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【河内長野市】日本遺産「中世に出逢えるまち」のお土産、ミニ杉玉作りを木根館で実際に体験しました!

奥河内から情報発信奥河内地域文筆家(河内長野市・富田林市)

日本の国土は70%以上が山地や丘陵地と言われていますが、河内長野もほぼ同じで、市の面積の約7割が山と言われています。そのため林業が盛んな印象が強く、「おおさか河内材」という木材のブランドがあるほどです。

岩湧山の登山道から見えた山林
岩湧山の登山道から見えた山林

河内長野の観光案内所や道の駅奥河内くろまろの郷に行けば、おおさか河内材の商品をいろいろ販売していて、私もまな板を購入しましたが、まだまだ河内長野にある木の資源に関しては身近なようで遠い気がすることがあります。

そんなときに、日本遺産「中世に出逢えるまち」のお土産として、このおおさか河内材を使ったお土産が誕生したという話を聞きました。

河内長野の産業観光課の方のお話によれば、日本遺産「中世に出逢えるまち」にちなんだお土産を新たに開発したそうです。その一環として先日は薬膳精進カレーを取り上げました。

そして、河内長野の財産ともいえる「木」を使ったお土産も必要だということで、画像右にあるミニ杉玉もそのひとつとして開発されました。

昨年天野酒さんで杉玉が取り付けられ、お酒がかけられているところ
昨年天野酒さんで杉玉が取り付けられ、お酒がかけられているところ

杉玉の歴史は、以前こちらででも紹介しましたが、奈良県の大神神社が発祥で、新酒ができたことを知らせる存在です。

天野酒さんの杉玉は、木根館(きんこんかん:kinkonkan)さんが主催するの杉玉ワークショップで作られています。その関係で、そのミニ版の杉玉を作って楽しめるお土産が開発されたというのです。

では、そのミニ杉玉はどうやって作れるのでしょうか?これはとても気になりましたので、産業観光課の方を通じて木根館さんに連絡をしていただいて、実際にミニ杉玉を作ってみることにしました。

木根館さんは花の文化園の隣にあります。いつもなら道の駅から川を渡ると、階段を上るか少し北側の青い矢印のルートで、花の文化園を目指してから木根館に行きますが、今回は南側、赤い矢印のルートで行ってみました。

普段は通らない道で木根館さんに向かいます。新しい道を歩くといつも新鮮な気持ちになりますね。

ということで、南側のルートで木根館さんの前に来ました。

木根館(きんこんかん:kinkonkan)さんについて念のためにおさらいすると、正式名称は河内長野市立林業総合センター(外部リンク)といいます。

河内長野地域の森林資源の保護・育成と林業再生を基本としたもので、林業者の組織化と技術向上を目指した指導をはじめ、木工クラフト体験や森林自然をテーマにしたイベント等、学習・交流のできる拠点施設とて誕生しました。

木根館さんは、次の3つのコンセプトを重視しています。

  • <LIFE>木のある暮らしづくり
  • <D.I.Y>木のものづくり体験
  • <STUDY>森林を知る

今回は木を使ったモノづくりなので、D.I.Yに該当します。また出来上がったミニ杉玉を持ち帰って部屋に飾ることで、LIFEにも該当しますね。

さらに地元の木でつくりながら、木のお話や、酒づくりに欠かせない水には森林が深くかかわっている事を知るという、広い意味でSTUDYにもつながるのかなとも考えられます。

こちらは新しく作った木製タイルのカウンターなのだそうです。

こちらが工房です。ここでおおさか河内材を使った木工体験ができます。

木根館さんは平日には主に4・50歳代の人が利用されるそうで、自由木工を希望する人が多いそうです。それに対して休日はファミリーでの利用がメインになるそうです。

ちなみに木根館さんはウッドデザイン賞(外部リンク)2018年のライフスタイルデザイン部門で入賞しています。

このミニ杉玉作り体験は1日5個限定で、事前に申し込む必要があります。その際に確実にミニ杉玉作り体験をするためには、じゃらんの予約サイトが、おすすめとのことです。

ミニ杉玉の模型づくりは、1,500円で木工体験できます。また作成体験ではなくキットだけの購入の場合は1,300円とのことです。

すでに作業台の上にミニ杉玉のキットと、完成品が置いてあります。

ちなみに今回制作するのは台からぶら下げている部分です。

このパッケージの中にミニ杉玉作りに必要なものがすべて入っています。

工具類です。この中で最もよく使うのはドライバーでした。

杉玉そのものはレプリカです。前後に針金を取り付けています。紐でぶら下げられやすくなっているわけですね。

さてキットの中には細かいビスが含まれているので、皿の上に置きます。これで紛失が防止できますね。

こちらは木片です。両面テープが貼ってあり、ルールに従って取り付けます。そのあとビスで固定していくわけです。

今回は木根館の田中慎館長から指導をいただきました。

田中館長によれば、HPや中世に出逢えるまちの小冊子からミニ杉玉作り体験のことを知って問い合わせをしたり、申し込んで来られたりするそうです。

木根館の田中館長
木根館の田中館長

田中館長は元々アパレル業界出身で、大阪市内や堺市内に住んでいたそうですが、現在は河内長野に移住したそうです。

田中館長はDIYが好きだったことが木根館に勤める動機となりました。1年半木工スタッフとして働いたのち、今年の4月から館長になったそうです。

同じように見えても、よく見ると木の切込みが違っており、それぞれ役目が違うので注意してほしいと田中館長が丁寧に教えてくださいました。

ビスで締めていきます。

ビスは最後まで止めてはいけません。あくまで画像のように仮止めにしないと、閉めた方向にずれてしまうからです。両方のビスを仮止めしてから交互にバランスよく締めていくと、ずれることがありません。

また私のようにDIY初心者で、どうしてもうまくいかないときは、すぐに田中館長がサポートしてくださいます。

実は同じ木の板ひとつをとっても、木目によって非常に硬くてビスが入りにくい場合があります。今回はそういう板に遭遇してしまったので、そこは田中館長に助けていただきました。

もちろんビスを入れるところは小さな穴がついているので、特別に硬い木の目でなければ簡単に取り付けられます。

ただ木は生き物なので、木の目の硬いところなどは専門家でもわからないこともあるとのことでした。

屋根の上の部分を取り付けます。

田中館長によれば、ビスを見るときには上から見るほうが良いといいます。横からまっすぐに見えているようでも、上から見ると斜めになっていることも多いそうで、上から見るとそういうずれが防止できるのだそうです。

ちなみにこれは釘を金づちで打つ時も同じなのだそうです。

さて、ここで田中館長から提案がありました。「この屋根はバーナーで炙っています。好みによりますが、屋根に渋さを加えますか」とのこと。

これはしてもしなくてもどちらでもよいそうですが、バーナーを使っても料金に変更はありません。

ということで、バーナーを使ってみることにしました。

バーナーで作業をするときは屋外で行います。

こちらがバーナーです。カセットボンベに取り付けて簡単に火が出せるもので、飲食店で炙りものを料理に出すときにも使われていますね。

とはいえ、私はバーナーの利用経験がありません。最初に田中館長がお手本を見せてくれますが、何しろ火が飛び出るのでいきなりは心配です。

でもご安心ください。本番の前に木辺を使って練習ができます。

ポイントは距離感とバーナーの動かし方です。焦げ目ができる距離は最初はわかりにくいですが、ある距離になると焦げ目ができるので、そのポイントを見つけるととにかく手を動かし続けることです。手を止めるとその部分が焦げてしまいます。

練習が終わりいよいよ本番です。先ほど取り付けたミニ杉玉の屋根にバーナーを加えていきます。

このように木にバーナーの焦げ目が入り、少し渋みが加わりました。

この後は、ひもを通せる丸い輪のついたビスを止めていきます。これはドライバーではなく手で締めて行きます。

このようにビスが止まりました。

最後に紐を杉玉と制作した屋根とを結んで完成です。ちなみに紐も、屋根の上につける太い紐と屋根と杉玉の間をつなげる短い細い紐、さらに杉玉とその下の札を結ぶ長い細い紐と、それぞれ用途が分かれています。

こうして私の作品が完成しました。最初結んだ時は杉玉が下のほうだったので紐を短くして結び直しました。

このように木根館ではアドバイスをしてくださるので、仕上がりが不細工にならずに済みますね。

田中館長によると、DIYは始めるまで敷居が高い印象を持っている方が多いといいます。

それでも昨今はYoutube等の動画でDIYのやり方を教えてくれるものが増えてきました。しかし田中館長は「あれは、やっている人がもし初心者で慣れていないのなら、動画完成まで相当苦労しているでしょうね」と言います。

それにYoutubeは手とり足とりとは教えてくれません。その代わり木根館ならどんな初心者でも田中館長や木工スタッフが丁寧に教えてくれます。

だから「もっと多くの人に木根館を活用してほしい。失敗を恐れずに経験を積み重ねることが大切」だと田中館長は熱く語りました。

木根館さんの隣は花の文化園です。ちょうどボランティアの人が作業をしている姿が見えました。

木根館さんはいろんなDIYが体験できます。その中にはなんとワンコインで体験できるワークショップもあります。

このような木の枠を作るワークショップなのだそうですが、枠のところにアクセントがいくつかついていますね。

横にはこのようなチップが置いてありました。これを枠に取り付けていくわけですね。

どんぐりも近くで拾ってきたものに対して加工処理をして利用できるようにしているそうです。

また最近は外国人の方の利用も増えているそうで、人気はお箸作り(600円)なのだそうです。かんなで削って作るそうです。

また5/10に募集が始まったワークショップ「ままごとキッチン」など、いろんなDIYのイベントがあります。詳細は木根館さんのHP(外部リンク)をご覧ください。

木根館さんのワークショップはどれも人気が高いので、お目当てのコースがあれば早目に申し込んだほうが良いです。

またワークショップでのDIY体験のほか、おおさか河内材を使った木工の商品がいろいろと販売しています。

支払いは、現金のほか、各種クレジットカードやPayPayが使えます。

DIYを楽しむのもよし、気に入った木の製品を買うのもよいですね。

というわけで、河内長野の日本遺産「中世に出逢えるまち」のお土産、ミニ杉玉づくりを体験しに木根館さんにお邪魔しました。

河内長野は林業の街で、ブランド木材の「おおさか河内材」があるので、もっと木の大切さを知ってどんどん利用していこう。そんなことを思いながら、完成したミニ杉玉を持って帰りました。

kinkonkan-木根館-河内長野市立林業総合センター(外部リンク)
住所:大阪府河内長野市高向1818-1
電話番号:0721-64-8151
営業時間:9:00~17:00(受付:16:00まで)
休館日:月曜日・月曜日が祝日の場合は翌日休み・年末年始
アクセス:南海・近鉄河内長野駅からバス。上高向バス停下車、徒歩15分、奥河内くろまろの郷バス停下車徒歩5分
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奥河内地域文筆家(河内長野市・富田林市)

河内長野市の別名「奥河内」は、周囲を山に囲まれ3種類の日本遺産に登録されるほど、歴史文化的スポットがたくさんある地域です。それに加えて、都心である大阪市中心部に乗り換えなしで行ける複数の大手私鉄(南海・近鉄)と直結していることから、新興住宅団地が多数造成されており、地元にはおしゃれな名店や評判の良い店なども数多くあります。そして隣接する富田林市もまた、歴史文化が色濃く残る地域。また南河内地区の中核都市として、行政系施設が集まっています。これを機会に、奥河内(一部南河内含む)地域に住んでいる人たちのお役に立つ情報を提供していければと考えています。どうぞよろしくお願いします。

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