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【富田林市】寺内町から世界各国へ!和のアートを世界に発信する今昔の玉手箱さんの想いと目標とは?

奥河内から情報発信奥河内地域文筆家(河内長野市・富田林市)

寺内町は重要伝統的建造物群保存地区に指定されているので、町自体が観光スポットとなっていますが、そればかりではなく新しく店を開店する人たちが増え、生きた町として賑わっています。

今では行列ができるような名店をはじめ、個性豊かなお店が目白押しで、食べ物関係以外にもアトリエ(工房)やギャラリーがいくつかあります。

本日紹介する今昔の玉手箱さんは、和紙の技術を使ったアートを創作しているアトリエ兼ギャラリーです。本日はオーナーでありアーティストとして世界中を飛び回っている亀井美知代さんにお話をお伺いしました。

まず、場所を説明しましょう。今昔の玉手箱さんは寺内町の城之門筋と亀ヶ坂筋の間、南奥谷家住宅と佐藤家住宅の間にあります。

距離的には富田林駅からの方が近いですが、富田林駅西口の場合は北側の通りをまっすぐ東方向に歩けば、今昔の玉手箱さんの前に行けるので、その方がわかりやすいです。

佐藤家住宅がかつて味醂醸造に使っていたところ(紅梅蔵)にギャラリーがあり、以前ご紹介した珈琲豆の蔵 平蔵さんのとなりに位置しています。

こちらが店内です。たくさんの作品が並べられています。亀井さんは寺内町でアトリエとギャラリーを運営していますが、それだけではありません。スペインやフランス、ドバイに作品を出展しているとのこと。

では亀井さんはなぜ世界で作品を出展するようになったのでしょうか?

画像は亀井さん提供
画像は亀井さん提供

亀井さんは愛媛県出身で、大阪のデザイン学校を出た後、大阪のデザイン事務所で主に工業系のデザインを手がけていたそうで、仕事をしながら海外に頻繁に旅をしていたそうです。

これまでの訪れた国は20ヶ国以上。インド、イラン、ヨーロッパ諸国、アメリカなど色々な地域に渡航しました。

亀井さんが旅をしていた理由は、「写真などで見るのではなく、現地で本物を見たい」との思いが強かったので、旅をしながらそういう美術作品や遺跡などを訪ね歩いていました。

かねてからこれからの方向性について考えていた亀井さんは、2013年にスペイン在住の日本人女性と知り合い、「スペインで日本の文化を伝えるイベントがあるので参加してみませんか?」と声をかけられます。

亀井さんはちょうどそのころ、デザインの仕事とは別に、作品を創作、クラフト展などのイベントに出展し始めた時でした。

また、海外の渡航を続けているうち、外から見た日本文化の良さを深く感じはじめていた頃で、すぐにその話に乗ります。

こうしてスペイン王立植物園(Real Jardin Botanico de Madrid)の「X GRAN EXPOCICION DE IKEBANA Y SEMANA CULTURAL JAPONESA」に出展します。

店内には、フランスとドバイに出展したときの証書が飾られています
店内には、フランスとドバイに出展したときの証書が飾られています

スペインに誘われたときは「王立」という権威ある場所とは知らなかったそうです。しかしこれがきっかけとなり、作家として独立する決断につながりました。

その後亀井さんは、2014年に続いて2016年と2018年にもスペインに出展します。特に、2018年は、初の美術館出店となったそうです。

(画像はルーブル美術館:亀井さん提供)
(画像はルーブル美術館:亀井さん提供)

さらに2019年にフランスのルーブル美術館にあるカルーゼル・デュ・ルーヴル(Carrousel du Louvre )「Salon Art Shopping」に出展。

画像はドバイでのワークショップの様子:亀井さん提供
画像はドバイでのワークショップの様子:亀井さん提供

そして2022年には、アラブ首長国連邦(ドバイ・ワールド・トレード・センター)「World Art Dubai 2022」に出展します。

画像はドバイの展覧会の様子:亀井さん提供
画像はドバイの展覧会の様子:亀井さん提供

当初は2020年(実際は2021年に延期)のドバイ万博のタイミングで出展したかったのですが、ルーブルでの出展直後で制作期間が足りず2020年は、断然せざるを得ないと思っていたそうです。しかし、万博が延期されたことで、同じ時期に出展できたそうです。

2019年に亀井さんが個展をされた太子町にある西方院
2019年に亀井さんが個展をされた太子町にある西方院

亀井さんは国内でも次の活動をされています。

  • 2014年 神戸元町BAZARA倶楽部にて二人展
  • 2016年 ギャラリーはびきのにて個展「今昔の感」
  • 2017年 高野山伝統産業展出展、ギャラリーAQUA「こころを灯すあかり展」出展・しみず保田紙行灯アート出展
  • 2018年 菓子工房YAMAO Galleryにて個展「今昔の彩」
  • 2019年 西方院「結縁祭」にて個展
  • 2021年 上野の森美術館「日本の美術 全国選抜作家展」出展
この作品は、和紙を1本1本細く切り作られています
この作品は、和紙を1本1本細く切り作られています

亀井さんによれば、国によって好まれる作品に違いがあるそうです。特に日本の風景的なもの、例えば桜とか鯉をデザインしたものは人気なのだそうです。

亀井さんは「スペインは赤、フランスやニューヨークはモノトーン系の作品が人気でしたね」と言っておられました。

では、そんな亀井さんがなぜ富田林市と出会い、寺内町にギャラリーをオープンすることになったのでしょうか?

それはまだ亀井さんがデザイン事務所に勤めていたころのこと。もともと山登りが好きで、山のイベントに参加したとき、寺内町にあるカフェさんのオーナーさんと知り合ったことがきっかけです。

元々古い建物や道具等が好きだった事もあり、歴史ある建物が多く残る寺内町へ頻繁に通うようになり、気が付けば寺内町の知人が増えていったそうです。

亀井さんがスペインから戻ったときにも、寺内町との縁があり、寺内町のクラフトイベントに参加しました。

チャレンジショップとして約1か月、その後半年ほどしてもう少し広いところにと考えるようになり、2015年3月、現在の場所にアトリエ「今昔の玉手箱」をオープンしました。

もともと蔵だったことも条件が良かったそうで、気温に差があまりないことが和紙と制作には好条件でした。

屋号の意味を改めてお伺いすると、亀井さんは次のように説明してくれました。

「今と昔のデザインを融合させて進化を生み出すと言うニュアンスなんです。箱に今と昔のデザインをいれて箱を開けたら、あら不思議!みたいな。浦島太郎的ですね」

そんな玉手箱の中に紛れたアトリエ内にある亀井さんの作品は、外からの光で窓や格子が映り込み易いため、夕方の閉店後に撮影させていただきました。

亀井さんの作品はアクリル板で挟み込むように重ねている
亀井さんの作品はアクリル板で挟み込むように重ねている

私のような素人が見たら切り絵の高度なものと言う印象が強いですが、そうではありません。掘貼紙というもので切り絵とは似て非なるもの。

亀井さんに作品を作り始めたきっかけをお伺いすると、「和紙の型紙との出会い」と語りました。

京都・東寺の骨董市で偶然に見つけた和紙で作られた型紙を、一枚買ったことがきっかけだそうです。

ところがその後、もっと欲しいと思い探したのですが、中々見つけることが出来ず、後で手にした型紙が非常に貴重なものだと知りました。

伊勢型紙の本場・伊勢に行けばその型紙があるのではと思い、現地に向かったところで、渋紙(しぶがみ:はり重ねた和紙に柿渋を塗って乾かしたもの)の和紙と出会います。こうしてこの和紙を使った作品作りが始まったそうです。

有名寺院からも問い合わせがあったという金剛界曼荼羅
有名寺院からも問い合わせがあったという金剛界曼荼羅

「この和紙を使って作品を作りたい」との思いから、和紙を使った独自のアート作品が誕生していったのです。

ちなみに亀井さんは、誰かに弟子入りをしたわけでなく独学で創作して行ったそうです。

立体的に幾重にも重なっているのがわかります
立体的に幾重にも重なっているのがわかります

「大きい作品や細かい作業の多い作品になると1年以上かかる場合もあります」と亀井さん。じっくり見せていただくと、どの作品もミリ単位と言える細かさ、繊細にできていて驚くばかり。

胎蔵界曼荼羅
胎蔵界曼荼羅

平面ひとつの作品でもすごいのに、さらにアクリルを間に使い幾重にも重ね合わせてひとつの作品にする技法は、眺めていてただただ息をのむ思いです。

今昔の玉手箱の教室の様子:亀井さん提供
今昔の玉手箱の教室の様子:亀井さん提供

今昔の玉手箱では教室も行っています。

(1)彫貼紙教室月2回で時間・曜日は応相談 3,000円 + 材料費/1回〜
(2)体験レッスン 
   ①彫貼紙(切り紙)コース 2500円
   ②彫貼紙(切り紙) + 額装コース 5000円
   ③彫貼紙(切り紙) + 額装2日間コース 5000円
   (①②コースを2日間に分けたものです)

教室・体験レッスン共に、営業は午前の部(11:00〜13:00)午後の部(13:30~15:30)で要予約です。

「子供のころには周りの事を気にせず、自分の好きなものを作るじゃないですか?評価とか人の目とかまったく気にしていなかったと思うんです。なので、もう一度原点に返って作りたいものを作るお手伝いが出来ればと思って教室を開いたのです」

と、亀井さんは教室を開いたきっかけを語ってくれました。

亀井さんは、創作の楽しみを教室を通じて味わってほしいといいます。

「私の教室には決まった教材はありません。作りたいものを作ってもらうんです。生徒さんが作りたいものが完成するまでのお手伝いなのです。もちろんアドバイスをします。とにかく深く考えずに好きなことをやってほしいです」

そんな亀井さんの作品を間近で見られるチャンスがあります。

今月26、27日に太子町の西方院で、亀井さんの個展が開催されます。時間は10:00〜16:00まで。

26日には西方院開基1400年、聖徳太子御生誕1450年を記念した慶讃法要厳修が行われます。この日は法要と稚児行列があり、26・27日は結縁祭が行われます。

最後に亀井さんの今後についてお伺いすると、2023年に上野の森美術館とイタリアのフィレンチェ、2024年3月にふたたびドバイに出展するのが決まっています。その後は出展をアジア圏にシフトしたいとのこと。

「四国は空海が誕生、仏教に関しても親しみがありましたし、作風も影響を受けていると思います。そういう意味で、アジア圏への出展は次のステップですね」と亀井さん。

この日亀井さんは私のインタビューのときも着物姿でしたが、普段でも着物を着る機会が多いそうです。いつか着物生活をしたいと考えているそうです。

普段から日本に住んでいて当たり前に思いがちな日本的なものの本当のすばらしさは、海外渡航経験の多い人が特に感じると聞いたことがあります。亀井さんが着物生活をしたいという気持ちもよくわかるような気がしました。

また着物と寺内町は本当にぴったり。亀井さんのインタビューの後、すでに夜となった寺内町を駅に向かって歩きながら、そのように感じました。

今昔の玉手箱(外部リンク)
住所:大阪府富田林市富田林町23-39 紅梅蔵内
営業時間:11:00~17:00
定休日:火・水
アクセス:近鉄富田林駅から徒歩7分、富田林西口駅から徒歩9分

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奥河内地域文筆家(河内長野市・富田林市)

河内長野市の別名「奥河内」は、周囲を山に囲まれ3種類の日本遺産に登録されるほど、歴史文化的スポットがたくさんある地域です。それに加えて、都心である大阪市中心部に乗り換えなしで行ける複数の大手私鉄(南海・近鉄)と直結していることから、新興住宅団地が多数造成されており、地元にはおしゃれな名店や評判の良い店なども数多くあります。そして隣接する富田林市もまた、歴史文化が色濃く残る地域。また南河内地区の中核都市として、行政系施設が集まっています。これを機会に、奥河内(一部南河内含む)地域に住んでいる人たちのお役に立つ情報を提供していければと考えています。どうぞよろしくお願いします。

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