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ブーム再来の現在に読み返す34年前のシステム手帳専門誌「リフィル通信」は、手帳のソフトウェアに焦点

舘神龍彦

手帳評論家・デジアナリスト・歌手

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34年前にもシステム手帳の雑誌があった

 システム手帳。
 1980年代後半に日本に上陸し、一躍大ブーム。これがいつの間にか終息したかと思えば、最近なにかと大手文具店でも見かけるようになりました。
 銀座・伊東屋では、システム手帳サロンというイベントも開催中です(10月末まで)。
 雑誌「システム手帳Style Vol.6」(ヘリテージ)も発売中です。

 というわけで、こんにちは。手帳評論家/デジアナリストの舘神龍彦(たてがみたつひこ)です。今回は、34年前に創刊されたシステム手帳専門誌「リフィル通信」(アスキー)を振り返ってみたいと思います。
 これは、'80年代のブーム当時に刊行された雑誌です。刊行元はアスキー。パソコン関連雑誌で有名な出版社でした(現在はKADOKAWAグループ)。そのアスキーが、当時ブームだったシステム手帳の盛り上がりを受けて刊行したのがこの雑誌だったのです。

「リフィル通信」Vol.1 昭和62年刊行 の第1号
「リフィル通信」Vol.1 昭和62年刊行 の第1号

有名人のガイドにリフィルのお手本、手帳術まで

 この「リフィル通信」どんな雑誌だったのか中身を見てみましょう。
  ありていに言えば、これはシステム手帳という新しい情報機器(そう、情報機器だったのです)の、活用HowTo雑誌です。

 同誌が刊行された昭和62年(1987年)は、システム手帳がちょうどブレイクしたところ。日本の景気で言えばバブル前夜の時代です。刊行年月日は7月25日と、ブームにかなり前のりしていたことがわかります。

 表紙にシステム手帳よりも存在感を持って写っているのは、「Macintosh Plus」。これは、刊行元の出自を考えれば自然であると同時に、同誌で後年加熱する、自作リフィルの設計ツールという側面も持っていました。

全ての情報を集約させる究極のアナログツール

 さて中身を見ていきましょう。まず巻頭には、システム手帳を薄く保とうという意識の元に「手帳スリム主義」なる見出しの特集があります。

 その中身といえば、システム手帳のリフィルとしてラジオやスケール、電卓や裁縫道具などをカードポケットリフィルに保持する提案。次の見開きでは、バインダーの中に独自のデータベースを作ろうというアイデアが登場します。

 続く巻頭のモノクロページは、手帳名人の取材記事。学校教師や芸能人、文化人の秘書などに取材した使いこなしのコツの特集です。

 昭和62年という時代は、インターネットはおろか、パソコン通信が登場したかどうか。手帳の中に全ての情報を集約させようという発想は、この当時としては実はとても先進的だったのだと思えます。

 現代の我々は、自らの個人情報や各種アカウントとそれに紐付いた情報をスマートフォンの中に結果として集約しています。

 そして、「リフィル通信」とその読者は、システム手帳のバインダーというツールの中に、おのおのの方法や工夫でそれをアナログかつ手探りでやろうとしていたのです。

 それが果たされていたのかどうかは、今となっては検証のしようがありませんが、野心的な試みであったことは間違いありません。

その名の通り「リフィル」が中心

 そしてこの専門誌を現代の「システム手帳Style」と比べてみるとあるひとつのことに気がつきます。それはモノクロのページが中心になっていることです。

 これは予算とか時代の違いではないでしょう。そうではなく、モノクロのページの中に、リフィルを活用するための知恵がこれでもかと紹介されているという事実の方に目を向けるべきだと思われます。

 それは議事録や住所録、メモ、そしてリフィル全般の保存などに及びます。

 要するに、システム手帳のソフトウェアをどうやって使いこなせばいいのかという、当時のユーザーが直面していた問題にその時点での回答を丁寧に提出しようとしていたわけです。

コピーして利用するオリジナルリフィルも

 このリフィル中心の主義は、雑誌中央に綴じられたオリジナルリフィル集の付録にも現れています。これは編集部が独自にデザイン・編集したリフィルです。最初からバイブルサイズ。キリトリセンでカットしてそのまま使っても、またコピーして使うこともできます。さらに本誌にはオリジナルリフィル各種の記入方法も解説されています。

 この辺も、新しいハードウェアに、利用目的=ソフトウェアを提供しようという意図が感じられます。

 現在でも、ユーザーの手になるオリジナルリフィルは存在しています。またネット上に公開されたりもしています。そしてこの当時は、こんなふうに雑誌の付録になるものだったわけです。
 いかがでしょうか。

 実は、この「リフィル通信」は、発売当時に買ったものではありません。

 2004年に刊行した私の初めての手帳の本『システム手帳新入門!』を書くときに資料のひとつとして、オークションで購入したものです。

 あらためて引っ張り出してみると、いろいろ発見がありました。

 最新の専門誌「システム手帳Style」がもしお手元にあったらこの記事と比べてみることをオススメします。

 デジタル化やスマートフォンの出現と普及。そして文具ブーム。昭和62年から現在に至るまでの間に情報の扱いに関するテクノロジーは著しい発展をとげました。いろいろなツールが登場しています。そしてシステム手帳が今また注目を集めている。

 「リフィル通信」は、システム手帳のソフトウェアの側面が、日本上陸当時はどんなものであったかを今に伝えてくれます。

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