4月になり、だんだん寒さが和らいできました。それとともに走っていると、汗をかくようになりました。特に暑熱馴化ができていないときは、走行中に塩分の濃い汗をかいて低ナトリウムとなり、吐き気や足の攣りの原因になることがあります。その予防として暑熱馴化や、水分とともに塩分の摂取が励行されています。ですが最近、それ以外の原因もあるのではないかと言われています。

フルクトース（果糖）も原因となる？

グルコース（ブドウ糖）と同じ単糖類のフルクトースは、最近になって脳下垂体のホルモンの一種、抗利尿ホルモンの分泌を促進する可能性があると言われています。抗利尿ホルモンは過剰に分泌されると尿中への水排泄を抑制し、その結果血液が水で希釈されて低ナトリウムとなる可能性があるのです。2023年7月のアメリカの医学雑誌に、原因が分からない低ナトリウムのランナーの一部に、フルクトースが関与しているのではないか？という文献が掲載されました。

フルクトースってどんなものに含まれるの？

元々はフルクトースは果物に含まれる単糖類です。ブドウ糖とは違い、肝臓以外ではほとんど利用できません。果物から摂取する果糖は食物繊維の影響もあり、緩徐に吸収されてほとんどが肝臓で代謝されます。ですが運動中に摂取するスポーツドリンクに含まれている「果糖ブドウ糖液糖」は急激に吸収されるうえに、さらに多量のフルクトースが含まれています。その結果、急激に肝臓で処理しきれないほどのフルクトースが体内にあふれ、抗利尿ホルモンが分泌されてしまう可能性があるのです。

ではどうすればいい？

スポーツドリンクや経口補水液の多くにフルクトースは含まれています。というのも多種の糖質が入っていた方が、糖質の吸収が速くなり、糖の利用効率が高まるとされているからです。おそらくほとんどのランナーは、適度にフルクトースを摂取した方がパフォーマンスが向上しますので、気にする必要はありません。ですがごく一部のランナーには、悪影響を及ぼしている可能性があるということです。どんなに対策をしても、低ナトリウムからと思われる吐き気がでる、足のつりで失速するというランナーは、フルクトースを控えてみてはいかがでしょうか。一部のパウダータイプのスポーツドリンクや経口補水液には、フルクトースが入っていないものもあります。参考にしてみて下さい。

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