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【消えた駅舎2023③】令和5(2023)年7月~9月に消えた駅舎

清水要鉄道ライター
安房勝山駅

この記事では今年7月から9月に消えた駅舎を振り返っていく。この時期にもまた歴史ある木造駅舎が役目を終えた一方で、昭和末期生まれの個性的な駅舎も姿を消した。

内房線 安房勝山駅(千葉県安房郡鋸南町)
内房線 安房勝山駅(千葉県安房郡鋸南町)

7月上旬には安房勝山駅の駅舎が建て替え工事の進展によって役目を終えた。大正6(1917)年8月1日開業時以来のもので、内房線で多く見られる寄棟屋根の木造駅舎だった。郵便局併設の駅舎への改築工事が5月25日より開始されており7月から本格化。新駅舎は来年夏の完成が予定されている。

参宮線 田丸駅(三重県度会郡玉城町)
参宮線 田丸駅(三重県度会郡玉城町)

7月21日には三重県の田丸駅旧駅舎が役目を終えた。旧駅舎は大正元(1912)年12月に建てられたもので、小津安二郎監督の映画『浮草』にも登場した駅舎だった。解体工事は8月に完了、9月からは跡地への新駅舎建設が始まった。来年3月完成予定の新駅舎は現駅舎のデザインを引き継いだもので、交流施設を兼ねており、スタッフ配置により「有人化」される予定だ。

110年の歴史に幕 大正元年築の木造駅舎 参宮線 田丸駅(三重県度会郡玉城町)

日豊本線 山之口駅(宮崎県都城市山之口町)
日豊本線 山之口駅(宮崎県都城市山之口町)

8月15日からは宮崎県の山之口駅の建替え工事が始まった。旧駅舎は昭和40(1965)年8月に建てられたもので、旧:北諸県郡山之口町の玄関口らしい風格を兼ね備えていた。令和9(2027)年の開催が予定される国民スポーツ大会の会場となる山之口運動公園の最寄り駅で、大会に先がけて建て替えられることとなった。

南阿蘇鉄道高森線 高森駅(熊本県阿蘇郡高森町)
南阿蘇鉄道高森線 高森駅(熊本県阿蘇郡高森町)

8月には熊本県にある高森駅の旧駅舎も解体された。南阿蘇鉄道高森線の終点で、南阿蘇鉄道本社も併設されている建物だった。旧駅舎は昭和62(1987)年4月6日使用開始の2代目で、とんがり屋根の時計塔が目を惹く個性的なデザイン。旧駅舎の立野寄りに建てられた新駅舎は4月28日に落成。旧駅舎はすぐには解体されず、7月15日の全線運転再開を見届けてから約一か月後にその姿を消した。

相模線 宮山駅(神奈川県高座郡寒川町)
相模線 宮山駅(神奈川県高座郡寒川町)

9月18日には神奈川県の宮山駅の新駅舎が一部使用開始された。役目を終えた旧駅舎は昭和6(1931)年7月1日開業時からのものと思われ、私鉄が建てた駅舎らしいこじんまりとしたものだった。旧駅舎はその後解体され、新駅舎は12月17日に残りの部分も使用開始となっている。

まもなく見納め! 私鉄の面影残す小さな木造駅舎 相模線 宮山駅(神奈川県高座郡寒川町)

【消えた駅舎2023①】令和5(2023)年1月~3月に消えた駅舎

【消えた駅舎2023②】令和5(2023)年4月~6月に消えた駅舎

【消えた駅舎2023④】令和5(2023)年10月~12月に消えた駅舎

鉄道ライター

駅に降りることが好きな「降り鉄」で、全駅訪問目指して全国の駅を巡る日々。

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