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変化の時代こそ原点回帰。リプトン ミルクティーが見たあの時の恋模様とは?

シズリーナ荒井アイス研究家/リサーチャー
『学生のころの恋を思い出して語るカフェ』正面入り口(写真提供:森永乳業)

 チルド飲料だからこそいつでも淹れたてのような美味しさが味わえる、紙パック飲料のリプトン。メーカーは、「リプトン」ブランドの紙パック飲料やチルド飲料を扱っている森永乳業だ。同社は2022年3月29日、「リプトン ロイヤルミルクティー」を新発売したが、「リプトン ミルクティー」の愛飲者からは「味が変わった」との指摘がみられ紙パック飲料のリプトン ミルクティーは、原点回帰のきっかけとなった。

学生時代にこの紙パックにストローをさして飲んでいた世代からすると青春の味ではないでしょうか。

「リプトン紙パック」の飲料の前身ブリックタイプとして、ミルクティー味が発売したのは今から40年前のこと。リプトン紙パックのミルクティー(500ml)の発売が始まったのは1989年から。実は、2022年ロイヤルミルクティーとしてリニューアルされたが、1年ほどでまた元のミルクティーに戻った。

■リニューアルから一転。なぜ、元の味を復活させたのか?

リプトン ミルクティー終売に再販希望の問い合わせが会社史上最多の667件も寄せられお客様の声では「購入をやめました」「会社に失望」などの厳しい声だけではなく、「以前の味をいかに愛していたか」という声も多かったそうで森永乳業担当者は「当時集まったお客様からの声はラブレターだと感じました」とコメントを残している。昨年3月21日から667件(ラブレター)の要望に応える形で「元の味」”旧“発売した。

 復刻ではなく”旧発売“という見せ方や、お客様からの厳しいご意見をラブレターとして受け取った視点は、今の時代に大切な考え方ではないかと筆者として思う。

 さらに、リプトン(紙パック飲料)発売40年を記念して今月21日(木)よりスタートした『学生のころの恋を思い出して語るカフェ』(東京・原宿)を期間限定オープン。

 カフェのコンセプトは、リプトン ミルクティーが辿った終売から旧発売までを誰もが学生時代に一度は経験するであろう甘酸っぱくてほろ苦い恋愛ストーリーと重ねて、カフェコンサルタント佐藤仁美さんがリプトン ミルクティーを使ったオリジナルの監修メニューを味わいながら恋愛トークを語り尽くせる場を森永乳業が提供する。

■特別メニューを監修された佐藤仁美さんはどんな思いで作ったのか

佐藤仁美さん 2023年12月にフリーランスのカフェコンサルタントとして独立。年間200回以上カフェに通う、スペシャリストとしてカフェに関する商品企画からメニュー開発まで幅広く担当する。
佐藤仁美さん 2023年12月にフリーランスのカフェコンサルタントとして独立。年間200回以上カフェに通う、スペシャリストとしてカフェに関する商品企画からメニュー開発まで幅広く担当する。

今回、提供するメニューは全5種。名前が特徴的で、注文時からドキドキしてしまいそうだ。

佐藤仁美さんの監修メニュー一覧(写真提供:森永乳業)
佐藤仁美さんの監修メニュー一覧(写真提供:森永乳業)

 実は、『学生のころの恋を思い出して語るカフェ』のメニューは商品名が既に確定した状態で、それに合わせて佐藤仁美さんが一から作り上げたレシピだったことをこの取材時に知った。

特徴的な商品名ですが、ご自身の実体験をカフェメニューとして考案されたんですか?

佐藤仁美さんは自宅で誰でも簡単に楽しめるカフェドリンクメニューの考案もSNSを通じて発信している。
佐藤仁美さんは自宅で誰でも簡単に楽しめるカフェドリンクメニューの考案もSNSを通じて発信している。

 佐藤さん「リプトンとの出会いは中学生の頃で、今から10年ほど前までは森永乳業の元社員だったんです。会社を離れてからはずっと飲料の世界にいました。大手カフェチェーンでドリンクの商品開発やフランスを代表するシロップや植物性ミルクの会社を経てフリーランスのカフェコンサルタントとして、昨年12月に独立をしました。今回、お話をいただいたのも元職場の先輩からのオファーで嬉しすぎてたまらなかった」と当時の胸中を語る。

 佐藤さん「先輩の期待に応えるために、学生時代の恩師を訪ねてインスピレーションを受けるため高校へ訪問しました。今どきの学生たちがどんな環境で、どんな学校生活を過ごしているのか興味がありましたが、二、三十年前と全く変わっていなくてどこか懐かしい気持ちになれました。“体育館や教室をみてそうそう黒板もちゃんとある!”ってなりましたね。そこから、インスピレーションを受けたことをノートに書き出し情報の整理がはじまりました」

佐藤さんの実際のメモ1/2
佐藤さんの実際のメモ1/2

佐藤さんの実際のメモ2/2
佐藤さんの実際のメモ2/2

企画のお話を受けてからおよそ2ヶ月で完成させた思い入れのある商品とは

 佐藤さん「最初、メニュー名が発表された時に、“え…これって三角関係!?(商品名)”や“先輩、先輩、先輩!(商品名)”など、三角関係をどうやってこの複雑さを味で表現すべきなのか、先輩ってどんな味なんだろう…。シチュエーションはわかってもどう味に落とし込むべきなのか…。見た目をどう表現すべきかすごく悩みました。しかも、1品だけではなく5品もあるのでそれぞれの見た目や色を変えるとなると全体のバランスを見ながらの商品作りはものすごく苦労しました」

「監修メニューの構成をどうするか悩んでいる」当時の自分を振り返る佐藤さん
「監修メニューの構成をどうするか悩んでいる」当時の自分を振り返る佐藤さん

「その中でも一番手のかかった商品は“え…これって三角関係!?(商品名)”ですね。」

三角関係をチョコソースで描いたハートで表現
三角関係をチョコソースで描いたハートで表現

丁寧に仕上げていく佐藤さんの手元
丁寧に仕上げていく佐藤さんの手元

 三角関係にもそれぞれ思っていることがあるからチョコソースでハートを描いたりし、ピスタチオでナッティーな感じのミルクティーに仕上げました。

一番すっと自分の中に入り込んだ商品はナミダ(“わたし、フラれました(商品名)”)ですね。

表面に浮かぶ3つのオレンジソースで”ナミダ(涙の雫)”を
表面に浮かぶ3つのオレンジソースで”ナミダ(涙の雫)”を

最初にグラスに入れたオレンジスライスは元彼を表現
最初にグラスに入れたオレンジスライスは元彼を表現

リプトン ミルクティーを注ぐ
リプトン ミルクティーを注ぐ

オレンジスライスを最後に添え粉糖まぶし、オレンジソースをトッピングで完成
オレンジスライスを最後に添え粉糖まぶし、オレンジソースをトッピングで完成

「オレンジソースのトッピングが3つあるんですけどこれを私はナミダに見立てて、悲しい時に泣いてしょっぱい切ない気持ちや落ち込んでもキラキラする気持ちを表現したくてこのトッピングを何かに使いたくて自分の中でずっと温めていました。」

 実際に、試飲させていただくとドラマチックな味わいで、飲むタイミングや飲み進め方で味わいの変化が現れる今までにないリプトン ミルクティーの魅力が詰まっていました。佐藤さんのお人柄がよく伝わる味わいに仕上がっていた。

最後に振り返る恩師が佐藤さんに送った言葉が深すぎた

「昔のことを振り返るということは自分のことを考える機会にもなって、あの時の自分と出会うと今の自分と出会える機会にもなる。それは未来を考えるきっかけにもなるから学生時代を振り返り立ち止まって考えるということはすごくいい機会だと思うよ」

佐藤さんの恩師の言葉がこの期間限定オープンのカフェ「学生のころの恋を思い出して語るカフェ」にハマりすぎていて筆者としては感慨深い。佐藤さんにとっても今回の仕事は、いろんな意味で原点回帰になったに違いない。

■期間:2024年3月21日(木)〜31日(日)

■営業時間:11時00分〜18時30分(ラストオーダー18時00分)

■場所:dotcom space Tokyo 東京都渋谷区神宮前1-19-19 エリンデール神宮前 B1F

取材協力:森永乳業

スチール:シズリーナ荒井

アイス研究家/リサーチャー

1歳1ヶ月からこれまでに食べたアイスの数は、およそ6万個以上。(初めて食べたアイスは「ガリガリ君 ソーダ味」)「アイスは単なるデザートではなく冷凍食品」であることに気がつき東京藝術大学へ進学、年間4,000種類ものアイスの食べ方を研究しイートデザイナーとして「魔法のアイスレシピ」(KADOKAWA)を出版し話題に。様々なメディアを通じて独自の視点でアイスの魅力を発信し続けるアイス評論家としても活動中。

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