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3.11東日本大震災で起こったことわかりやすくまとめ。資料から見る私たちが今後向きあうべき1番の課題

おりえ総合危機管理アドバイザー三沢おりえ/防犯・防災・護身術
東北地方太平洋沖地震 震度分布 東日本大震災で起こったことわかりやすくまとめ

3.11あの日を越えて生きる私たちの課題 まとめ

私たちが東日本大震災の問題を風化させないため、あの日、何が起こったかをシンプルに見える数字等でまとめました。
また、各省庁での資料から見えてくる課題とは何でしょうか?

あの日から13年、今一度災害への対策と向き合いましょう。

東日本大震災 震度分布図
東日本大震災 震度分布図

東日本大震災と言われる大災害について

地震名 平成23年(2011年)東北地方太平洋沖地震
地震発生時刻 平成23年3月11日14時46分
発生場所 三陸沖(北緯38度06.2分、東経142度51.6分、深さ24km)
規模(マグニチュード)M9.0
最大震度 7(宮城県栗原市)
*東日本大震災とは地震名ではなく災害についての名称です

被害状況

津波 遡上高(陸地の斜面を駆け上がった津波の高さ)40.5m
死者 1万5900人
行方不明者 2520人
避難者 15万5千人 以上
死因 90%が津波によるもの
被害総額 16兆9千億円

東日本大震災で起こった被害

M9の地震により岩手、宮城、福島県を中心とした太平洋沿岸部を巨大な津波が襲いました。本震による震度は、宮城県北部の栗原市で最大震度7が観測された他、宮城県、福島県、茨城県、栃木県などでは震度6強を観測。北海道から九州地方にかけて、震度6弱から震度1の揺れが観測されています。
多くの建物が倒壊津波により押し流され、それら地震の影響による火災、また原発事故も起こりました。多くの死者、行方不明者、けが人。15万5千人以上が避難生活を強いられました。
また首都圏でも震度5強を観測し、交通機関に影響があり、多くの帰宅困難者が出たほか、各地で液状化問題も発生しています。
なお、福島原発の事故では地震と津波の影響により12日午後水素爆発(のちにメルトダウン)を引き起こし、INES(国際原子力・放射線事象評価尺度)の評価で世界の原子力発電事故の最も深刻とされるレベル7と暫定評価されました。

震災後、各省庁はそれぞれの役割で13年後の現在も東日本大震災の復興に向けて取り組んでいます。

現在なお残る課題とされている主要部分

〇被災者支援
避難者や介護サポート、心のケア等。住まいとまちの復興、住宅の再建や発展基盤となる交通や物流網、医療などの充実。
ただし県外への人口の流出も現在の大きな課題です。
〇産業・生業の再生
製造業や農業水産業の再生(農地も水産業も90%以上は再開)

しかし風評被害や国内外から問われる安全性への不安、汚染水浄化後の海洋放出について地元住民や漁業関係者による差し止めを求める裁判など再開だけではない、問題を残しています。
〇福島の復興・再生
避難指示解除区域における生活環境整備、風評被害への取り組み、環境再生。
原発の廃炉までは30~40年は必要と言われていますが、その期間だけでは終われない環境汚染、汚染水処理等、現在も次世代へ残すであろう様々な課題が残されたままです。


まとめ 危機管理の専門家として感じた一番の問題


今回、東日本大震災を改めて振り返るにあたり、エビデンスの伴う資料を大量に読込みました。
私たちは日頃、ライフラインの一つである電気が足りていないと生活に困ります。その点を考慮して、個人的には原発は反対派でも賛成派でもありません。という考えを持ちながら記事を書きました。

しかし 今回様々な視点で見た被害の内容、大災害13年後の現状が回復できず生活を脅かす一番の理由。それらは、偏見を持たずに考えても放射能漏れを起こした福島第一原発事故に他ならないと感じました。
そして皮肉なことにそれは地震や津波と違い唯一私たちが

「起こらないようにできた災害」「私たちが引き起こした災害」

でもあります。
つまり現在も長期にわたり問題が解決できていないのが放射能の問題です
そして去年から始まった汚染水の海洋放出と地元関係者の裁判の問題、そして今年2月には汚染水汚染水浄化装置の排気口からおよそ5.5トン流出。事故の影響で今なお、あってはならない問題が増え続けているのに加え1月1日の能登半島地震による停止していたとはいえ志賀原発の変圧器の故障
あまりにも多い問題点に対して、改めて原発の想定外への見解の甘さ。快適に生きるためのリスクとしてのバランスの悪さを感じずにはいられません。
(ちなみに2014年から1年以上日本は原発なしで生活を送ることはできていました)
現時点で原発の安全神話が崩壊していることは間違いありません。
あってはならない事態を二度と起こさないために福島原発をはじめ全国の各原発施設についても今一度、安全性の見直しが必要だと思います。

原子力発電所が「ある」ということは代えられない事実です。稼動しているにせよ、停止しているにせよ、私たちが災害大国日本で今後生きていくためには、今まで取り組んできた想定外以上の想定に取り組む必要があるのだと改めて強く思わずにはいられません。


ただし怖がることが防災ではない

日本が災害大国と言われるには理由があります。4つのプレートの境界線上に位置すること、111の活火山、国土の70%が森林、多くの河川、に併せ水災害に弱い脆弱な土壌。そして世界的に懸念されている温暖化による雨量の増加、台風の巨大化予測など、これからの毎日にも多くの不安は常にあります。

怖い話ばかりになりましたが、ただ怖がることが大切なのではなく、その条件下で幸せに暮らすには何を準備してどう対処するべきか?人ごとではなく自分事として考え備えるのが防災です。日頃から災害などに向き合うことは苦しいことです。
毎日怖いことを考えて不安に生きるのではなく、時には考え、向き合い、有事に備えることが大切ではないでしょうか。

東日本大震災から13年、3月11日。多くの犠牲者の方々に黙とうを捧げながら、今を生きる私たちがどうするべきか、少でも多くの方に改めて向き合っていただけたらと思っています。



引用:平成23年(2011年)東北地方太平洋沖地震に関する観測・解析データなど震度分布図
引用:同上各地の震度
出典:内閣府 特集東日本大震災

出典:東日本大災害における被害額の推移についてH23年6月24日資料内閣府防災担当

出典:警察庁ウェブサイト平成23年(2011年)東北地方太平洋沖地震の警察措置と被害状況について
出展:復興庁 東日本大震災に係る政府の対応

総合危機管理アドバイザー三沢おりえ/防犯・防災・護身術

防犯・防災グッズ記事ランキング監修も手がける専門家。常識にとらわれない怖くない危機管理の考え方で講演会やメディア、セミナー、イベントなど幅広く活動。生活の中ですぐに取り入れられる対策や動き方、便利なグッズを提案。大学や企業向けに行う座学と実技のダイバーシティ系セミナーは防災、防犯だけでなくハラスメント対策など、身を守るために役立つと高いリピート率。 防犯整備士、危機管理士(自然災害・社会リスク)非常食研究家。 逃げるための護身術指導者、元硬式空手世界チャンピオン。 日本災害危機管理士機構、日本防犯設備士機構所属。

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