名店の血を引く焼鳥屋が千葉に上陸。フランス原産鶏のあふれる脂を堪能して【焼鳥1/6 /千葉】
今回冒険するのは、千葉県・下総中山の「焼鳥1/6」。下総中山駅を降り、「こみち通り」に向かう。駅前は再開発が進む一方、この一角はポツリと残されたディープスポット。個性的な飲み屋やスナック、BARがひしめき合うなか、真新しい扉が目を引いた。昨年12月に生まれたばかりの期待の新店だ。
均整の取れた焼鳥は、おいしい
「焼鳥1/6」と書いて〝ろくぶんのいち〟。店内は明るく、焼き台はカウンターの真ん中に設えられていた。雰囲気としては、和食というよりもビストロが近いかもしれないな。
さっそくメニューをのぞいてみれば、若い銘柄鶏を主体に、正肉はフランス原産鶏の「プレノワール」も揃っているよう。これは、焼鳥好きとしては興味津々。まずは6本セット(1700円)を頼みつつ、プレノワールのネタを追加する道筋をつけた。
1本目は抱き身。串は細く長く打たれているものの、火が入りすぎていることもなく、しっとり、ふっくらとした仕上げが嬉しい。
串は焼き手の性格が表れるもの。とくに、プリッとした食感のハツモトだ。名前どおり、ハツの根元を指すネタで、均整の取れた串打ちが目を引く。1、2、3、4、5。これで5羽分かと思うと、なんだかありがたい気持ちになる。
プレノワールの脂がジュワッと!
6本セットのなかでもとくに驚かされたのが、プレノワールのもも肉。噛んだ瞬間にジュワッとこぼれるほどの脂が溢れてくる……! うーん、これは鮮烈。プレノワールという鶏種は肉も脂もさっぱりとしている先入観があったのだけに、これは意外な展開。
「全国にプレノワールを育てている農場はいくつかあるのですが、うちは奈良県産のものだけを使っています」と横田さん。
真冬でも春先でもないのに、これだけの脂を蓄えているだなんて……。こうなると俄然、他のネタも試してみたくなるというもの。よし。抱き身にふりそで、ソリも追加だ。
うん。抱き身の皮の脂も思った以上にしっかり。あっという間に消える3貫。口をさっぱりと流す大根おろしが嬉しいじゃないか。
むね肉と手羽元の間の部位「ふりそで」はさらに上をいく脂のり。それでいて肉はしっとりとして、甘みがふくよかに広がっていく。
わさびの茎の醤油漬けを添えて、風味よく。この日いちばんのネタの予感……。
もも肉の付け根にあるピンポン玉のよう肉、それがソリレス。厚い皮をまいてパリッ! と焼き上げれば、存在感ビッシビシ。脂もジュッワジュワだ。
ソリに限ったことではないけれど、火入れはどちからといえば脂を落とすというよりも、内に溜め込むようなアプローチ。
このプレノワールの脂のインパクトを考えると、あっさりとした若鶏のネタとのバランスを取りながら食べるのが一番いい。シャクッと小気味いい砂肝とえんがわで締めることにした。
気付けば優に10本以上。ふと、店名にある「1/6」の由来が気になって聞いてみれば、「修業先から(公式に)独立した店では6番目になるんですよ」と横田さん。
なるほど。だから「1/6」。しかも、その修行先というのが東京の名店「蒼天」だというのだから、またまた驚いた!
「それに6種類の鶏を扱いたいって気持ちもあったんです。でも、今はこのプレノワールという鶏をしっかり理解し、産地とも信頼を築くことが大事だと思っています」
店舗情報
【店名】焼鳥1/6
【最寄り駅】下総中山駅
【住所】千葉県船橋市本中山2-22-11
【予約】047-369-6607
【定休日】月曜
【串のアラカルト】あり
【鶏メモ】プレノワールほか