Yahoo!ニュース

コロナ後遺症にならないためには?セルフチェックと5つの対処法を心療内科医が解説

「コロナに感染して、コロナ後遺症になったらどうしよう」と心配になっていませんか?
コロナ後遺症にならないようにするには、どうしたらいいのかわからない人も多いと思います。
まずは、コロナ後遺症になりやすいかどうかをチェックしてみましょう!
記事の最後には「コロナ後遺症にならないための5つのポイント」を紹介していますので、参考にしてみてください。

コロナ後遺症は、(感染後)慢性疲労症候群と同じ症状が出現する

コロナ感染後に疲労・倦怠感、痛み、記憶障害、集中力低下、抑うつ、不眠などの症状が長く続く場合、これらの症状はコロナ後遺症と呼ばれるようになりました。
コロナ感染に限らず、ほかのウィルス感染後にもこれらの症状が長期間続く場合があり、(感染後)慢性疲労症候群と診断されることがあります。
実際、私が診療している疲労の患者さんも約6~7割の患者さんが感染後に疲労などの症状が出てきています。

感染前に仕事や勉強を頑張っていた人が後遺症になりやすい?

疲労が長期間続いている患者さんでは、働きすぎや勉強のしすぎなどのオーバーワーク傾向との関連が報告されています(J Psychosom Res. 1995;39:633-40)。
実際に、私の臨床経験からも疲労が長期間続いている患者さんは、症状が出る前にはオーバーワーク傾向であった人が非常に多くいらっしゃいます。
働き過ぎや勉強のしすぎは、交感神経が高ぶった状態(ストレスがかかる状態)になってしまいます。
そのため、感染前に仕事や勉強を頑張っていた(ストレス状態が続いていた)人たちは、コロナ後遺症になりやすいことが予想されます。

感染前にストレス状態が続いていると、症状は長期間続く

感染後慢性疲労症候群を動物で再現した実験があり、長期間続く症状の原因として以下の3つが明らかになっています(Physiol Behav. 2015;147:264-73)。

  • 感染前にストレス状態が続いていること
  • ストレスホルモン(副腎皮質ホルモン)
  • 脳内の免疫細胞(ミクログリア)の活性化

ストレス状態が続いている(ラットの実験では、1日1時間自分より体の大きなラットと一緒のケージに入れられるストレスが5日間)だけでは症状は出ないし、ストレスがない状態で感染(実験ではウィルス感染時に炎症を引き起こす物質の注射)しても症状が翌日まで続くことはありません。
しかし、ストレス状態が続いている時に感染すると、症状が長期間(35日間以上)続くことが実験で示されています。

また、ストレス状態が続く前から、ストレスホルモン(副腎皮質ホルモン)が働かないようにする薬や脳内の免疫細胞(ミクログリア:通常は感染などで炎症を引き起こして脳を守る)の活性化を抑える薬を与えることで、ストレス状態が続いている時に感染しても、症状は長期化しない(翌日まで続かない)ことも示されています。
そのため、コロナ後遺症の原因として、ホルモンや免疫の異常が考えられ、脳内の炎症が続くことで症状が続いている可能性があります。

コロナ後遺症にならないためには?

上記の動物実験からは、コロナ後遺症にならないようにするための方法(対処法)には以下の3つがあります。

  • ストレス状態が続かないようにする
  • ストレス状態が続く前にストレスホルモン(副腎皮質ホルモン)を働かないようにする薬を使う
  • ストレス状態が続く前に脳内の免疫細胞(ミクログリア)の活性化を抑える薬を使う

しかし、コロナに感染する前でストレス状態が続く前から薬を使うことは難しいため、現実的にはストレス状態が続かないように心がけることが大切です。

ストレス状態が続いていないかチェックしましょう!

次の5つのうち1つでも当てはまる人は要注意です!

  1. なんとなく体調が悪い
  2. 睡眠時間が不足している(睡眠時間が7時間未満、または平日と休日の睡眠時間の差が1時間以上ある)
  3. 仕事・勉強や運動を頑張りすぎている(無理をしていないと思っていても、長時間の活動は、体や脳には負担がかかっています)
  4. 楽しいことをしている時間が長い(ゲーム、YouTube、ドラマの視聴、音楽鑑賞、読書、おしゃべり、楽器の演奏などの楽しいことも脳や体のエネルギーを消費します)
  5. いつも悩みを抱えている(ずっと同じような考えごとを繰り返している)

コロナ後遺症にならないための5つのポイント

ウィルス感染後に症状が続く場合には、ウィルス感染はきっかけにはなっていますが、感染という過去の事実は変えられません。
ウィルス感染の予防は大切ですが、それ以外の要因であるストレス状態が続かないように対処することも大切です。

先ほどのチェック項目で該当した番号があれば、下記の同じ番号の対処法を実践してみましょう!

  1. 体調を改善させるために、まずは生活習慣を見直しましょう!
  2. 睡眠時間をしっかりとりましょう!(睡眠時間を7時間以上とって、平日と休日の睡眠時間の差が1時間以内になるようにしましょう) ⇒ 睡眠を改善させる方法の詳細については、体や脳を回復させるためには、しっかりと睡眠をとる必要があります(外部リンク)の記事を参考にしてください。
  3. 仕事や勉強は無理のない範囲にしましょう!(翌日以降に疲れがたまらないようにしましょう)
  4. 楽しいことをしていても、その時間が長い場合は、制限しましょう!(ゲーム、YouTube、ドラマの視聴、音楽鑑賞、読書、おしゃべり、楽器の演奏などの時間を制限してみましょう)
  5. 悩みを減らしましょう!(悩みを減らす具体的な方法については、【心療内科医がわかりやすく解説】無理をしている時の感染に注意!(外部リンク)の関連記事を参考にしてください)

まとめ

ストレス状態が続いている時にコロナに感染してしまうと、コロナ後遺症になる(長期間続く疲れや痛みが出てくる)危険性があります。
コロナ後遺症にならないためには、その原因となっているストレス状態が続くのを避けることが大切です。
そのためには、以下の5つを実践してみましょう!

  • 生活習慣を見直しましょう!
  • しっかりと睡眠をとりましょう!
  • 無理をしない生活を心がけましょう!
  • 長時間の活動を減らしましょう!
  • 悩みがあれば、その悩みを減らしましょう!

こころや体の状態を把握して、オーバーワークとならないようにして、コロナ後遺症にならないことを願っています。

そのほかのストレス対処法については、【心療内科医がわかりやすく解説】無理をしている時の感染に注意!(外部リンク)の関連記事を読んでみてください。

心療内科専門医・総合内科専門医のよっしーです。心療内科医として20年以上、大学病院で15年以上患者さんを診察してきました。大学では教授として研究や学生の教育も行っています。より多くの人たちのお役に立てるような心と身体の情報を発信しています。健康な人にとっても病気の予防にも役に立つ効果的な治療法(セラピー)の情報やその実践法についてもわかりやすく解説しています。

心療内科医よっしーの最近の記事