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分厚い大気に湖まで!?探査機カッシーニが撮影したタイタンの実写映像集がヤバすぎる

どうも!宇宙ヤバイch中の人のキャベチです。

今回は「土星の衛星タイタンの実写映像集」というテーマで動画をお送りしていきます。

タイタンは個人的に「太陽系で一番キャラが濃い衛星」と思っているほど、本当に面白い天体です。

土星探査機カッシーニが捉えた衛星タイタンの美しい実写映像を、タイタンの特徴と共に紹介していきたいと思います。

●太陽系衛星で唯一無二の大気

Credit:NASA/JPL-Caltech/Space Science Institute
Credit:NASA/JPL-Caltech/Space Science Institute

タイタンは直径が5150kmあり、土星系で最大の衛星です。

太陽系の衛星全体の中でも、木星の衛星ガニメデに次いで2番目の大きさを誇る巨大な衛星です。

ちなみに我らが月は全体で5番目の大きさを誇ります。

Credit:NASA/JPL-Caltech/University of Nantes/University of Arizona
Credit:NASA/JPL-Caltech/University of Nantes/University of Arizona

タイタンの特性を語る上で絶対に外せないのが、その分厚い「大気」です。

他の衛星では類を見ないほどの濃い大気を持っています。

タイタンの地表の大気圧は地球の約1.5倍にもなります。

こちらは可視光線(真ん中)と赤外線(それ以外)で捉えたタイタンの姿を比較した画像ですが、可視光だと分厚い大気に覆われており、地表が全く見えません。

Credit:NASA/JPL/Space Science Institute
Credit:NASA/JPL/Space Science Institute

さらにタイタンの重力は地球よりも弱いため、その大気がはるか上空まで広がっています。

そのため実写画像でもタイタンの輪郭がかなりぼやけて見えていて、タイタンの大気の存在をうかがえますね。

タイタンの大気の主成分は窒素で、その点は地球も同じですが、タイタンの場合は地球以上に窒素の割合が高く、大気全体の98%程度を占めていると考えられています。

そして残りの2%のうちほとんどがメタンです。

Credit:NASA/JPL-Caltech/Space Science Institute
Credit:NASA/JPL-Caltech/Space Science Institute

タイタンの大気には、このようにメタンの雲が現れることもあります。

これはかなり巨大な雲です。

●生命の存在可能性

大気以外にも、タイタンを語る上で外せないトピックがあります。

それは「比較的高い生命の存在可能性」です。

タイタンは地球の10倍程度も太陽からの距離が遠い土星の衛星なので、-180度くらいにもなる極寒の天体です。

そのため地球にいるような、液体の水を生命活動の要として利用している生命は存在しなさそうです。

Credit:NASA/JPL-Caltech/ASI/USGS
Credit:NASA/JPL-Caltech/ASI/USGS

ではなぜこのタイタンが生命のいる可能性のある天体として注目されているのかというと、実はタイタンの地表に湖が確認されているためです。

こちらの画像は、土星探査衛星カッシーニが撮影したタイタンの北極点付近の画像となります。

いくつかの画像を繋ぎ合わせてできていて、白い部分はまだ画像化されていない領域であることが示されています。

右下の領域に広がる青く着色された領域が、湖を示しています。

一番大きなものが、タイタン最大の湖である「クラーケン海」、その上には「リゲイア海」、北極点のすぐ下にあるのが「プンガ海」です。

これらの湖は主にメタンでできていると考えられています。

極点付近の気候は、大気中に存在するメタンが凝縮してちょうど液体になる程度の温度に保たれています。

そしてさらに、タイタンでは地球で起こるような嵐が発生していることも判明しました。

タイタンではまさに地球の水のように、激しい豪雨でメタンの雨が降り注ぐこともあるそうです。

※こちらは想像図です
※こちらは想像図です

人類や他の地球の多くの生命にとって、液体の水は欠かせません。

確かにタイタンには液体の水がないので、地球にいるような生命はいなさそうです。

ですが、地球の生命にとっての液体の水に当たる存在として液体のメタンを取り入れる、地球の物とは異質の生命が、タイタンには存在していることが期待されています。

●タイタンの地図が公開される

Credit: NASA/JPL-Caltech/ASU
Credit: NASA/JPL-Caltech/ASU

タイタンはカッシーニの調査により、その表面の詳細な地形までもが明らかにされ、2019年11月にはNASAがタイタン全体の地図を公開しました。

まず、地図上の大部分を占めている緑色の部分が平原です。

黄土色の部分が山となっている地域で、濃い紫の部分が砂丘だそうです。

そしてちらほらと赤い部分があり、そこには名前が付けられていますが、これはクレーターです。地球の衛星の月は表面がクレーターだらけでぼこぼこですが、タイタンはそれが非常に少ないことがわかりますね。

というのも、タイタンは大気が濃いため地表に到達するまでに隕石が燃え尽きたり、仮にクレーターが形成されても風などによる浸食作用で目立たなくなっていくからだそうです。

タイタン内で最大のクレーターはメンルヴァと呼ばれるクレーターで、その直径が392kmにもなります。

北極付近には、先ほども紹介したクラーケン海をはじめとした大きなメタンの湖が複数あります。

●ドラゴンフライ計画

Credit:ESA/NASA/JPL/University of Arizona
Credit:ESA/NASA/JPL/University of Arizona

2005年、カッシーニの子機であるホイヘンスが人類史上初めてタイタンに着陸し、調査を行いました。

こちらの画像もその際にホイヘンスが撮影したものです。

Credit:NASA/JHU-APL
Credit:NASA/JHU-APL

そんなホイヘンスに次ぐ第二のタイタン着陸計画として、ドラゴンフライ計画が予定されています!

探査機ドラゴンフライは2026年に打ち上げられ、2034年にタイタンに着陸し、探査を行う予定です。

これが成功すれば間違いなくさらに詳細なタイタンの地形や、そして生命の存在可能性についても新たな知見が得られることだと思います。

これからもこのタイタンという天体は、本当に目が離せない超絶ホットな天体であり続けるでしょう!

また、カッシーニが撮影した様々な土星の姿を映した実写映像集を、また別の動画で解説しているので、今再生中の動画の概要欄もしくは終了画面からご覧下さい。

https://photojournal.jpl.nasa.gov/catalog/PIA14922
https://photojournal.jpl.nasa.gov/catalog/PIA21923
https://sci.esa.int/web/cassini-huygens/-/59351-titans-complex-atmosphere
https://newsroom.ucla.edu/releases/intense-storms-batter-saturns-largest-moon-ucla-scientists-report
https://www.nasa.gov/press-release/nasas-dragonfly-will-fly-around-titan-looking-for-origins-signs-of-life
https://www.jpl.nasa.gov/news/the-first-global-geologic-map-of-titan-completed

「宇宙ヤバイch」というYouTubeチャンネルで、宇宙分野の最新ニュースや雑学などを発信しているYouTuberです。好きな天体は海王星です。

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