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添い乳での寝かしつけは危険?卒業のため2つのポイント【専門家解説】

ねんねママ(和氣春花)乳幼児睡眠コンサルタント

少し前に添い乳での寝かしつけによる死亡事故件数がニュースになったことがありました。そうは知っても、便利でやめがたいのが添い乳ですよね。

この記事では『すぐ寝る、よく寝る 赤ちゃんの本』著者の乳幼児睡眠コンサルタントねんねママが、添い乳はどういった点で事故につながる可能性があるのか、そして卒業するためにはどうすればよいのかを解説していきます。

添い乳の危険性

消費者庁の発表によると、平成 22 年から平成 26 年までの5年間で、0歳児の就寝時の窒息死事故は160 件確認されています。不慮の事故死のうち、8割が睡眠時の窒息です。

そのうち5件が「家族の身体の一部で圧迫される」が原因だったとされています。この家族の体の一部で圧迫というのが添い乳をしながら寝てしまったことが原因なのではないか、と推測することができます。

「添い乳は危ないからダメ」としてしまうのは短絡的で、夜泣きで眠れずに苦しんでいるママを追い詰めてしまいかねません。だからこそ、添い乳がダメだとは言いたくないのですが、このようにリスクがあることを知っておくことは大事だと思います。知っていれば”気を付ける”ことはできるからです。知っているか知らないかの差は大きいと思います。

添い乳の卒業方法

①赤ちゃんにも準備をしてもらう

これまで慣れ親しんだことを変えられるのは大人でも嫌なものです。赤ちゃんならなおさら泣いて抵抗するもの。

「この日から添い乳をやめよう」と決めたら、赤ちゃんにもそれを伝えましょう。

なぜやめるのか、いつからやめるのか、新しいルールはどうするのか、しっかり説明してあげましょう。

「赤ちゃん相手にそんなことして意味あるの?」と思われるかもしれませんが、とても大切なことです。赤ちゃんたちは発語ができないだけで、大人の話している言葉はなんとなく理解しています。ジェスチャーを交えてあげたり、声色を変えたりするとさらに理解しやすくなるのでおすすめです。

私の運営する寝かしつけ強化クラスの方でも「寝かしつけ方変えるの失敗しました」と言って入ってこられた生後4ヶ月のママに「まずはしっかり説明してやってみてください」とアドバイスしたところ「できました!ほんとにこの月齢でもわかるんだなってびっくりしました…」というご感想をいただいたことも実際にあります。ぜひ説明してあげてください。

②寝ることと飲むことを切り離す

最初に取り組んでいただきたいのは、就寝時の寝かしつけで添い乳をやめることです。ここが最も寝やすい時間帯だからです。

まずは「飲むことと寝ること」を切り離してあげる練習をしていきます。

飲みながら寝落ちさせるのではなく、飲み終わって、それから寝るというようにアクションを切り分けましょう

寝かしつけルーティーン例)
リビングで授乳→寝室へ向かう→寝る前のお話タイム→消灯→寝かしつけ

寝室で授乳でも良いのですが、ポイントは授乳した直後に寝かしつけるのではなく、授乳と寝かしつけの間に別のアクション挟む、ということです。

寝かせるときはもうお腹いっぱいで眠いモードになっているはずなので、できるだけ少ないサポートにとどめましょう。どうしても泣いてしまう場合は抱き上げてあやすこともありますが、抱き上げて寝かせるのではなく、できるだけベッドに戻してから寝つけるように練習していきましょう。

③夜中の添い乳もやめていく

就寝時の寝かしつけの添い乳卒業ができると、上手くいけばそのまま夜通し寝てくれるようになることもあります。

一方で、就寝時の添い乳のクセはなくなったけれども、夜中は添い乳が必要なまま…ということも十分に考えられます。

その場合、安全性のため添い乳をやめて授乳は続けるのか、それとも授乳で寝かせること自体をやめるのかによって対策は分かれてきます。

6ヶ月未満など低月齢の場合、夜間の授乳が必要なことが多いので、完全に断乳してしまうのではなく授乳のタイミングを決めてその時間だけ飲ませるように、他の時間に起きた時は授乳以外で寝かしつけることを練習していきます。

生後2〜3ヶ月なら3時間経っていなければ飲ませない、などのルールで良いでしょう。生後4ヶ月ごろからは24時と3時などと時間を決めて、そのあたりの時間以外で起きた時は飲ませずに対応するなどと決められると良いと思います。

最初は授乳を求めて大泣きします。しかしこれは「授乳以外でも寝られる方法があるんだよ。あなたはそれができるんだよ。」と教えてあげるチャンスです。泣いて泣いて泣き止まないからやっぱり授乳…というのが一番赤ちゃんを混乱させてしまうので、いまは飲ませるターンなのか、飲ませないターンなのか、泣いた時に判断して、飲ませるなら飲ませる、飲ませないなら絶対飲ませずに粘るというのを徹底していくのが成功のコツです。

夜間断乳の方法については下記の動画で詳しく解説していますが、夜間断乳を判断するのは慎重にしていきましょう。最低生後6ヶ月以降、安心なのは9ヶ月以降で、成長が右肩上がりで医師からも指摘がなく、日中に十分栄養が取れていて水分もとれていることが条件になります。小児科や自治体の検診の際に「夜間断乳しても大丈夫ですかね?」と聞いてみることをおすすめします。

あれはダメ!これもダメ!とご自身を追い込んでしまうのではなく、うまく付き合いながら少しずつ癖をとっていけるように取り組んでみてください。

みなさんのお子さんが、健やかに成長されますように心から願っています!

乳幼児睡眠コンサルタント ねんねママ

夜泣きや寝かしつけにお困りの方へ★200名以上在籍!乳幼児睡眠のプロに質問ができる「寝かしつけ強化クラス」も運営中♪

著書『すぐ寝る、よく寝る 赤ちゃんの本』では、抱っこで寝かしつけのクセをとる方法の他に、授乳で寝かしつけのクセをとる方法、ママやパパをさわりながら寝るクセをとる方法、具体的なねんねトレーニング方法などを具体的に解説しています。困った時の「こんなときどうする?Q&A」や「寝かしつけのよくある疑問100問100答」も収録!好評発売中です。

乳幼児睡眠コンサルタント

乳幼児睡眠コンサルタント。株式会社mominess代表。自身が夜泣きに悩んだ経験から国内外の乳幼児睡眠に関する資格を取得。0〜3歳モンテッソーリ教師資格保持。YouTube「寝かしつけ専門学校ねんねママチャンネル」やInstagramなどで発信を続け、2023年現在、SNSの総フォロワーは18万人超。運営する「寝かしつけ強化クラス」では月間200問以上の睡眠に関する質問回答を行っている。著書に『すぐ寝る、よく寝る 赤ちゃんの本』『〇✕ですぐわかる!ねんねのお悩み消えちゃう本』がある。

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