【東広島市】酒都西条の先駆け的な酒造家を見学できます!
西条町下見にあります、東広島市重要文化財の旧石井家住宅にお伺いしました。
外観は江戸建築らしい白壁造りです。
建築年代について調査された結果、19世紀初頭に建てられたと考えられています。江戸時代には酒造業を営んだと伝えられており、幕末に旅籠(旅館)を営み、明治時代には薬の店になりました。西条の酒造りは明治時代に本格化しましたので、江戸時代から営んでいたと伝わるこの石井家は先駆けと言えます。
元々は西条中心部の旧西国街道沿い(JR西条駅の近く)にありましたが、平成9年に現在の地に移築されました。(現在の建物は元々の建物の一部で、元々はもっと広かったそうです。)
帳場格子です。お金の勘定をした所、つまりはレジです。後方の畳の空間は八畳の間という名前です。
板間です。移築前の古写真が展示されています。
箱膳などの食器です。日常の食事で使われていたのでしょうか。
管理人さんから、西条の酒造りについて詳しく解説いただけました。江戸時代は米からの酒造りを広島藩が嫌ったことや日持ち保存する技術が無かったため、生産量はそれほど多くなかったそうです。
大きく変わったのは明治27年の鉄道開通とそれに伴う西条駅開業でした。陸路によるお酒の大量輸送が可能になり、市外部へと売られていくようになりました。広島市に陸軍、呉市に海軍の拠点ができたため、軍人さんに買われていって消費量を伸ばしました。
日本三大酒処の中で、伏見と灘は水に恵まれていますが(伏見は琵琶湖の水に、灘は六甲山の水に恵まれています)、西条の地はあまり水に恵まれていません。しかし龍王山から取れる伏流水から軟水醸造法によって芳醇なお酒を造ることができる(例えば賀茂鶴酒造の「大吟醸」など)ので、西条のお酒は伏見や灘と並んで人気になっていきました。
この旧石井家住宅から西条の歴史や酒造りの詳細を学ぶことができました。管理人さん(東広島市の歴史研究会にご所属)、ありがとうございました。
(了)
旧石井家住宅
広島県東広島市西条町下見1086-1
開館時間:4月~11月は午前10時~午後5時、12月~3月は午前10時~午後4時
休館日:毎週月曜日と年末年始(12月28日~1月5日)※その他に臨時休館もあります。
入館料:19歳以上の人は150円(20人以上の団体の場合は135円)、18歳以下の人と障がい手帳所有の人は無料
問い合わせ先:082-421-6393(管理棟)