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中野区に超穴場!1本230円の焼鳥は高級店顔負けのハイコスパ!日替わり料理も多彩でリピート確実

今回冒険するのは、東京都中野区上高田の焼鳥屋「焼鳥照喜」。路線でいえば新宿から伸びる西武新宿線。最寄り駅は新井薬師前駅だ。住宅街と商店街のバランスが調和した町並み。飲食店も多くあるなか、駅近の雑居ビル2階にひっそり佇むのがここ「焼鳥照喜」だ。

焼鳥は気ままに頼めるアラカルトだけ

小ぢんまりとした店内はコの字カウンターのみ。焼き場に立つのは店主の前島さん。とくに入口に近い席は焼き場との距離も近く、臨場感たっぷり。脂が爆ぜる音、立ち昇る煙にもう食欲は限界すれすれだ。

肝心の焼鳥は、今どきの焼鳥屋としては珍しく「アラカルト」だけ。そうとなれば好きなネタを好きなように食べられる幸せを噛みしめることにする。それに一品料理も付けて……。うん。これぞ町焼鳥。

まずは、ハツとささみから

ハツ
ハツ

まずは、小ぶりながらもプリッとしたハツから。ハツもカットや打ち、焼きによって随分と表情の変わる焼鳥屋ならではのネタ。これはハツ元側の脂がのった部分も残してあるから、食べごたえも充分だ。

ささみ
ささみ

目を引いたのは、工夫を凝らしたささみ。トップには海苔と梅肉、次はわさび、最後は柚子こしょう。それぞれに風味を添えて、1本なのに3本のネタを味わっているような満足感……。とくにトップの海苔と梅肉が、見た目も愛らしくていいんだ。

菜の花からしあえ
菜の花からしあえ

ぷりぷりのせせりに、サクサクの砂肝

せせり
せせり

続いては、ぷりっと弾けるせせり。うまみと弾力のバランスがいいので万人受けするネタだ。それでも火入れが過ぎると水分が飛び、途端においしくなくなってしまう……。もちろん、このせせりは完璧。たれで食べても、うまいだろうなぁ。

砂肝
砂肝

ここでサックサクの砂肝はいい緩急。こんな風にアラカルトで好きなものを頼んでも、おいしく食べられるよう流れを意識して出してくれるのも、さすが。

しかも、焼鳥はどれも税込230円! 「コスパ」という言葉は主観的であまり好きではないのだけど、このクオリティーでこの価格は「ハイコスパ」としか言いようがないぞ。

焼鳥屋の顔となるつくねも妥協なし

つくね
つくね

丸々として肉塊のようなつくねはジューシーな仕上がりに。「ふっくらと仕上げたいので、むね肉は使っていません」と前島さん。いいねぇ。もも肉を主体に使わないとこうはならない。まるでハンバーグのようで食べごたえ充分だ。

いい焼鳥屋はやっぱり、つくねがうまい。すでに出ているネタを食べて「照喜」がいい店だってことは分かっていたものの、このつくねで再認識だ。んん。さらに期待が高まるじゃないか。

レバー
レバー

一方、レバーはごま油とねぎで風味付けた、大衆居酒屋スタイル! うーん。これは意外な一手。ごま油を使わずに塩だけでも充分成り立つとは思うのだけど、こういう風に仕上げる方がレバーに苦手意識がある人も食べられるだろうな。

椎茸
椎茸

黒板の日替わりメニューは要チェック

「照喜」に来たなら見逃せないのが、黒板の日替わりメニュー。前島さんによると、仕込みによってその日やその週で変わっていくものもあれば、ほぼ定番で出している一品もあるのだそう。

ざっと目でなぞり、いくつか頼んだのだけれど、とくに吸い寄せられたのが「鳥もつトマト煮(バゲット付)」だ。焼鳥屋なのに、唐突な洋のアプローチ。こういうの嫌いじゃない。

鳥もつトマト煮(バゲット付)
鳥もつトマト煮(バゲット付)

炭火で香ばしく焼かれたバゲットにのせるのは、砂肝の端材をやわらかく煮たトマト煮込み。おお、イタリア料理のトリッパ煮も似ている。もう、食べる前からうまいに決まっているじゃないか……。

ザクッとしたバゲットの香ばしさを追いかけるように、トマト煮のふくよかな甘み、うまみが広がっていく。これは酒も抜群に合う。また来たなら、リピート確実だ。

鳥のたたき山かけ
鳥のたたき山かけ

カリジュワの皮は必食!

皮(塩)
皮(塩)

そして、必ず頼みたいのは皮。厚みのある皮(この日は水郷赤鶏の首皮)を焼き上げていく。焼鳥屋にとって皮はコストの低いネタではあるけれど、ここまで香ばしく仕上げるには、じっくり時間をかける必要がある。

噛めばカリッと弾け、中はもっちりと。甘い脂がジュワッとあふれてもう、たまらない。町焼鳥に来たなら、やっぱり皮は外せないなぁ。

あまりにもうまいものだから、すぐさま皮のたれを追加。こっくりとしたたれをまとった皮の香ばしさも、いい塩梅。

皮(たれ)
皮(たれ)

鶏を生かしきることが焼鳥職人の使命

絶え間なく入る注文に、焼き台はところ狭しと串が並ぶ。どれだけ忙しくても一人ひとりに1本ずつ出すことは変わらない。なんて言ったってすべてアラカルトだ。そういう姿を見ると「さすがは職人」と感心するばかり。ただ驚くことに、前島さんは焼鳥屋で修業したことがなく、独学なのだとか。

「20代の頃はサラリーマンをしていたんです。新井薬師前は縁もゆかりもありませんが、兄弟で飲食店を開くのが夢だったんですよ。今は同じ町で兄弟それぞれ焼鳥屋をやっているんですけどね(笑)」

前島さんとスタッフの太田さん
前島さんとスタッフの太田さん

そんな前島さんはスタッフの育成にも余念がない。日々焼鳥に打ち込む一方、自身が培ってきた焼鳥や料理の技術を後進に託したいと思うようになったのだという。

「技術うんぬんも大事ですが、それ以前に鶏の命をいただいて成り立つ仕事です。だからこそ二度は命をとらず、焼鳥として生かしきることが職人としての使命。それを伝えていきたいと思っています」

▼冒険のおさらい

①焼鳥はアラカルトのみで1本230円

②皮とつくねは必食!

③日替わりメニューも多彩

店舗情報
【店名】焼鳥照喜
【最寄り駅】新井薬師前駅
【住所】東京都中野区上高田3-40-5
【予約】080-4372-4647
【定休日】月曜、第2日曜
【串のアラカルト】あり
【コース(セット)】なし

毎週、焼鳥三昧! 焼鳥を斜めに逆さ撮りする〝ヤキトリスト撮り〟は元祖にして名刺代わり! 「焼鳥は串柄、人柄」をテーマに、大衆的で気兼ねない町焼鳥から、鶏にこだわり1本1本に心血を注ぐ専門店まで焼鳥まみれの日々を送っています。焼鳥好きの方、フォローよろしくお願いします!

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