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【微閲覧注意】太陽の最新実写映像集と新発見まとめ

どうも!宇宙ヤバイch中の人のキャベチです。

今回は「太陽の最新実写映像集と新発見まとめ」というテーマで動画をお送りしていきます。

太陽は最も身近な恒星ということで、やはり長年多くの研究の対象となっています。その甲斐があり、最近太陽探査が飛躍的に進歩しています。

そんな太陽の衝撃的な最新実写映像を、新たに分かった事実とともにまとめて紹介していきます。

●微小な太陽活動を新発見

Credit:ESA-S.Poletti
Credit:ESA-S.Poletti

2020年6月、ESAとNASAが開発した太陽観測衛星ソーラーオービターが、自身に搭載された高性能な望遠鏡を用いて、それまでに人類史上最も近い位置から太陽の画像を撮影することに成功しました。

ソーラーオービターは2020年2月に地球から打ち上げられ、現在も太陽の周囲を公転しています。

太陽の極の部分を観測しやすいように軌道に角度をつけながら、徐々に太陽に接近していく計画となります。

Credit:Solar Orbiter/EUI Team/ESA & NASA;CSL, IAS, MPS, PMOD/WRC, ROB, UCL/MSSL
Credit:Solar Orbiter/EUI Team/ESA & NASA;CSL, IAS, MPS, PMOD/WRC, ROB, UCL/MSSL

そしてソーラーオービターが地球と太陽の距離の半分程度にあたる、太陽から約7700万km地点にて、太陽表面の詳細な撮影を行いました。

こちらが実際にその際に得られた画像となります。

この画像から、太陽表面における未知の活動の存在が明らかになりました!

なんと、地球の地上から観測できる太陽フレアの数百万~数十億分の1という小規模なフレアが、太陽表面の至る所で起きていたそうなんですね。

この新たに発見された小規模な太陽フレアは、「キャンプファイヤー」と呼ばれています。

他の太陽活動と比べると小規模とはいえ、左下に描かれている円が地球の大きさと等しいことを考えると、私たちにとってはその一つ一つが非常に大規模な活動と言えます。

現在のところ、キャンプファイヤーは地球から観測できる比較的大規模なフレアの小型バージョンに過ぎないのか、もしくはそもそもメカニズムが異なる異種の現象なのか、詳細なことはまだわかっていません。

そしてさらに、太陽表面が5500度程度なのに対し、その外層のコロナの温度が100万度もあるという、太陽最大の謎とされる「コロナ加熱問題」の原因としてこのキャンプファイヤーが寄与している可能性もあるそうです!

●大迫力の粒状斑

Credit:Solar Orbiter/PHI Team/ESA & NASA
Credit:Solar Orbiter/PHI Team/ESA & NASA

そしてソーラーオービターは太陽表面付近の磁場を観測し、そこから太陽内部の構造や活動を理解しようともしています。

左上の画像は、2020年6月に撮影された太陽の全体像です。

太陽表面には黒点がなく、磁気の活動が穏やかな期間であるということがわかります。

ですが実際は右上の画像のように、拡大すると小さな粒がびっしりと詰まっているんですね。

これは粒状斑と呼ばれる構造です。この画像の一辺が20万となので、小さいとはいっても数千クラスはありそうです…

そして下の二つの画像は、太陽の極における表面と、その磁気の活動が示されています。

極の部分は地球から観測することが難しいので、観測衛星の軌道を傾け、この領域を調べることもこの観測衛星の大きな課題です。

また関連で、ハワイにある「ダニエル・K・イノウエ太陽望遠鏡」によって撮影され、2019年1月に公開された太陽表面の動画も一緒に紹介します(ここでは画像でしか紹介できないにので、以下のYouTubeの動画4分4秒あたりからもご参照ください)。

Credit: NSO/AURA/NSF
Credit: NSO/AURA/NSF

粒状斑は、太陽の光球を構成するガスが下層から運ばれる熱によって対流することで生じていています。

そのためこの映像では、まるで生きているかのようにガスが上昇したり下に沈み込んで行く様子がわかります。

熱い内部からガスが上昇してくる部分は高温で明るく、沈み込んでいく部分は低温で暗く見えています。

●コロナの超拡大映像

Credit: NASA Hi-C
Credit: NASA Hi-C

NASAの「高解像度コロナイメージャー(Hi-C)」という太陽表面の観測のための宇宙望遠鏡も、最近の太陽研究の発展に大きく貢献しています。

Credit: University of Central Lancashire
Credit: University of Central Lancashire

これまでにもコロナ(太陽の大気)の様子は、SDOと呼ばれるNASAの観測衛星によって撮影されて来ました。

すでに太陽表面の磁場によってコロナを構成するガスが細い糸状の構造になっている様子が鮮明に映し出されています。

ただし「細い糸」とはいっても、これらの幅は実に500km以上もあるそうです。そして温度は100万度を超えているとされています。

Credit: University of Central Lancashire
Credit: University of Central Lancashire

それが2018年にHi-Cによって撮影された最新映像になると、このようにさらに鮮明に太陽表面のコロナを観測できるようになっています!

解像度が進化したことによって、これまでに見えなかったより小さい糸状構造まで見ることができるようになりました。

これまで見れていた典型的な糸状構造が幅500km以上あったのに対し、Hi-Cの撮影によって幅200km程度のさらに細い糸状構造まで見ることが可能になりました。

●太陽大気に突入!

太陽を周回しつつ接近して探査を行う探査機には、先述のソーラーオービターのほかに、「パーカーソーラープローブ」があります。

これが去年2021年12月に何と人類史上初めて、「太陽の大気」に突入したと発表されました!

太陽には、はっきりとした表面は存在しません。

太陽は周囲を超高温の大気によって覆われており、強大な重力と磁場によって大気を太陽表面に引きつけています。

しかし、太陽からある程度離れた位置になると、太陽の重力や磁力の影響が弱まり、太陽大気が太陽風として宇宙空間へと飛び出すようになるのです。

太陽大気と太陽風の境目を、アルヴェン境界面と言います。

Credit: NASA/Johns Hopkins APL/Naval Research Laboratory
Credit: NASA/Johns Hopkins APL/Naval Research Laboratory

(上記の実写映像は元は動画ですが、ここでは掲載できないので画像として紹介しています。)

パーカーソーラープローブはこの境界面の内部に突入したと話題になっていました。

この動画こそが、人類史上初めて太陽コロナ内から撮影した映像となります!

動画で左から右に流れているのは、「ストリーマー」と呼ばれる太陽コロナ内にある構造とのことです。

ついに長年研究が行われてきた太陽大気に、人類は到達しました。

今後も飛躍的に太陽にまつわる謎が解明されていくのが期待されます!

また最後に登場した探査機パーカーソーラープローブは、「偶然で」金星表面を可視光線で撮影することに成功し、こちらも大きな話題を呼びました。

i以下の動画で詳細を解説しているので、併せてご覧ください。

https://sci.esa.int/web/solar-orbiter/-/solar-orbiter-s-first-images-reveal-campfires-on-the-sun
https://nso.edu/press-release/inouye-solar-telescope-first-light/
https://www.nasa.gov/feature/goddard/2020/rocket-borne-telescope-detects-super-fine-strands-on-the-sun/
https://phys.org/news/2020-04-images-reveal-fine-threads-million-degree.html
https://www.jhuapl.edu/NewsStory/211214-parker-solar-probe-touches-the-sun

「宇宙ヤバイch」というYouTubeチャンネルで、宇宙分野の最新ニュースや雑学などを発信しているYouTuberです。好きな天体は海王星です。

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