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【富田林市】美山台にある謎の盛り土の正体!樟木谷古墳の今を見てきました

奥河内から情報発信奥河内地域文筆家(河内長野市・富田林市)

富田林市の南北に連なる羽曳野丘陵と言えば、南端の一部が錦織公園になっている以外は基本的に金剛・金剛東の住宅地になっています。

しかし、そこに古墳が点在していたのは事実で、例えば公園として整備された廿山(つづやま)北古墳や、古墳に配慮してトンネルを掘った廿山古墳など、たくさんの古墳があります。

さて、先日、航空写真を見ていたときに気になるポイントを見つけたのです。ちょうどPLの塔こと大平和祈念塔と明治池公園の間、周辺は住宅地や駐車場等の人工的な建造物が並ぶ中で、ポツリと自然のままの場所が残っていました。

まるで小さな古墳があるようにも見えます。

そのため、公園かなと思って地図を見たのですが、公園や緑地を示すはずの緑色の表示がありません。

航空写真を拡大しました。住宅地や駐車場に挟まれるように存在しています。この盛り土がとても気になりましたので、実際に現地に行ってみることにしました。

場所は小金台一丁目にある平成幼稚園の近くにあります。まずは平成幼稚園を目指しました。個性的な園の送迎バスが見えていますね。

平成幼稚園から地図を頼りに歩いていくと、集合住宅の下側に緑が見えますが、あのあたりだけは住宅が建っていません。航空写真で見えた謎の盛り土の場所です。

盛り土のところに来ました。

盛り土に近づいてみました。ロープがあって立ち入りができないようになっています。

非常に急斜面な盛り土ですが、何も手が加えられず放置されています。周辺の宅地造成をしている様子を見ても、この一角だけ残っているのは非常に違和感がありました。

「これはもしかして古墳では?」と思い、いろいろと情報を調べてみました。すると謎の盛り土の正体がわかりました。やはりこれは古墳だったのです。

これは樟木谷古墳(くすのきだに)古墳という名前で、美山台にあります。4世紀後半ごろの方墳との記録があり、すぐ近くに存在した方墳の宮林(みやばやし)古墳と同じ形で、古墳の向きをそろえていたのだそうです。

調査によるとでは辺30メートルほど・高さ5メートル弱程度の方墳と推測されており、対角線の西半分が残っているそうです。

また平成30年度富田林市内遺跡群発掘調在報告書によれば、樟木谷古墳唯一の遺物として、墳頂より北へ約9メートルの地点の地山面上で、何らかの刃先と思われる鉄製品の破片が1点が出土したとのこと。

その破片の長さは約 4センチメートル、最大幅約 1.8センチメートルあるそうです。

平成30年度富田林市内遺跡群発掘調在報告書15ページより
平成30年度富田林市内遺跡群発掘調在報告書15ページより

また、安全面の問題からこの時に調査を見送った樟木谷古墳の東側から南側の崖を精査すれば、何らかの情報が得られるかもしれないとのこと。

将来の調査によっては、新たな発見の可能性も考えられるわけですね。

古墳の影から大平和祈念塔が見え隠れしています。

樟木谷古墳から西に歩いていくと駐車場が見えますが、この駐車場にかつて宮林古墳があったとのこと。今は跡形もありません。

余談ですがこの位置から南西の方角、すばるホールのすぐ近くに宮林池というため池がありますので、かろうじて宮林の名前が残されていますね。

宮林古墳跡地が駐車場になったため、かえって大平和祈念塔(PLの塔)がはっきりと見えます。

ちなみにこの辺りは小金平古墳群と言われ、今回紹介した樟木谷・宮林のふたつの古墳のほか「小金平古墳」「葉面山古墳」「クロイケ古墳」というのがあり、合計5基の古墳があるとのこと。他の古墳も機会があれば現在の様子を確認したいと思います。

樟木谷古墳の存在を知ると、富田林市が羽曳野市と隣接しているということ、すなわち世界遺産の百舌鳥古市古墳群と非常に近い場所にあることを、改めて感じることができました。

樟木谷古墳
住所:大阪府富田林市美山台10
アクセス:南海金剛駅からバス 小金台2丁目バス停より徒歩3分

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奥河内地域文筆家(河内長野市・富田林市)

河内長野市の別名「奥河内」は、周囲を山に囲まれ3種類の日本遺産に登録されるほど、歴史文化的スポットがたくさんある地域です。それに加えて、都心である大阪市中心部に乗り換えなしで行ける複数の大手私鉄(南海・近鉄)と直結していることから、新興住宅団地が多数造成されており、地元にはおしゃれな名店や評判の良い店なども数多くあります。そして隣接する富田林市もまた、歴史文化が色濃く残る地域。また南河内地区の中核都市として、行政系施設が集まっています。これを機会に、奥河内(一部南河内含む)地域に住んでいる人たちのお役に立つ情報を提供していければと考えています。どうぞよろしくお願いします。

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