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日本最大級の地鶏「天草大王」と鴨串のインパクト。しかも手頃ときた【とりの炭家/東京】

今回冒険するのは、東京・赤坂の「とりの炭家」。赤坂の焼鳥屋といっても高級店ばかりじゃない。赤提灯もあればチェーン店もある。なかでも、「とりの炭家」は熊本県の地鶏「天草大王」の焼鳥を手頃に食べられるという隠れ家。赤坂という場所柄、メディア関係者が夜な夜な通うというのも納得だ。

焼鳥5本、鴨串1本、野菜1本

「とりの炭家」の何が魅力かといえば、地鶏「天草大王」を味わえる「店主おまかせ」セットがあること。都内でも天草大王を扱う店は増えてきているものの、ここほどリーズナブルに楽しめる店は珍しいと思う。

まずは5本セットか7本セットのいずれかを選ぶところから(コースもあり)。ここは焼鳥5本に鴨串1本、野菜1本が付く7本セット(税込2310円)が断然いい。地鶏だけでなく鴨串も、というのが気に入っているんだ。

お通し:じゃがいものビシソワーズ
お通し:じゃがいものビシソワーズ

お通し:合鴨のロースト
お通し:合鴨のロースト

焼鳥屋ではあるけれど、フレンチ好きだという店主・中村さんらしくお通しはビシソワーズから。うーん。ほんのりと出汁が香るジュレが本当にニクい。鴨のローストとマッシュポテトには春菊バターを添えて。和であり、洋。いいね。こういう小技、大好物だ。

名物「塩つくね」で幕開け

「とりの炭家」の1本目は、塩つくねが出されるのがお決まりだ。焼鳥屋のコースやセットでは、つくねはだいたい後半に出されることが多いのだけれど、タレなら確かにそうの方がいい。でも、塩つくねなら初っ端でも馴染むというもの。

噛めば溢れるうまみ……! もっちり、ふっくらとして、地鶏のうまみがじわじわと押し寄せてくるよう。まさに、名物。「1本目に店の顔を」というのも、きっと正攻法だ。

うん。塩つくね、万歳。

塩つくね
塩つくね

ソリ
ソリ

続く2本目は、ソリ。これまた嬉しい希少部位。天草大王は数ある地鶏のなかでも最大級とあって、もも肉に迫力がある。その付け根にある部位・ソリも、口いっぱいに開けないと収まらないくらいのポーションだ。

噛めば噛むほど、うまみの洪水。最高の出だし。

うまみの爆弾、それは鴨椎茸

焼鳥屋の醍醐味の一つが、「あの店のあのネタが食べたい!」と思わせてくれる出会い。それは鶏だったり野菜だったり、はたまた〆だったりするわけだけれど、「とりの炭家」の〝個人的スペシャリテ〟は鴨串だ。3種類あるなか、鴨椎茸が差し出された。

鴨椎茸
鴨椎茸

だいたい鴨串となるとねぎを間に挟むのが定番だけれど、これは、椎茸。鴨からジュワッと溢れたうまみや脂を椎茸が吸うわけだ。だから、食べるときは鴨肉と椎茸を一緒にいきたい。まさに、うまみの相乗効果、うまみの協奏曲、うまみの爆弾!

「とりの炭家」に来たときは、必ずこのネタをおかわりしてしまう……。中村さんもそれを分かっているから、セットに鴨椎茸を出してくれたのだろうな。通ってみるもんだ。

ささみとアボカドの韓国風海苔巻き
ささみとアボカドの韓国風海苔巻き

焼鳥セットとは別に酒の肴も。町焼鳥らしく一品料理も多彩なのだけれど、絶対に外せないのがこの「ささみとアボカドの韓国風海苔巻き」だ。

ありそうでない、取り合わせ。しっとりとしたささみとタレ、アボカド、わさび。それらをまとめ上げる韓国海苔。一口でパクリと味わえば、それぞれの風味が複雑に絡み合うよう……。よく考えるもんだ。やっぱりこの一品、間違いない。

野菜へのアプローチも抜群

ここで野菜串。焼くけばとろり、とろけるズッキーニは、焼鳥屋の夏の風物詩。さらに、「かぶの葉のジェノベーゼ」を添えて香り高く。これが、またうまいのなんの。

「焼鳥から離れてしまわない程度に〝洋〟のアプローチをかけていきたいですね。この塩梅が大事だと思っています」(中村さん)

ズッキーニ
ズッキーニ

せせり
せせり

出逢えたら幸運の「白レバー」

さぁ、串も終盤。「天草大王の白レバーです」と差し出された瞬間、その艶やかな質感に目を奪われた。見るからに脂がのったレバーは濃厚で、歯がいらないくらい。あぁ、嬉しいサプライズ。これさえあればもう二度とフォアグラを食べられなくてもいいと思うほど。

もちろん、この白レバーはいつもあるわけじゃない。地鶏が痩せる夏よりも肥える冬の方が出逢う可能性も高まるというもの。この日は、初夏。ふふ。輪をかけて幸運だ。

白レバー
白レバー

串を7本食べ終わって、もちろん、それでは終われなくて……。いつもどおり、鴨椎茸を追加する。鴨串は「ねぎ」「アスパラ」もあるのでたまにはそれを頼めばいいとも思うのだけれど、結局、鴨椎茸を選んでしまう。天草大王の焼鳥と鴨椎茸。んん。最高の夜だ。

客足も引いた頃。中村さんが「そろそろ店をリニューアルしたいな、と考えているんです」と笑った。扱う地鶏はそのまま。洋のニュアンスを施したコースなども展開したいのだとか。

だとすれば、店の雰囲気だってガラリと変わるかもしれない。でも、中村さんことだ。あくまでも焼鳥屋として進化させていくのだろうな。そうさ。1mmも心配ない。リニューアルオープンしても、きっといい〝住処〟になる。

店舗情報
【店名】とりの炭家
【最寄り駅】赤坂駅
【住所】東京都港区赤坂6-4-21
【予約】03-6868-8668
【定休日】月曜
【串のアラカルト】なし
【鶏メモ】天草大王

毎週、焼鳥三昧! 焼鳥を斜めに逆さ撮りする〝ヤキトリスト撮り〟は元祖にして名刺代わり! 「焼鳥は串柄、人柄」をテーマに、大衆的で気兼ねない町焼鳥から、鶏にこだわり1本1本に心血を注ぐ専門店まで焼鳥まみれの日々を送っています。焼鳥好きの方、フォローよろしくお願いします!

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