるための信号をおくります。それが骨盤神経(骨盤内臓神経)に働きかけを行い、性行動ができるようになります。

体をつくる、心のバランスを保つ、性行動を可能にする。この3つがテストステロンの大切な働きです。

テストステロン低下で女性の更年期と同じような症状が現れることも

一般的には、テストステロンは緩やかに低下をしていくもの。上の図で示した通り、40歳ごろから低下していきます。しかし、ライフスタイルの変化やストレスによって、急激に減少することがあります。 いわゆる「男性更年期」の到来です。

では、テストステロンが低下すると、どのようなことが起こってくるのか。テストステロンの低下は、心身両面に影響をもたらします。

◉身体面の変化

・筋力・体力が減り・疲れやすくなる

テストステロンは筋肉をつくる役割があるので、少なくなると当然筋肉量が減ります。筋肉量が減ると、体力も低下するので、疲れやすくなり、疲れがとれにくくなります。

お腹周りに脂肪が付き、見た目が老け込む

テストステロンは、エネルギー消費を高めて内臓脂肪を減らす役割があります。内臓脂肪は、お腹の内臓周辺につく脂肪のこと。テストステロンが低下すると、お腹周りに脂肪がつきやすくなります。年齢とともにお腹が出てくる、まさしくアレです。

また、皮脂分泌も減るため、 肌や髪がパサパサに。見た目も老け込んでしまいます。

・ 自律神経が乱れる

急激なテストステロンの低下は、自律神経の乱れをひきおこします。すると、ほてりや急な発汗(ホットフラッシュ)、頭痛、めまい、動悸、頻尿など、女性の更年期と同じような症状が出てくることも。

また、性機能の低下や、いわゆる「朝立ち」がなくなるといった男性特有の症状が現れることもあります。

◉精神面の変化

・ 精神的な問題が深刻化する

男性更年期の不調は、ストレスによって引き起こされがち。テストステロンの低下が、さらに精神的な問題を引き起こすことがあります。うつうつとした気分、不安感、やる気がでない、集中力が発揮できない、認知機能の衰え、眠れないなど、 心や脳にも大きな影響を与えます。

テストステロンが低下したからといってあきらめないで

テストステロンが低下したら、もう“男としての自分”を諦めなければならないのか。そんなことはありません。生活習慣を変えたり、毎日の生活のなかの少しの工夫で、テストステロンを増やすことができる可能性があります。

◉運動〜まずはスクワットから〜

適度に体を動かすことで、テストステロンの分泌が促されることが分かっています。筋力トレーニングやウォーキングを始めてみてください。

とはいえ、外に出る元気なんかあるわけないよ!という人は、その場でスクワット!  1日10セット行うだけでも筋肉に刺激され、テストステロンの分泌が期待できます。

とはいえ、スクワットで身体を壊しては意味がありません。

①脚の付け根から上体を前に倒す

②ゆっくりとお尻を床に近づける

膝や腰を痛めないように、こんなスクワットを丁寧にゆっくりやってみてください。

正しいスクワットの姿勢
正しいスクワットの姿勢

スクワットの姿勢 NG例
スクワットの姿勢 NG例

◉睡眠〜眠れなければ1対2の呼吸法〜

テストステロンは眠っている間に分泌されます。睡眠時間はしっかり確保していますか??仕事よりも付き合いよりも自分の健康を守ることが第一。睡眠時間をしっかり確保してください。

ふとんに入ってもなかなか寝付けない場合は、リラックスできる1対2の呼吸法を試してみてください。

①鼻から4秒間かけて息を吸う

②口からゆっくりと8秒間かけて息を吐き出す

息を吸う時間を1としたら、呼吸を吐き出す時間をその2倍の長さでゆったりと。 これだけなのに、とてもリラックスできます。夜寝る前にぜひお試しを。

◉ 「生きがい」をみつける

テストステロンは別名「社会性ホルモン」とも言われています。 気の合う仲間との時間を楽しんだり、趣味をするなど、自分が楽しいと感じられる「生きがい」をみつけ、実践することは、男性ホルモンを増やす作用があると考えられています。

「生きがい」って何だっけ?そんなもの思い出せない! という方は、まずは自分の好きなことを紙に書き出してみてください。

更年期は、人間として終わりと思われがち。そうではなく、更年期は the change of life です。心と体と向き合うチャンス。気になる変化があるときは、今回お伝えした方法をまず試してみてください。人生を楽しむための土台作りの期間にしていきましょう。

更年期トータルケアインストラクター

演劇活動後、ピラティスや整体・経絡などを学ぶ。インストラクターとして活動する中、40歳前後の女性たちの声や、自身の母が更年期障害でうつになった経験から、更年期を迎える女性の健康サポートを目的とした「ちぇぶら」を設立。1,000名を超える女性たちの調査や医師の協力を経て “更年期対策メソッド”を研究・開発・普及。口コミで広まり、企業や医療機関などで講演を行い述べ3万人以上が受講している。2018年カナダで開催の国際更年期学会で発表。著書「女40代の体にミラクルが起こる!ちぇぶら体操(三笠書房)」、「はじめまして更年期(青春出版社)」。メノポーズカウンセラー。YouTubeの登録者は3.5万人!

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