【東広島市】広島空港からのインバウンド観光客を東広島に呼び込めるか?
1993(平成5)年に三原市に開港した広島空港は2年前に完全民営化されました。その民営化に伴って、今後海外と同空港を結ぶ国際線の便数が増加すると見込まれます。
新型コロナ禍で激しく落ち込んだ旅行需要が回復しつつあり、また本年のG7広島サミットで広島県が国際的に広く脚光を浴びたこともあり、海外から広島空港を経て広島県を訪れるインバウンド観光客は大きく増加しています。
しかし、筆者・中本が先日取材した、東広島市内の飲食店主は以下のようにコメントしました。「空港で広島に来ても、足早に広島市に行き、平和記念公園と宮島(廿日市市)を訪れて帰ってしまう人が多い。東広島に来てもらえない」
東広島は空港の所在する三原市に隣接していて(滑走路の一部は東広島市内にあります)、距離的に近く、観光バス等で所要時間はさほどかかりません。それなのに立ち寄ってもらえること無く通過されてしまうのは、市民としてはもったいない…。そう思いまして、「インバウンド観光客を東広島に呼び込めるか」というテーマを設定し、関係する人々に取材いたしました。
まずは、空港と市内を往復する定期バスや観光バスの運行を担う芸陽バス株式会社様にて聞き取りをしました。ご回答は以下の通りでした。
・空港と市内を結ぶ定期バス(白市駅~広島空港線及び西条~広島空港線「西条エアポートリムジン」)の利用者は、新型コロナ禍前の2019年の約70~80%に回復している。
・広島県と言えば平和記念公園と宮島の知名度が非常に大きく、東広島はとても及ばない。それゆえ、公園と宮島を訪れた人が併せて東広島を訪れてもらうことを期待している。
・ヨーロッパからの観光客には、長期滞在をする人が多い。そういう人々に対し、酒造りなどをコンテンツとした体験型のツアーを積極的に提案していけば、観光客を獲得できるのではないか。
但し、問題点も多々あるそうです。例えば、・東広島市内に大勢の観光客を一度に受け入れる規模の飲食店が少ない・そもそもの問題として、バスの運転手の人手が不足し、高齢化している。生活に必要な路線バスの運行と観光のための輸送をいかに融合させるかが課題となっている。
そして私は次に、東広島市役所のブランド推進課・観光推進係に伺いまして、御担当者から取材いたしました。以下の通りの回答でした。
・一般社団法人「ディスカバー東広島」を3年前に設立し、様々なPR活動を行っている。酒蔵や自然、食文化が豊富な東広島の魅力を今後も広めていきたい。広島県観光連盟(県の外郭団体)や広島市役所とも連携して活動を行っている。
芸陽バス様と市役所御担当者様を取材させていただいて総じて中本が感じたことは、「東広島市を訪れる観光客の増加は望むところであるが、今後のバス運転手の人材難という問題が大きく立ちはだかっている」ということでした。また、平和記念公園と宮島だけでなく、「広島県」全体の魅力が世の人々に一層認知され、観光往来が活発になる必要性を感じました。
面積が広いこの県には、平和公園と宮島以外にも様々な魅力あるスポットがあります。瀬戸内海の多島美の風景、山の緑が豊かな中国山地など…。県央部に位置して北は中国山地、南は瀬戸内海が広がり、住む人々が豊かな食文化を育んだ東広島市への往来が一層活発になることを願っています。
(了)文・写真 中本祥二
東広島市役所
広島県東広島市西条栄町8ー29
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休館日:土・日曜日と祝日、及び12月29日~1月3日
お問い合わせ先:082-422-2111(代表)
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