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【英会話】そこでキープ って言ったら、外国人が変な顔。なんで?

英語雑学エッセイスト 徳田孝一郎英語・英会話研修スクール「英語・直観力」代表

 え~、わたくし徳田孝一郎と申します。

 元英会話スクールVice-presidentで、英語をネタにしたエッセイや小説を書いたり、企業向けの英語・英会話研修を提供する会社を経営したりしてるんですが、英語を話せるようになったのは30代中盤でして。

 それまでの私の失敗英語や、今も私の周りで起こっている英語にまつわる失敗談を多少脚色も加えて、笑いながら英語を憶えていただこうというエッセイです。

keepじゃ、ダメなの?

 運動好きってわけではないんですが、20年ほどスポーツクラブに通っています。

 30代前半、肥(ふと)っちゃいまして一念発起してスポーツクラブ。体重は1年ほどで戻りましたが、やめるとまた肥るのは間違いないので、そのまま通っています。今回はそこでのお話です。

 スポーツクラブってところはNative English Speakerの多いところでして、ちょっと前のことですが、筋トレしてる時に話しかけられた。
 私のやってる筋トレの方法が効果的そうなんで、説明して欲しいとのこと。秘密にするようなもんでもないんで説明したんですが、これが一発で伝わらない。

 どんな英語だったかと言うと、

腕立て3回やったら、下で10秒キープ。それを、1回ずつ増やして、7回まで繰り返すんだよ。
After 3 reps, you keep for 10 secs on the down position and repeat this up to 7 reps.

 いわゆるアイソメトリックトレーニングってやつで、負荷かけて動かないってやつなんですが、そしたら、そのNative English Speakerが怪訝な顔して、確認してきた。

それって、下で支えるってこと?
Do you mean I hold on the down position?

 そうそう、ってその場では答えたんですが、はて? となる。
 なぜ、keepじゃなくてholdって確認されたのかって疑問です。しかも、どうもこの状況はholdがあってるっぽい。みなさん、この二つの単語の使い分け、ご存じでしょうか?

 あとで友人のRichに説明してもらったんですが、

keep は、見張っていて、変化しそうなら力を使って、同じ状態を保つ

という意味で、継続的に力が要らない場合に使うそうなんです。それに対して、

hold は、変化するものを力を使って、同じ状態を保つ

という意味で、継続的に力が必要という場合に使うんだとか。

 それを聞いて、私は、ああ、そういうことかと納得。
 確かに、ゴールキーパーを、ゴールホルダーと呼んだら変。
 だって、シュートが来たら(つまり変化しそうなら)ジャンプ一番、力を使ってノーゴールを保つわけですから。

 そう考えると、keepじゃただ床に寝そべってることになる。重力に逆らってholdしなきゃ筋トレになんない。Native English Speakerはhold?と確認するわけです。

 keepとhold、似て非なる単語です。使い分けましょう! 

 え? だれです? 
 私のお腹が床に着いてるように見えたから、Native English Speakerが確認してきたんじゃないか? なんてって言ってるのは? 
 いやいや、そんなことはありませんよ。きちんとキープしてます。日本語の意味でキープを。

 と、こんな感じで、Native English Speakerたちとの英語やカルチャーギャップのお話をご披露したいと思っております。
 お気に召しましたら是非ともごひいき(フォロー)くださいますようお願い申し上げます。

 せっかく微妙な単語の使い分けをご披露した機会なんで、ちょっとクイズ的なものを。

 お店でお目当てのものを見つけたのに、ちょっと手持ちのお金が足りない。そんなとき店員さんに、「ちょっとキープしてもらえますか?」なんて言うと思いますが、その時に使うのは、
Could you please keep it for me?
Could you please hold it for me?
どっちでしょう? 答えはイラストの下です。

Could you please keep it for me?
です。品物を奪い合うような状態だとhold もありでしょうけど、そういうことはあまりないでしょうから(というかあってほしくない)。

イラスト 大橋啓子

英語・英会話研修スクール「英語・直観力」代表

英語嫌いだったが、仕事で必要に迫られ日本語を英語にする方法で英文法をマスター。その実績を買われて英会話習得カリキュラムを作成するために英会話スクールに転職し活躍する。この時期に英文法をネタにした小説「英語の国の兵衛門」も上梓。その後Vice-presidentに就任。Native English Speakerのマネージメントを経験し、日本人とは違った価値観や思考法に振り回されるという経験を多々する。現在は独立し、英会話スキルだけではなく、Native English Speakerとうまく交渉できるスキル習得を目指した英語・英会話研修スクール「英語・直観力」を経営している。

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