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ウィリーウィンキー1号店が入居していた国鉄末期建設のログハウス駅舎 土讃線 朝倉駅(高知県高知市)

清水要鉄道ライター
朝倉駅 駅舎左部分にウィリーウィンキーが入居していた

昭和末期、分割民営化により誕生したJR各社は経営の多角化を目指して、鉄道事業以外の分野に参入する「副業」を始めた。ホテル事業にエキナカ事業、数え上げればキリがない。JR四国も様々な事業に参入したが、その中でもひときわ目を惹いたのが駅舎内で営業していたベーカリーショップ「ウィリーウィンキー」だろう。店名の由来はアンデルセンの童話に登場する「眠りの精ウィリーウィンキー」で、楽しい夢へと誘うおいしいパンを贈りたいとの思いが込められていた。高松駅や松山駅といったターミナル駅だけでなく、本山駅や多喜浜駅のような小さな駅にも出店しており、最盛期には40店近くを数えた。残念ながら、そのほとんどは閉店しており、現在は5店舗が「リトルマーメイド」へ転換の上で営業を続けている。

駅舎(ホーム側)
駅舎(ホーム側)

ウィリーウィンキーの第1号店は国鉄分割民営化2か月前の昭和62(1987)年2月2日に高知市の朝倉駅に開店。当時は国鉄直営で、ほどなくJR四国直営となるが、平成5(1993)年2月24日に株式会社ウィリーウィンキーとして分社化された。朝倉店の閉店時期は不明だが、もしこの記事をお読みの方でご存じの方がいらっしゃればご教示いただければ幸いだ。

駅舎内
駅舎内

さて、記念すべきウィリーウィンキー第1号店の入居していた朝倉駅の駅舎だが、改築は昭和61(1986)年12月23日。高知営林局の協力を得て建設された校倉造のログハウスで、40年近く経った今でもあまり古さを感じさせない。平成20(2008)年3月14日までは旅行センターのワーププラザ朝倉も入居していた。みどりの窓口設置駅だったが、みどりの券売機導入に伴い令和4(2022)年1月31日で営業を終了している。

ホーム
ホーム

朝倉駅は大正13(1924)年11月15日、土讃線日下~高知間の延伸に伴って開業。当時の所在地は土佐郡朝倉村で、昭和17(1942)年6月1日に高知市に編入されている。朝倉地区は高知市西郊の住宅地で、高知大学朝倉キャンパスがあることから、朝倉駅の一日平均乗降客数は令和3(2021)年度で1580人と県内第4位を誇る。

駅構内
駅構内

ホームは相対式2面2線。駅舎側1番線が伊野・窪川方面、2番線が高知方面となっており、構内踏切で連絡している。ホーム上屋はないが、2番ホーム上には待合所が二つも設置されているのが利用者の多さを思わせる。

ウィリーウィンキーもみどりの窓口もなくなり、駅員不在時間も増えて寂しくなった感もある朝倉駅。特急も停まる利用者の多い駅なので、せっかくの立派なログハウス駅舎を何らかの形で活用してほしいところだ。

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鉄道ライター

駅に降りることが好きな「降り鉄」で、全駅訪問目指して全国の駅を巡る日々。

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