【いわき市】今も残る古の面影。いつか無くなる前に、そっと触れておきたいカフェの空間。
どうも、いわきのグルメを追い求める保険屋 SMILE AGAIN です。
古の炭鉱街として知られる”常磐湯本町”。
ただ、その面影は12年前の「東日本大震災」以降、めっきり少なくなってしまいました。
かつては映画館「三凾座(みはこざ)」に代表されるような、歴史を感じるレトロな木造建築があちこちにありましたが、老朽化が進み今となってはなかなか目にすることができません。
そんな中、昔の面影を今に伝える貴重な建築物が、常磐湯本町の一角に誰もが触れ合うことのできる”カフェ”というカタチで存在します。
今回はそんなちょっとめずらしいカフェにやってきました。
その名も「備中屋本家 斎菊(びっちゅうやほんけ さいぎく)」さん。
なんか、カフェっぽくない名前でしょ。
この店名は以前経営していた、ご商売からきています。
しかも営業しているお店は、かなり歴史を感じさせる「蔵の中」。
テナントや店舗で営業するスタイルを見慣れた人間からすると、建物も入口も通常とはかなり変わった斬新な光景に映ります。
いかにも重厚そうな巨大な観音開きの扉は、訪れる人たちにかなりのインパクトを与えるでしょう。
そしてその内側にある、ちょっと重めの内戸をスライドさせれば、2階へ続く階段が見えてきます。
そのまま2階に上がってみてください。
そこには年代物の「蔵の中」だということを忘れさせてくれるような、センスのいいカフェの空間が目の前に現れてきます。
心地よく響く落ち着いたミュージックが、やさしく出迎えてくれるでしょう。
そして、きっと目に付くはずです。
店内に飾られた数多くの歴史を感じる美術品や調度品たちが。
それは、マスターの先代や先々代、あるいはもっと先の祖先から受け継いだ、かなり歴史を感じさせるものばかり。
長きに渡りここ”常磐湯本町”でご商売を続けてきたマスターや先代たちといっしょに、今日までリアルタイムに時代の流れを乗り越えてきた品々たちが、今、目の前に広がっています。
時代を感じさせる品々に囲まれながら、きっと未体験ゾーンに引き込まれることでしょう。
ただ、ここはカフェ。
カフェとしても堪能してみることに。
入口にあった立て看板の「デザートセット」が気になったので、そちらをオーダーしてみました。
「デザートセット」は日によって内容が変わり、本日は「ガトーショコラ」と「備中屋プリン」が選べます。
今回は「備中屋プリン」を選択。
到着する間、しばし美術品や調度品の鑑賞に勤しみます。
ほどなくしてやってきた「備中屋プリン」は、イメージしていたものよりもずっと華やかで絵になるワンプレートの登場でした。
これはなかなかのセンス。
散りばめられたフルーツたちが、いいアクセントとしてプレート全体を盛り上げています。
さっそく「備中屋プリン」にスプーンを入れると、かなりスムーズに入っていきました。
柔らかいですね。
一口目。
思った通り、軽くてなめらか。
口の中でスッと消えていく食感です。
この”くちどけ感”はかなり秀逸。
味わった感じも同様で、プリン特有のまったりとした風味とほど良い甘さがしっかりやってきた後は、余韻をあまり引きずらないスッキリとした後味を印象付けます。
所々に挟むフルーツたちもひとつひとつの美味しさを強調しながら、フルーツ本来の美味しさの後は良い余韻だけを置いていくような、そんなイメージです。
そこにアイスコーヒーのコクと香り、そしてほろ苦さが加われば”至福の時”の出来上がり。
ここまでくれば、外観や店内にある美術品や調度品に目が行きがちですが、「備中屋本家 斎菊」さんとしてのアイデンティティはしっかりと”カフェ”であることに気づくでしょう。
美味しいコーヒーに美味しいデザート。
そしてしっかりと時代を見つめてきた歴史ある品々に囲まれながら、古の常磐湯本町を感じるには”この上ない空間”がここにはあります。
徐々に古の常磐湯本町の光景は消え去ろうとしていますが、いまだに時代を感じさせる建造物がなんとか残っていることに私自身も驚きです。
しかも、誰もが触れられるカタチで。
「備中屋本家 斎菊」さんはもしかしたら、歴史的な建造物に誰もが触れられるラストチャンスかもしれません。
今のうちに「備中屋本家 斎菊」さんを体験しておきませんか?
こんな空間、なかなか他所では味わえませんよ。
カフェ「備中屋本家 斎菊(びっちゅうやほんけ さいぎく)」
住所:福島県いわき市常磐湯本町三函235-1
営業時間:11:00~17:00
電話番号:0246-64-8401
定休日:月・火・水曜日
Twitter