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整理収納アドバイザーが教える、飽くなき物欲との付き合い方

鈴木久美子片付け・収納専門家

こんにちは。片付け・収納の専門家、鈴木久美子です。今回はタイトルにあるように、物欲との付き合い方いついてお話したいと思います。私は700回以上も、片付け・収納のサポートを行っています。物の整理や手放すサポートをし、使いやすい収納を作っていく仕事をしていますが、いつもモヤモヤと思う事があります。

それは、『なんでこんなに買ってしまったの?』という事です。だいたい物にあふれた状態でご依頼いただくのですが、本来は、そんなどうしようもなくなった状態からご相談いただくのではなく、できれば、皆さんに最初からうまく物欲をコントロールできるようになって欲しいのです。

物欲をコントロールできれば、家が物であふれる事もないですし、無駄に物を捨てるという資源の無駄にもなりません。もちろん、お金の節約にもつながりますよね。

さらには、物欲とうまく付き合う事でよりよい人生を歩んでいけると私は本気で思います。

整理収納アドバイザーとして、よく記事の依頼がある内容は、『収納術』とか『便利グッズ、アイデアグッズ』、『物を捨てる基準や方法』、『散らからない片付け術』などが多いのは承知の上、需要があるかどうかは分かりませんが、よかったらお付き合いください。

物欲の垂れ流しは恥と思え

まずはじめに、人間ですからいろいろな欲があるのは当然です。私はミニマリストでもないですし、物欲もあります。物というのは、適正な質と量であると、その人の暮らしや人生を豊かな物にしてくれますが、適正量を超えた物や自分に合わない質の物に囲まれていると、その暮らしや人生は間違いなく質を落としていきます。

『欲しい!欲しい!あれもこれも欲しい!』

『安いし!みんなが持ってるし!とりあえず買っておこう!』

『ストックがいくつあるか分からないけど、面倒だしまとめて買っておこう!』

そんな感じで買い続けるのは賢い大人のすることではありません。まだ小さな子どもが、買って、買ってと、駄々をこねているのと何ら変わりはないのです。

物欲の垂れ流しと、強烈な言葉を使ってしまいましたが、例えば、食欲に例えて考えましょう。ちょっとおなかがすいたからって、時も場所もわきまえず、食べ続けるのはいかがな物でしょうか?適正な量があり、自分に必要な栄養素があるのです。少し太ってきてしまい、食べる量や栄養素を考えながら、コントロールされている人もいるかと思います。

物だって同じではないでしょうか。少々欲しくなっても、本当に必要なのか、量は適正なのか、そのような事をしっかりと考えてから買うのが当然ではないでしょうか。

1000円の服を100着と、1万円の服が10着どっちが満足か?

一番増えてしまいやすい衣類について例えてみました。ついつい手に取りやすい価格ってありますよね。安いからで飛びつくのではなく、自分にとって必要かどうか、自分の気持ちが満足できるのかどうかを考えてみましょう。

安い!という基準で購入したものは、いくつ購入しても、満足感を得る事は難しいです。きっとまた、すぐに欲しくなり、際限なく増えていくでしょう。

ここでお伝えしたいのは、高い物を買うのが良いという事ではないのです。

高い、安いにかかわらず、自分にとって必要な物を必要な量を持つという事です。ただ人はついつい安いと思うだけで手軽に、必要かどうかを熟考せずに買ってしまいがちだという事です。

洋服やバッグだけでなく、悪化してくると、箱や空き容器、レジ袋、パンの袋に牛乳パックまでコレクションをはじめてしまう方がいます。もちろん、そのゴミのような物を集めて、満足できるならいいのですが、満足感は得られず、どんどん暮らしが窮屈になってきます。

限られた家のスペースに何を置きたいのか、自分は何を求めているのか、しっかりと向きあい、物欲と付き合っていきましょう。

大きな物、高い物だけでなく安くて小さな物にも選ぶ習慣を

皆さんは大きな物(例えば、冷蔵庫や洗濯機)を買うとき、しっかりと検討しますよね。大きさはスペースに合っているのか、機能面ではどうなのか、いろいろ悩んで比較して購入すると思います。大きな物だけでなく、小さな物、安い物でも同じです。いくら安い物だと言っても、使わなくなったからと言って、まだ使える物を躊躇なく捨てる人はなかなかいません。

本当にしっかりと考える必要があるのは、ついつい増えていく小さな物、安い物なんです。どんな物を購入するときもしっかりと自分にとって必要かどうかを検討する習慣をつけましょう。

物と人間の関係はかなり密接です。どんな人も、衣類を着て出かけます。どんな人もお箸やお茶碗で食事をします。物にあふれて暮らしている人も、シンプルな暮らしをしている人も、結局、一人が今、本当に使う物の数はそんなに変わらないんです。

大げさではなく、どんな物と人生を歩んでいくのか、どんな物を見て、触って、囲まれて暮らしたいのか、しっかりと考えていくことが豊かな人生を作るはずです。

ただ、最後に言っておきたいのは、物は大切で重要だとお伝えしていますが、たかが物でもあります。自分に合わなかった、好きではなかった、そう感じる物は早めにサヨナラして大丈夫です。よく、お客様も捨てたら、悪いかな、もったいないかな、などと負い目に感じながら悩まれる方が多いですが、物をコントロールする主導権はだれでもない、あなたが持つんです。

物は人生を快適に楽しくするための道具なんです。

物欲と賢く付き合って、快適で楽しい暮らしを作ってくださいね。

片付け・収納専門家

整理収納アドバイザー1級、住宅収納スペシャリストの資格を保有し、片付け・収納の専門家として活動中。個人宅の片付け、収納のサポートを中心に、講座、記事執筆、Instagram、YouTubeなどで暮らしに役立つ情報を発信している。TV(NHKニュース7、ZIP、ラヴィット、ズームインサタデーなど)メディア出演多数。整理収納アドバイザー2級認定講師として整理収納アドバイザーの育成もしている。

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