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下り列車は一日一本!? 九州一の秘境駅 日豊本線 宗太郎駅(大分県佐伯市)

清水要鉄道ライター

前回の記事で紹介した重岡駅の隣、宗太郎駅は鉄道ファンには「秘境駅」として知られている。

宗太郎駅 時刻表
宗太郎駅 時刻表

停車する列車は重岡駅よりも少ない。上り佐伯・大分方面は6時39分と20時35分の2本、下り延岡方面に至っては6時54分の1本のみである。宗太郎駅のある大分・宮崎県境区間は日本で最も普通列車が少ない区間だ。

6時54分発の普通延岡行き
6時54分発の普通延岡行き

この区間の普通列車はいずれも特急用電車の間合い運用で、特急に使われている787系電車に普通料金のみで乗ることのできる。

宗太郎駅前
宗太郎駅前

宗太郎駅があるのは宮崎県との県境に近い大分県佐伯市宇目大字重岡の大平地区。駅前には小集落が形成されているが、周辺とは深い山々で隔絶されているため、隠れ里のような雰囲気だ。決して無人地帯ではないが、この列車本数では地元の方が駅を使うことは滅多にないだろう。

人名に由来する駅名
人名に由来する駅名

「宗太郎」の駅名の由来はもちろん人名だ。かつて当地を治めていた岡藩(本拠地は『荒城の月』のモデルの岡城)に命じられて山々を見回っていた「洲本宗太郎」なる人物から付けられたと言われている。大分と宮崎を隔てる峠は「宗太郎越え」と呼ばれ、古くより難所として知られていた。

宗太郎駅 駅舎跡
宗太郎駅 駅舎跡

宗太郎駅は大正12(1923)年12月15日に宗太郎信号所として開設され、地元の請願により昭和22(1947)年3月1日に正式な駅となった。かつては駅員もいたが、昭和47(1972)年3月30日に無人化されている。駅舎は取り壊されて更地になり、跡地には基礎と改札ラッチが残るのみだ。

6時39分発の普通佐伯行き
6時39分発の普通佐伯行き

宗太郎駅に列車で訪れようと思うなら、延岡に前泊し、6時39分の列車で降りて6時54分の列車で帰るのが一番ハードルが低い。15分の滞在時間は少々物足りないが、列車での訪問にこだわるならこの列車を使うしかない。ただし、休日に行くと同じような訪問者に出くわす可能性が高いので、秘境駅を一人で楽しみたいなら列車の来ない日中に車で行くのが一番だろう。

跨線橋から見下ろした宗太郎駅
跨線橋から見下ろした宗太郎駅

鉄道ライター

駅に降りることが好きな「降り鉄」で、全駅訪問目指して全国の駅を巡る日々。

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