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探査機ボイジャー2号が残した未知の信号を新発見!そこから判明した新事実とは?

どうも!宇宙ヤバイch中の人のキャベチです。

今回は「ボイジャー2号が残した未知の信号を新発見」というテーマで動画をお送りしていきます。

●探査機ボイジャーの軌跡

ボイジャー1号、2号は現状最も遠い位置にある人工物としても有名で、両方とも太陽風が届く領域である太陽圏を抜け、星間空間へと突入しています。

星間空間に突入する前は、木星から海王星までのガス惑星の探査に大いなる功績を残してくれました。

そして星間空間突入後も、大きな発見をもたらしてくれています。

探査機ボイジャーは、両者とも1977年に打ち上げられました。

この時実は木星から海王星までの4惑星が地球から見て一方向に並んでいたため、これらをまとめて探査するには絶好の機会でした。

結果としてボイジャー1号は木星・土星・タイタン、2号は木星・土星・天王星・海王星の探査に成功しています。

●過去データから判明した天王星系の新事実

ジョンズ・ホプキンス大学応用物理学研究所などの研究チームが2023年3月13日に発表した研究成果によると、ボイジャー2号が1986年に取得した天王星探査における高エネルギー粒子と磁場のデータを再解析した結果、天王星の磁気圏の特定の領域で、高エネルギーイオンが高密度で存在していることが新たに判明したそうです。

この新発見から、天王星の27個の衛星のうち、アリエルとミランダが、高エネルギーイオンを特定の領域に付加していることが示唆されました。

アリエルとミランダが高密度の高エネルギーイオン領域を生成する正確なメカニズムは現時点では不明です。

ですが有力な説明の候補があり、その一つは「衛星表面の氷の層の内部に内部熱で温められた液体の海の層があり、それらが間欠泉として表面に噴出し、宇宙にも流出している」というものです。

このように、高エネルギー粒子測定が海洋世界を発見する前触れとなることは、実はあまり珍しいことではありません。

木星のエウロパ、土星のエンケラドスには地下海があり、間欠泉も観測されていますが、それらも今回と同様の手順で発見されています。

ですが、現時点では高密度の高エネルギーイオン領域の観測が1986年にボイジャー2号が行った1回の例しかなく、現在のデータの中で粒子の発生源を決定的に特定する方法はありません。

なので、今後の観測に期待がかかります。

●惑星探査の功績と実写画像集

では最後に、2機のボイジャー探査機が行った太陽系惑星探査の成果と、そこで得られた実写画像をまとめて紹介したいと思います。

○木星探査

ボイジャー1号は1979年3月に、2号は同年7月にそれぞれ木星に最接近しました。

木星についてはこれ以前にパイオニア10号、11号が探査を行っていましたが、ボイジャーによる新たな発見が多数ありました。

こちらはボイジャー1号が撮影した木星大気の画像です。

大赤斑を含むどこか禍々しいような構造が、詳細に映し出されています。

続いてこちらはボイジャー1号が撮影した、木星の衛星イオの実写映像です。

ボイジャー1号の活躍により、パイオニアでも未発見だったイオの火山活動が明らかになりました。

ボイジャー1号は最大で木星から349000という地球と月の距離よりも近い位置にまで木星に接近したのち、木星を後にし、土星へと旅立っていきました。

○土星探査

ボイジャー1号は1980年の11月、2号は1981年の8月にそれぞれ土星に最接近しました。

こちらはボイジャー1号が撮影した土星の画像です。

ボイジャー1号は土星の環の複雑な構造を明らかにしています。

そしてボイジャー1号は元々土星の探査後冥王星に向かう予定でしたが、結果的にその後冥王星へ向かう軌道へは乗らず、土星の衛星であるタイタンの調査へと向かっています。

その選択の背景には冥王星が当初の予想より小さい天体であると判明したこと、そしてタイタンの大気の存在が明らかになり探査の重要性が増したことなどがあったそうです。

そしてボイジャー1号によるタイタンの大気の観測により、タイタンの大気は当初の予想よりもさらに濃いことが判明し、なんと大気圧については地球の1.5倍にもなるほど豊富な大気に包まれていることが明らかになりました。

そしてボイジャー2号も同時期に土星の探査を行っています。

こちらの画像には美しい土星と、左にある3つの衛星テティス・ディオネ・レアが映されています。

土星の探査を終えた1号は惑星探査を終え星間探査へ、2号は引き続き惑星探査をしに天王星へと向かいました。

○天王星探査

ボイジャー2号は1986年1月24日に天王星に最接近し、たった1日弱の短い探査期間でしたが、天王星の衛星やリング、磁場の存在、大気についてなど様々な情報を新たにもたらしました。

現時点でも天王星を直接訪れた探査機はボイジャー2号のみとなっています。

まず天王星の環は天王星自体よりも若いことが明らかになり、ある天体が天王星に近づきすぎたことで破壊され、その破片がリングを形成したという新たな知見をもたらしました。

そして天王星の衛星が新たに10個も発見されました。

こちらはボイジャー2号が撮影した天王星の5大衛星の一つミランダの画像ですが、その表面には深さ20以上もの巨大な渓谷があることが明らかになっています。

このような偉大な発見をもたらし、ボイジャー2号は海王星へと向かっていきました。

○海王星探査

天王星の最接近から約3年半後の1989年8月25日、ボイジャー2号は海王星に最接近しました。

現時点でも海王星を直接訪れたのはボイジャー2号が唯一となっています。

この美しい画像は今でもとても有名です。

ボイジャー2号は海王星表面に大暗斑があることを発見しました。

海王星は太陽系で最も風が強く、風速は2000/hにもなるそうです。

そしてボイジャー2号により、海王星に新たに6つの衛星が発見されました。

海王星探査後、ボイジャー2号はその最大の衛星であるトリトンに向かいました。

そこではトリトンの表面には氷が噴き出す間欠泉があることが明らかになっています。

そして最後に1990年にボイジャー1号によって撮影された、「ペイル・ブルー・ドット」と呼ばれる非常に有名な画像を紹介します。

右側の縦に広がる茶色い帯の真ん中下あたり、小さい点が見えると思います。

これは私たちが住む地球です。

この小さな小さな点の中に私たち人類を含むすべての生命、そして全ての歴史が詰まっているのです。

この神秘的な画像は海王星の遥か彼方、地球から60億の地点から撮影されました。

現在のところ最も遠い場所から撮影された地球の画像として有名です。

これ以上に遠い世界から、ボイジャーは今も宇宙の新たな情報をもたらし続けてくれています。

2機とも2025年ころに電力供給が止まり、地球との通信が途絶えると見積もられています。

その最期の瞬間まで、偉大なボイジャー探査機を見届けていましょう。

以下の動画では、これまでのボイジャーの活動によってもたらされた新発見についてまとめているので、ぜひ併せてご覧ください。

https://www.authorea.com/doi/full/10.22541/essoar.167874177.75849866
https://www.sciencealert.com/strange-signal-from-decades-ago-hints-at-hidden-oceans-orbiting-uranus
https://astrobiology.com/2023/03/two-of-uranus-moons-may-harbor-active-oceans-radiation-data-suggests-news-releases.html

「宇宙ヤバイch」というYouTubeチャンネルで、宇宙分野の最新ニュースや雑学などを発信しているYouTuberです。好きな天体は海王星です。

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