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元は日本一長い駅名だった⁉ 南阿蘇鉄道高森線 南阿蘇水のうまれる里白水高原駅(熊本県阿蘇郡南阿蘇村)

清水要鉄道ライター
南阿蘇水のうまれる里白水高原駅

「日本一長い駅名はどこ?」こう聞かれて正しい答えを言える人は鉄道ファンでもあまりいないのではないだろうか。正解は富山県の「トヨタモビリティ富山 Gスクエア五福前(五福末広町)停留場」だが、あまりに長すぎて覚えづらい。「日本一長い駅名」として多くの人の記憶に定着しているのは、通算16年10か月間日本一長い駅の座にあった「南阿蘇水のうまれる里白水高原駅」ではないだろうか。平成4(1992)年4月1日から平成13(2001)年4月1日までの9年間と、平成19(2007)年5月21日から平成27(2015)年3月13日までの7年10か月間、日本一長い駅名だった。

駅舎
駅舎

南阿蘇水のうまれる里白水高原駅は平成4(1992)年4月1日、高森線で9番目の駅として開業。読み仮名が22文字、表記だと14文字で、鹿島臨海鉄道大洗鹿島線の長者ヶ浜潮騒はまなす公園前駅(読み22文字・表記13文字)を抜いて日本一長い駅名となった。平成13(2001)年4月2日、一畑電鉄北松江線の古江駅が「ルイス・C・ティファニー庭園美術館」(読み24文字・表記18文字)に改称すると、日本一長い駅名の座を明け渡したが、美術館の閉館で同駅が「松江イングリッシュガーデン」に再改称すると、日本一長い駅名として返り咲いた。以降、平成27(2015)年3月14日に富山地鉄軌道線の新富山停留場が「富山トヨペット本社前(五福末広町)」(読み24文字・表記17字)に改称するまで日本一長い駅名の座を守り続けた。

駅舎内
駅舎内

駅舎はログハウス風で正十二角形をしている。内部にはテーブルやソファが置かれ、少し雑然とした感じだ。室内の半分は実質的には物置となっているようである。

ひなた文庫
ひなた文庫

駅舎内で目を惹くのは本棚だ。駅舎は平成27(2015)年から古本屋「ひなた文庫」として使われており、金曜と土曜のみ営業する。南阿蘇村では唯一の書店だ。駅舎内が飲食店というところは数多くあれど、古本屋というのは全国的に見ても珍しい。

駅名標
駅名標

ホームに立つ駅名標からは日本一長い駅名を収めようとした苦心の跡が窺える。読み仮名22文字のうち「はくすいこうげん」だけが大きく書かれている。放送や地図等でも駅名の略称として「白水高原」が使われており、この略称が定着しているようだ。駅開業時の所在地は阿蘇郡白水村で、平成17(2005)年2月13日の合併で南阿蘇村となってからは旧村名を伝える駅名となった、

ホーム
ホーム

ホームには近頃流行りの中心に向かって傾いたベンチが設置されている。JR四国では「らぶらぶベンチ」と称しているが、ここでは「LOVE CHAIR」。カップルで座るもよし、一人で座るもよし、目の前に広がる雄大な南阿蘇の風景を眺められるはずだ。

駅前
駅前

駅があるのは集落から下った分かれ道の先の行き止まり。駅前にはレストラン「きしゃぽっぽ」があり、ちゃんぽんともつ鍋が名物だ。

駅前にいたヤギ
駅前にいたヤギ

駅前の田んぼではヤギが草を食んでいた。もちろん野生ではなく除草用に飼われているものだが、事前に知らなかったので、なにか野生動物がいるのかと思って一瞬身構えた。

駅全景
駅全景

日本一長い駅名では無くなってしまっても相変わらず魅力的な南阿蘇水のうまれる里白水高原駅。南阿蘇鉄道のディーゼルカーで訪れてみてはいかがだろうか。

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鉄道ライター

駅に降りることが好きな「降り鉄」で、全駅訪問目指して全国の駅を巡る日々。

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