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予約殺到! 名店仕込みの味が手頃に。頬張ればムチッと弾ける破壊力【うの/東京】

今回、冒険するのは東京・奥沢の「うの」。最寄りは東急目黒線の奥沢駅。一帯は小ぢんまりとして、駅周辺も閑静な住宅街が広がっている。「うの」は東京を代表する焼鳥屋「鳥よし」やその血統「笹や」のDNAを継ぎながら、独自の道を確立しているのが魅力。地元客はもちろん、遠方からもわざわざ訪れるという名店だ。

焼鳥はアラカルトでもおまかせでも

東急目黒線・奥沢駅から自由通りを南に。奥沢銀座商店街に入って、少し。19時を過ぎればほとんどの店が閉まるなか、ポウッと照らされる「うの」の看板。地下に降りればすでにカウンターはぎっしり。焼鳥好き達が思い思いに串を楽しんでいた。

焼鳥はアラカルトでも、おまかせでもOK。とりあえずおまかせで串を出してもらい、頃合いを見てアラカルトに切り替えることにした。最初からアラカルトという手もあるけど、自分のなかではそういう流れがしっくりとくるんだ。

鞍掛豆(くらかけまめ)
鞍掛豆(くらかけまめ)

まず、焼鳥の前に出されるのは「うの」定番のお通し、鞍掛豆だ。この緑と黒のコントラストがなんとも印象的。いわゆる青大豆の一種で、緑色の部分を馬、黒い部分を鞍掛に見立てたのが由来といわれている(豆知識)。

口に含めば、ふくふくと甘みが広がるよう。肴の定番といえば枝豆だけど、鞍掛豆が出される焼鳥屋はそうそうないと思う。ビールやレモンサワーを片手に、焼鳥の合間にちょいちょいと摘まむのがうまいんだ。

ミッチミチに詰まったつくね

つくね
つくね

待ちに待った1本目は、つくね。つくねにも細挽きや粗挽きがあり、どういう部位を使うかだとか、焼鳥屋によって様々な表情を見せてくれるのだけど、「うの」の粗挽きはちょっと次元が違う……。

つくねでありながら、つくねらしくない。粗いというか「もはや肉?」と思うくらいにミッチミチに詰まっている。それでいてしっとりとして、かたいわけじゃない。この攻撃的な味わいには俄然、食欲に火が付くというもの!

砂肝
砂肝

せせり
せせり

焼鳥屋に来たことを強く実感する砂肝は、ジャクッと小気味良い歯ざわり。このクリスピーさは焼鳥ならではの醍醐味。砂肝は後半よりも前半に食べる方がうまく感じるのは、自分だけじゃないはず……!

続くせせりもボリュームたっぷりで「頬張る」という言葉がピタリとくる。焼鳥屋というのはだいたい出だしの3本くらいで満足度は決まってしまうもの。うーん。さすがは「うの」。もちろん、この日も最高の予感。

急勾配の焼き台が特徴的!
急勾配の焼き台が特徴的!

アッツアツの手羽元を頬張って

手羽元
手羽元

ここで現れたのが、アッツアツの手羽元。よく動かす部位だからか、鶏肉のなかでも手羽元はとくに肉質が締まっている。若鶏だとやや物足りなく感じ、かといって長期飼育の地鶏だと筋張ってかたすぎることもあるわけで……。

そういう意味では、手羽元は伊達鶏のような銘柄鶏が一番食味のバランスに優れているように思う。噛めばムチチッ! と押し返すような豊かな弾力。負けじと塩もパチンと決まって、もうたまらない。いいね。〝口福〟の1本だ。

炭火で焼いたじゃがいもは、間違いない
炭火で焼いたじゃがいもは、間違いない

とろり、とろけるようなレバー
とろり、とろけるようなレバー

酒泥棒のヤゲン軟骨
酒泥棒のヤゲン軟骨

舌の記憶に刻まれる皮

皮

数本挟んで、ようやくお目当ての皮。皮といえば焼鳥屋の代名詞的なネタではあるけど、「うの」のボリュームたっぷりの皮がとにかくうまい。波打つように均整の取れた美しい串打ち。外はカリッと、中はムチッとした仕上がり。

これが何本でも食べたくなるくらいに後味は軽い。それも余分な脂がしっかり抜けている証拠。店に入った瞬間、「これを食べずして帰れるか!」と、ネタ切れになっていないことを切に願うくらいだ。

香ばしい、かしわ
香ばしい、かしわ

クニュッと独特なえんがわ
クニュッと独特なえんがわ

ソリは、ソリまわりの肉も付いて大迫力
ソリは、ソリまわりの肉も付いて大迫力

つい食べたくなるデザート串

さつまいもと卵アイス
さつまいもと卵アイス

「うの」の串はどれもポーションが大きいので、普通の胃袋を持っている人なら10本も食べれば充分、満たされると思う。それでも最後にどうしても食べておきたいのが、このさつまいもだ。

炭火で焼き上げたさつまいもに卵アイスをオン。ホクホクとしたさつまいもの〝温〟と、濃厚な卵アイスの〝冷〟が口の中で溶け合って……。もう、言葉にならないおいしさ。普段は食後に甘いものを口にしないのだけど、「うの」では別腹が出現するのも仕方がない。どうしても、この欲望にはあらがえない(苦笑)。

〆はツルシコの中華そばで

中華そば
中華そば

さぁ、スイーツが別腹なら〆のラーメンも別腹だ。ツルシコの細麺を合わせた中華そばは、ハーフサイズを頼めるのが嬉しい。焼鳥屋にこういう麺があると、つい、というよりも絶対頼んでしまう……。もはや無意識。反射的に頼んでしまう。しっかり串を食べて、スイーツも〆も大満足だ。

「うの」が扱うのは「鳥よし」や「鳥しき」と同じく銘柄の伊達鶏。それなのに、不思議なものでまったく違う表情を見せてくれる。カット・串打ちはパッと見、粗く見えるものもあるし、なかには焦げが目立つネタだってある。でも、どれも「うの」に来たことを実感する。うーん。これだから焼鳥は面白いんだよ。

▼冒険のおさらい

①串はどれも大ぶりで破壊力抜群

②アラカルトでもおまかせでも

③さつまいも&卵アイスは別腹

店舗情報
【店名】うの
【最寄り駅】奥沢駅
【住所】東京都世田谷区奥沢3丁目30-11
【予約】03-3726-4220
【定休日】火曜
【串のアラカルト】あり
【コース・セット】なし
【鶏メモ】伊達鶏

毎週、焼鳥三昧! 焼鳥を斜めに逆さ撮りする〝ヤキトリスト撮り〟は元祖にして名刺代わり! 「焼鳥は串柄、人柄」をテーマに、大衆的で気兼ねない町焼鳥から、鶏にこだわり1本1本に心血を注ぐ専門店まで焼鳥まみれの日々を送っています。焼鳥好きの方、フォローよろしくお願いします!

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