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【東広島市】へそ丼の卵を製造の高光養鶏場さん、故郷への熱い思いを語られました。

中本祥二地域発信ライター(東広島市・三原市)

豊栄町で開発されて現在は東広島市全域で提供されている「広島へそ丼」。一時は広島空港でも提供されました。ゆくゆくはお好み焼に続く、広島県代表グルメになるか!?

有名どころの「くろぼや」さんなど多くのへそ丼提供店に卵を提供している、豊栄町の「高光養鶏場」の代表・高光哲哉さん(52歳)にお話を伺いました。

昭和38年に創業の高光養鶏場は、広い農地の中で「一羽飼い」をしています。1羽ごとにケージ飼いすることでニワトリさんはのびのびと育ちます。フンで床が汚れないので足がきれいなままのニワトリさんは病気になりにくいのが特徴。2羽以上を一緒に育てるとケンカが起きて餌の奪い合いになりますが、1羽ごとケージ飼いですのでそれは無く、栄養価の高い餌を充分に与えて質の高い卵を産んでくれます。

高光養鶏場の全景です。
高光養鶏場の全景です。

哲哉さんは2代目の代表です。(創業者のお父様も現役で従事しています)。以下、哲哉さんのお話です。

「へそ丼の提供店を今後増やしていきたいと思います。へそ丼は豊栄町を知っていただくためにはわかりやすいコンテンツです。へそ丼が広がることで豊栄が広く知られ、活性化していき、それと共に卵を提供している当養鶏場の事業も盛んにしていきたいと思います。当初は「豊栄へそ丼」として売り出していましたが、豊栄だけでなく東広島市全域で売りたいということで「広島へそ丼」に改称し、2年前に商標登録もしました。今後は高速道路のサービスエリア等でも提供されてほしいです。そうすればトラックの運転手さん、営業回りの人、ドライブを楽しむ人等にへそ丼を食べていただけます。へそ丼は手軽に食べられて満腹になるご当地グルメです」

くろぼやさんのへそ丼です。
くろぼやさんのへそ丼です。

へそ丼が広島県全体に広まっていくことは筆者の願いでありますが、哲哉さんも同じ思いです。今年5月のG7広島サミット、国際メディアセンターでも提供されました。日本人記者を中心に多くの人が食べました。哲哉さんは以下のように語られました。

「卵を生で食べる日本独自の食文化を世界の人に伝えたい。広島県を訪れた外国人観光客は卵の生食に最初は戸惑うかもしれないが、恐る恐るでも食べてもらって、「美味しかった」と思い出に残っていただきたい。へそ丼を平和記念公園や宮島の桟橋などで提供したいし、東広島に食べに来てもらうのも嬉しいです。」

大混雑していた宮島行きフェリー(今年3月に筆者撮影)。新型コロナ禍から明けて、宮島観光は大盛況です。
大混雑していた宮島行きフェリー(今年3月に筆者撮影)。新型コロナ禍から明けて、宮島観光は大盛況です。

意外なことに、へそ丼は東広島市でもまだあまり有名ではないとのことです。卵の営業のために市内各地を回っているものの、「へそ丼とは何ですか?」と言われることも多いそうです。しかし今後大きな伸びしろのあるグルメでもあります。

ところで、単独自治体だった豊栄町が東広島市に編入合併されて、18年になります。合併によって豊栄はどのように変わったのか気になりまして、哲哉さんに尋ねました。

「都市部の西条町がどんどん栄えていって豊栄は廃れていっていると言う人は多いですが、私は荷物発送などで「東広島市豊栄町」と表記されることで、「あ、広島にあるのだな」「東広島ということは、広島市とそれほど遠くないのかな」と思ってもらえるメリットがあるのだろうと思います。」

そして哲哉さんは続いて、故郷豊栄への思いを語られました。

「東広島市は広島県内自治体の中では珍しく、人口が増加しています。ですが現状は西条周辺ばかりに移住しています。豊栄にも移住してもらいたいですし、移住したいと思うような魅力のある町にしたいですね」

「もっと、土地を活かした産業が活発になってほしいですね。昔は農業や林業など土地に根を張った産業が盛んだったと思いますが、今は土地と関係の無い産業が増えています。そして地域から人が離れていくことで山が荒れて、空いた畑が増えていきます。今後は再び土地に根を張った産業が活発になれば、移住する人も呼び込めるのではないでしょうか。」

大都市の若者には、地方暮らしを憧れている人が多いです(今月15日の中国新聞朝刊記事によると首都圏4都県の間で49%)。ですが北海道や福岡など、「わかりやすい」地域が人気なのが現実でもあります。もっともっと豊栄が知られていって、移住する人が増えることを願ってやみません。

高光養鶏場の卵は、国道375線沿い、ジュンテンドー 豊栄店の近くにある自動販売機で買うことができます。この自販機ではお米や卵かけご飯専用醤油の他に食べるラー油、えのき青のりも販売されています。ラー油と青のりをトッピングした卵かけご飯は、甘く瑞々しい卵の味にトッピングが合わさって、良いハーモニーでした!

卵やお米を生産している高光養鶏場は現在、創業者様が野菜栽培に挑戦しています。町内の空いた畑を活用して今後ますます事業が拡大していき、それによって町の産業も発展することを願ってやみません。

(了)

文・写真 中本祥二

高光養鶏場

広島県東広島市豊栄町吉原3104
お電話受付時間:9:00~17:30
お問い合わせ先:082-432-3224
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地域発信ライター(東広島市・三原市)

【東広島・三原のお役立ち情報を発信します】1982年、広島県廿日市市生まれ。2006年以来、東広島市に居住しております。フリーライター、自治会会員等幅広く活動しております。日本経済新聞コラム「私見卓見」や無印良品Webマガジンに寄稿致しました。東広島・三原の良いお話を自らの「足」で知り、文章と写真で記録して発信してまいります。宜しくお願い申し上げます。 ※日経新聞以外に以下新聞の投稿欄に掲載いただけました。中国新聞、北海道新聞、徳島新聞、熊本日日新聞、人吉新聞 ※安芸太田町のNPO法人賛助会員・島根県邑南町の地域おこし団体会員・世羅町と長野県の広島東洋カープファンサークル会員。

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