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【英会話】I've been stopping って言ったら、首を振られた。なんで?

英語雑学エッセイスト 徳田孝一郎英語・英会話研修スクール「英語・直観力」代表

 20年ほど仕事で英語を話していますが、ちょっと気を抜くと思い浮かんだ日本語を直訳してしまって失敗することがまだまだあります。

 そんな私の失敗英語や、今も私の周りで起こっている失敗英語を多少脚色も加えて、ご披露したいと思います。今回は読むと自然な英語を得られるお得なエッセイです。

運動するのやめてるんだよ

 運動好きってわけではないんですが、20年ほどスポーツクラブに通っています。30代前半、肥(ふと)っちゃいまして一念発起してスポーツクラブ。体重は1年ほどで戻りましたが、やめるとまた肥るのは間違いないので、そのまま通ってる。
 初めのころは、走ったりバイクを漕いだりするだけだったんですが、飽きて来て、スタジオで結構きつい運動のボクササイズ。子どものころおやじが健康のためにボクシングジムに通っていて、それに付き合って行ってたんです。なので、体が動きを憶えているんですねぇ。運動神経が悪い私でもなんとかついていけます。もちろん息は上がりっぱなしで、死にそうですけど。

 そういうレッスンに週2回か3回出てるんですが、何年か前にちょっと無理しすぎて脹脛(ふくらはぎ)を肉離れしちゃったことがあります。みなさん、肉離れってしたことあります? あれねぇ、本当にバン!って音がするんですよ。おそろしい。そのときはスタッフのみなさんが応急処置してくれて、すぐに病院に行ったんですが、全治2ヵ月でした。とほほ。 

 そんなときに、友人のRichにそのことを話したんです。

I pulled a muscle in the side of my calf a week ago. (1週間前に脹脛の肉離れやってさ)
So I’ve been stopping working out this week. Good grief!(それで、今週、運動するのやめてるんだよ。やんなるわ)

って言ってみた。
 過去のある時から今までいつもと違うことをやっているイメージのhave been doing を使って、いつもやっていた運動をやめてるってことを伝えられる。しかも、stoppingとworking でing ing と韻(いん)を踏めててリズムもいい。どうよ? とちょっとどや顔です。
 でも、Richのやつ、さらっと首を振る。そのうえ、徳さんともあろう人が、そんな間違いをしちゃいけないよ なんて、褒められてるんだか、貶(けな)されてるんだかわからないことも言って来た。
 あれっと思って思い返した途端、わたしも気づく。確かにこの英文はなにを言いたいか判らない文になってる。
 みなさん、どこが間違っているか気づかれるでしょうか?

 問題はstop ~ing にあります。私は「運動するのやめてるんだぁ」が頭に浮かんでしまって、それをhave been doing にあてはめちゃったんですが、これがいけない。
 さっきも書いたように、have been doing は過去のある時から今までいつもと違うことをやっているイメージなんですが、それにstop ~ing が入って来ると~するのをやめ続けるってことになって、どういう状態か判らない。繰り返しやめることはできませんからね。
 また、もうちょっと意味を広めにとって、やめ続けるをやめようとしていると解釈することもできるんですが、肉離れしている人間がだんだん運動しなくなっているのも変です(この場合は、I’ve been cutting down working out. のようにはっきり表現します)。結局あまりちゃんと伝わらない言い回しなんですね。
 いつもは伝えたいイメージから、時制と動詞を同時に選ぶようにしてるんですが、日本語にひきずられちゃって意味不明な英語になってしまいました。反省です。

 と、こんな感じで、Native English Speakerたちとの英語やカルチャーギャップのお話をご披露したいと思っております。お気に召しましたら是非ともごひいき(フォロー)くださいますようお願い申し上げます。

 おっと、じゃあ、この場合どう表現するべきかを書き忘れてました。have been doing とstop ~ingを組み合わせて使わなければいいんですから、

I haven't been working out this week.

です。これで、今週、いつもとちがってずっと運動してないよ ということを伝えられます。韻を踏めないのはちょっと残念ですが、ing, ing は作りやすいですから、またの機会に。

イラスト 大橋啓子

英語・英会話研修スクール「英語・直観力」代表

英語嫌いだったが、仕事で必要に迫られ日本語を英語にする方法で英文法をマスター。その実績を買われて英会話習得カリキュラムを作成するために英会話スクールに転職し活躍する。この時期に英文法をネタにした小説「英語の国の兵衛門」も上梓。その後Vice-presidentに就任。Native English Speakerのマネージメントを経験し、日本人とは違った価値観や思考法に振り回されるという経験を多々する。現在は独立し、英会話スキルだけではなく、Native English Speakerとうまく交渉できるスキル習得を目指した英語・英会話研修スクール「英語・直観力」を経営している。

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