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120光年彼方の太陽系外惑星で「生命の痕跡」が発見される!?

どうも!宇宙ヤバイch中の人のキャベチです。

今回は「太陽系外惑星で生命が存在する信号を検出!?」というテーマで動画をお送りします。

地球からしし座の方向に約120光年彼方にある太陽系外惑星「K2-18b」の大気中に、生命活動の痕跡である可能性のある物質「バイオマーカー」が検出された可能性があると話題になっています。

バイオマーカーが見つかった可能性があるK2-18bは、近年生命存在の期待度が急激に高まっている惑星であり、今回の発見はその期待度をさらに高めたものといえます。

●ハイシャン惑星の有力候補「K2-18b」

今回の主役であるK2-18bは近年、太陽系外惑星探査の分野で大きな話題になっている惑星です。

その理由は、地球とは全く異なる環境ではあるものの、そこに生命が存在する可能性があるからです。

この惑星は地球の8.6倍の質量と、2.7倍の半径を持つ、地球と海王星の中間規模の惑星です。しかしハビタブルゾーン内にあり、液体の海が存在する可能性も考えられていました。

そんな中2019年には大気中に水蒸気が検出され、「ハビタブルゾーン内を公転する惑星として初めて大気から水蒸気が検出された惑星」となり、実際に液体の海が存在する可能性もさらに高まりました。

仮にこの惑星に海が存在する場合、水深数百kmにもなる全球を覆う豊富な液体の海と、分厚い水素の大気が両方存在する可能性があります。

このような環境を持つ惑星を、「Hydrogen(水素)」と「ocean(海洋)」を組み合わせて「Hycean(ハイシャン)」と呼びます。

このハイシャン惑星は、仮に海が存在しても水素の大気が分厚すぎて、地表が高温高圧になり、生命が存在することは不可能であると考えられてきました。

ですが近年、適切な温度と圧力であればハイシャン惑星でも生命が存在し得ることが示されました。

温度と圧力の条件さえ適切であれば、ハイシャン惑星は豊富な液体の海があり、分厚い大気と磁場のバリアによって、宇宙線や主星の恒星フレアから守ってくれる、意外と生命にとって最適な環境なのかもしれません。

ハイシャン惑星は岩石惑星よりも直径が大きい上に大気が濃いため大気組成を調べるのが容易です。

さらにこのタイプの惑星は太陽系にはありませんが、宇宙にはたくさんあると考えられているので、地球型だけでなくこのタイプの惑星も調べることが、今後の生命探査において重要であると考えられています。

まとめると今回の主役である「K2-18b」は、生命が存在する可能性があるハイシャン惑星の有力候補なので、これまでの時点で系外惑星探査、地球外生命探査の分野で非常に注目度が高い系外惑星でした。

●K2-18bでバイオマーカーを新発見!?

そして2023年9月、最新最強の宇宙望遠鏡「ジェイムズウェッブ宇宙望遠鏡(JWST)」の活躍により、またもK2-18bで大きな発見がもたらされました。

まず大気中にメタンと二酸化炭素が検出され、一方でアンモニアが見られないことが判明しました。

この大気組成は、ハイシャン惑星が持つと予想されている大気組成の特徴と一致します。

つまりK2-18bが生命が存在できる環境を持つ可能性のある、ハイシャン惑星である可能性がさらに高まりました。

そして新発見において特筆すべきは、硫化ジメチル(DMS)を検出した可能性もあるということです。

これは地球の大気にも見られる物質ですが、地球の場合ほとんどが海にいる植物プランクトンの生命活動によって生成される物質です。

つまり地球基準でいえば、硫化ジメチルの存在は生命の存在を示す物質、つまりバイオマーカーと言えます。

ただし硫化ジメチルの検出可能性については、幾つかの注意点があります。

まず硫化ジメチルの存在を科学的に認めるには、データが不十分であることです。

ある発見が科学的に正しいと認めるには、それが99.99994%以上の確率で正しいと言えるほどの強い証拠が必要ですが、今回の硫化ジメチルの場合これが誤検出でない可能性は98%にとどまります。

ちょうど数年前に金星でホスフィンが発見されたと話題になったものの、それが現在でも確定的なものとして扱われていないように、現時点では硫化ジメチルも「可能性がある」としか言えません。

そして仮に硫化ジメチルが実在していても、それが生命活動によってしか生成されないのはあくまで地球基準の話であり、K2-18bにおいては非生物的な自然現象で生成されている可能性も否定できない点にも注意です。

とはいっても、現段階で注目に値する大発見であることは間違いないでしょう。

●系外惑星の大気組成を調べる方法

最後に補足として、新発見のように系外惑星の大気組成を調べる方法を簡単に解説します。

地球から見て、ある太陽系外惑星がその主星である恒星の前を横切る時、地球から見た主星からの光は惑星に一部遮られて周期的に減光するため、その様子から惑星の存在が判明しました。

惑星が主星を横切ることを「トランジット」と呼び、このような系外惑星の発見方法をトランジット法と呼びます。

このようにトランジットを起こす系外惑星に大気が存在していた場合、トランジットの際に主星からの光の一部が惑星の大気を通過してきます。

こちらは、系外惑星の大気を透過してから地球に到来した、主星が放った光のスペクトル(波長ごとの強度分布)のイメージです。

横軸は光の波長、縦軸はその波長の光の強さを示しています。

特定の色で示された範囲は、ある物質が吸収する光の波長帯を示しています。

例えば大気中に二酸化炭素が存在していた場合、赤色で示された波長帯の光が吸収されるため、画像のようにその波長帯の光の強度が下がります。

このように、トランジットを起こす系外惑星の大気を透過してきたその主星からの光のスペクトルを分析することで、地球から遥か彼方にある系外惑星の大気の組成を分析することができるのです。

https://esawebb.org/media/archives/releases/sciencepapers/weic2321/weic2321.pdf
https://www.nasa.gov/goddard/2023/webb-discovers-methane-carbon-dioxide-in-atmosphere-of-k2-18b
https://www.universetoday.com/163123/jwst-might-have-imaged-a-hycean-world-for-the-first-time-with-a-hydrogen-rich-atmosphere-and-a-deep-planet-wide-water-ocean/
https://www.universetoday.com/163148/has-the-first-biosignature-been-found-on-an-exoplanet/
https://esahubble.org/videos/heic1916b/
https://www.sciencealert.com/scientists-discover-tantalizing-signals-in-the-sky-of-a-distant-alien-world
https://www.sciencealert.com/astronomers-have-found-a-planet-that-could-actually-be-habitable
https://en.wikipedia.org/wiki/K2-18b
https://theconversation.com/possible-hints-of-life-found-on-distant-planet-how-excited-should-we-be-213394
サムネイルCredit:Illustration: NASA, CSA, ESA, J. Olmsted (STScI), Science: N. Madhusudhan (Cambridge University)

「宇宙ヤバイch」というYouTubeチャンネルで、宇宙分野の最新ニュースや雑学などを発信しているYouTuberです。好きな天体は海王星です。

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