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宇宙の中心はどこで、何があるのか?

どうも!宇宙ヤバイch中の人のキャベチです。

今回は「宇宙の中心はどこで、何があるのか?」というテーマで動画をお送りします。

「宇宙の中心はどこで、何があるのか?」という疑問は、宇宙に興味を持つ方の多くが一度は抱いたことのあるものだと思います。

実際に当宇宙ヤバイchの動画のコメント欄でもそのような疑問の声が見受けられます。

そこで今回は、そんな疑問に対する現在の定説に基づいた解説をしていきたいと思います。

●宇宙膨張とビッグバン

観測技術の進歩により、地球から遠方にある天体からやってくる光ほど、その波長が顕著に伸びていることが判明しています。

これは「赤方偏移」と呼ばれる現象です。

この赤方偏移という観測事実から、2通りの解釈ができます。

まず一つは、「この宇宙の中心は地球やその付近の構造であり、地球から遠い天体ほど高速で地球から後退する方向に運動している」というものです。

光のドップラー効果により、地球から後退している天体からやってきた光は、従来よりも波長が伸びて観測されます。

これは赤方偏移の説明になっています。

ただしこの説明は、「宇宙をマクロなスケールで見たときに一様かつ等方であり、特別な場所は存在しない」とする現代宇宙論の基本原理である「宇宙原理」に反しており、定説においては正しいとは考えられていません。

そして赤方偏移に対するもう一つの解釈が、「宇宙空間が膨張している」というものです。

空間の中を天体が後退運動しているのではなく、空間自体が膨張しているという解釈であり、現在の定説となります。

そして宇宙が膨張している場合、時間を遡ると、この宇宙は最初は超高温、超高密度な火の玉のような状態「ビッグバン」から始まったと考えられます。

●ビッグバンはどこで起きた?

現在有力とされている宇宙の始まりの瞬間に起きた出来事は、以下の通りです。

この宇宙が誕生する以前の世界は、あらゆる物質も、時間や空間すらもない「無」の状態であったとされています。

そんな中量子論的ゆらぎから、10^(-35)m程度という極めて小さい宇宙の時空が誕生したそうです。

ただしこの宇宙誕生の前と誕生の瞬間については、理論的にも観測的にもほとんど何もわかっていません。

そして宇宙誕生の瞬間の10^(-36)秒後から10^(-34)秒後までの極めて短い間に、極めて小さい宇宙が直径1cm以上のサイズに急膨張します。

この膨張速度は光速などの比ではなく、「シャンパンの泡1粒が一瞬のうちに太陽系以上の大きさになるほど」と例えられています。

この宇宙誕生直後の急膨張を「インフレーション」と呼んでいます。

インフレーションの際、膨大な熱エネルギーが放出され、宇宙空間を満たします。

この宇宙誕生直後における超高温の火の玉のような状態の宇宙を「ビッグバン」と呼びます。

この宇宙がこのような過程で始まった場合、宇宙の中心はビッグバンが発生した場所や、さらに超初期の誕生の瞬間の現場であると考えてしまいそうですが、これは誤りとなります。

既に存在する空間内で爆発が起きた場合、爆発の中心となる場所が存在します。

ただし実際は先述の通り宇宙誕生以前は無の状態であり、そこから宇宙誕生とともに空間自体が誕生し、空間が膨張することで現在の広大な宇宙の姿になったと考えられています。

よってビッグバンが発生した「宇宙の中心」は、宇宙の中のどこか特定の場所ではなく、今あなたがいる場所を含む、「宇宙空間内の全地点」であるとも言えます。

これは他の場所と比べて特別な点が存在しないという、宇宙原理とも矛盾していません。

●風船を用いた例え

ビッグバンから始まった膨張する宇宙は、よく風船の表面にたとえられます。

風船が膨張すると、風船表面上のある点から他の点を見たとき、全ての点が自身から遠ざかって見え、かつ後退速度は遠い点ほど速いです。

そしてこのことは、風船表面上のどの点からの視点でも同じことが言え、風船表面上に中心などといった特別な点が存在しないことがわかります。

これはまさに赤方偏移の観測事実から明らかになった、ビッグバン宇宙論が描く宇宙の姿をよく表しています。

ただし私たちがイメージできる風船の表面は二次元平面なのに対し、実際の宇宙は三次元空間です。

そのため宇宙が球面に対応する場所に存在するなら、その球は4次元以上の高次元の球となります。

また、宇宙の形については他にも候補があります。

先ほど例に挙げた風船の表面のような宇宙は「閉じた宇宙」、平坦な宇宙はそのまま「平坦な宇宙」、馬の鞍のような形をした宇宙は「閉じた宇宙」と呼ばれています。

現在は平坦な宇宙か、非常に巨大な高次元球面上の閉じた宇宙である説が有力であるそうですが、どの形であれ、宇宙の中に中心はなく、特別な点は存在していません。

●結論

今回の結論としては、宇宙の中心はどこか?という問いに対して、「宇宙には中心は存在しない」、もしくは「宇宙空間内の全地点が中心」と表現するのが良さそうです。

今私たちのそれぞれがいる場所が宇宙誕生の現場であり、中心ともいえる…そう考えると改めて不思議ですよね。

https://www.kahaku.go.jp/exhibitions/vm/resource/tenmon/space/theory/theory03.html
https://www.u-tokyo.ac.jp/focus/ja/features/f_00066.html
https://www.s.u-tokyo.ac.jp/ja/story/rigakuru/nbp/research/11.html
https://en.wikipedia.org/wiki/Cosmological_principle

「宇宙ヤバイch」というYouTubeチャンネルで、宇宙分野の最新ニュースや雑学などを発信しているYouTuberです。好きな天体は海王星です。

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