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令和6年能登半島地震を体験して実感した「5つの減災への備え」

田中ゆみこ整理収納アドバイザー/時短家事コーディネータ―

整理収納アドバイザーの田中ゆみこです。令和6年能登半島地震が起こった時、突き上げるような揺れと激しい横揺れを感じました。海沿いに自宅があるのですぐに車で高台へ避難、少し落ち着いてから自宅に戻ってきました。

いのちの危険を感じるほどの揺れだったのにもかかわらず、自宅に戻ってきた時、何一つ転倒・散乱していない部屋を見て、改めて整理収納の大切さを感じました。

今回は、整理収納アドバイザーとして日頃からやっておいて良かった!減災への備えを5つご紹介します。

1.家族全員でモノの定位置を共有しておく

どこに何が入っているかを記す「ラベリング」は必須
どこに何が入っているかを記す「ラベリング」は必須

整理収納に「モノの定位置を決める」というルールがあります。すべてのモノに定位置(元に戻す場所)を決めると「あれは何処いった?」と探し物をすることが減ります。

津波警報を受けて避難する時、家族全員パニックでしたが、夫が冷静に私には貴重品類を、子どもたちにはバッテリーや防災用具を持ち出すように的確な指示がありました。「バッテリーはどこにあるの?」「懐中電灯はどこに片づけてる?」と子どもからの質問も飛び交うことなく、探し物をすることなく、すぐに避難できたのは、家族全員がモノの定位置を日頃から共有していたからだと実感しています。


2.動線を考えて定位置を決める

津波警報が発令され1分もかからずに避難できたのは、外へ避難する際、動線上の玄関に防災リュックを置いていたからだと痛感しています。

実は今回の地震で初めて防災リュックを持ち出しました。いつ使うか分からない防災リュックを購入した当時は1階リビング横の和室押し入れに定位置を決めていました。しかし、実際に避難する時のことを考えたら、押し入れは動線がスムーズではありません。そこで、すぐ避難できるように玄関に防災リュックを置くことにしました。

防災リュックは決して使用頻度の高いモノではありませんが、緊急性があるので、避難する際にすぐ取り出せる玄関に定位置を決めて大正解だったと実感しています。

3.高い場所にモノは置かない

阪神淡路大震災を経験し、高い所からモノが落ちてくる恐怖を味わいました。それ以来、例えば、3段ボックスは縦置きではなく横置きにする、高い場所には飾り物を極力置かないなどレイアウトを工夫して暮らしてきました。

日頃から「高い場所にモノを置かない」「万が一高い場合に飾りモノをする場合は滑り止めシートなどを使って転倒しない工夫をする」など収納する際に転倒しない移動しない工夫をしているので、家具の転倒やモノの移動がなかったと感じています。

4.ローリングストックで食料品を備蓄する

家を建てた当時は「収納スペースがないから非常食を保管する場所はない」と決めつけていました。しかし、日頃から多めに食材や加工品をストックしておく「ローリングストック法」を知り、これだったら我が家にも取り入れられるかもしれない!と冷蔵庫横のスキマ空間に収納スペースをつくり、パントリーとして食品を管理するようになりました。

スキマ収納ワゴンに普段食べているレトルト食品や缶詰を保管することで、今回、地震が起きた際も慌てて買い物に行くことはありませんでした。スペースがないからとあきらめるのではなく、スペースを作ってでも備蓄食を管理することは大事です。


5.本当に必要なモノを持つ

2階建ての住居の場合、実際に地震が起こった時、2階部分にモノが多いとそれだけ揺れが大きくなると言われています。

整理は「いるモノ」と「いらないモノ」を区別すること、収納は取り出しやすく戻しやすい場所に定位置をつくることです。

「モノを多く持たないほうがよい」ということではありません。筆者自身、ミニマリストでもないし、美収納の自宅でもありません。でも、少しでも減災につながるように、モノは厳選して本当に必要なモノを持つことを意識しています。

整理をして使っているモノ、必要なモノを選ぶことから片づけはスタートします。今一度、家の中を見渡して本当に必要かどうかモノと向き合うことをおすすめします。

防災から減災へ

今回の地震で要不要を区別するモノの整理は「減災への一歩」につながり、災害が起こった時を想定して「収納」することが大切だと改めて感じました。整理収納をすることが減災へつながり、家族のいのちを守ることにもつながります。

いつどこで何が起こるかわからない世の中、皆さんの暮らしの参考になれば幸いです。

整理収納アドバイザー/時短家事コーディネータ―

無印良品やニトリ・100均が好きな、2人の男の子ママ。家族の笑顔を増やしたい!こころと暮らしのハードルを下げた「整理収納・時短家事」をご提案しています。Instagramでは誰でも真似できるお役立ち情報を発信。著書『子どもが片づけ上手になる魔法の言葉』

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