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【杉並区】荻窪で平日昼だけ営業する間借りカレー、その名も「平日昼だけ」の和風に徹したカレーが絶品!!

酔街草エディター・ライター(東京都杉並区)

ラーメンとカレーライスは、今や国民食と称されるほど絶大なる人気を誇り、日本人は元より、近年では訪日するインバウンド達の舌を虜にしているのは言うまでもない。

”荻窪グルメ”と聞いて、ほとんどの人の脳裏に浮かぶのは「ラーメン」かもしれないが、荻窪は『トマト』や『すぱいす』、『吉田カレー』といった名だたるカレー専門店が鎬(しのぎ)を削る、カレー愛好者にとってはまさに聖地でもある。

そんな超有名な行列必至店を尻目に、酔街草が開店当初から気になり、何度か足を運んでいるカレー専門店が『平日昼だけ』だ。

日中が空いているバーを間借りし、「和だしそぼろカレー」1種類だけで孤軍奮闘するという、この店名宜しく、なかなかユニークな営業スタイルが気に入っている。

もちろん、スパイシーさを追求する他のカレー専門店とは一線を画した、蕎麦屋のカレーの如き滋味深い味わいにも、たちまち魅了されてしまった。

JR荻窪駅の北口から線路を右手に見ながら阿佐ヶ谷方向へ2分ほど歩く。『ラーメン久保田』『もつ焼カッパ』『鳥もと本店』などが居並ぶ裏路地の右手、『Bar Flourish』の緑の看板が目印だ。

この小路に精通している方なら”『ラーメン十八番』の右奥隣り”と説明したほうが早いかもしれない。

木材を基調とした山小屋風の店内は、バーにしては明るくて清潔感に満ちている。こじんまりとして落ち着いた雰囲気を醸し出し、カレーの営業時の席はカウンター4席のみ。

店主の小山直昭(こやま・なおあき)さんは、荻窪生まれの荻窪育ち。都内の創作和食の店をはじめ、焼肉店やダイニングバー、寿司屋、長野でラーメン店の立ち上げを手伝ったりと、多岐にわたる飲食店の経験を積んでいる。

「東高円寺で喫茶店をやっている人とたまたま知り合いになり、”平日昼だけなら店を貸してあげられるよ”となって。店の雰囲気からカレーならできそうだ、と思ったのが、そもそもの切っ掛けです。ええ、カレーの知識はゼロ。まったくの白紙状態から始めました。ただ、和食系の引き出しが多かったので、出汁を使った蕎麦屋のカレーになったのは自然な成り行きでしたね」

2017年に店名を『平日昼だけ』に決め、ランチ営業をスタート。その後、東中野に移転、さらに目黒(テイクアウト専門店)を経て、2020年の12月から荻窪へと拠点を移した。

折りしもコロナ禍に見舞われるが、昼営業の業態が幸いしたのとテイクアウトで乗り切った。現在は全てワンオペレーションで賄っているため、朝7時半には店に出て仕込みを始めていると言う。

メニューは「和だしそぼろカレー」(880円)の1種類のみだが、トッピングメニューとして、豚の角煮をイメージして出汁に4〜5時間煮込んだ「ブーたれ」(+350円)と、鰯の土佐煮を参考にした「いわしの生姜煮」(+250円)が用意されている。

どちらも、ホロホロとした柔らかな食感と染み込んだ出汁の風味が堪らなく旨い!

和風の出汁には、鰹節、昆布、どんこ(干し椎茸)、いりこ等がふんだんに使われ、そこに独自に調合したスパイスと”かえし”を合わせている。

ちなみにカレー粉に負けない出汁にするため、鰹節は通常の2倍の量にしているそうだ。カレールーに生の玉ねぎスライスをさり気なく忍ばせているのも一興。

ごはんの上には、「肉そぼろ」「大葉」「梅干し」「かつお節」「揚げ玉」「たくわん」「酢漬けのみょうが」「昆布の佃煮」がデフォルトで盛り付けられている。これらの全てが増量可能。逆に苦手なものは注文時に抜いてもらえる。

「最初はごはんの中盛りと大盛りしか無かったんですが、和風にこだわるならトッピングを色々考えてみようということになって。常連さんのリクエストや料理人仲間の意見を参考にしつつ、少しずつ増やしていった感じですね。昆布の佃煮なんかは、出汁をとったり、ごはんを炊く時にも使うので大量に出ますし、有効利用ということで」と小山さんは目を細めた。

ちなみにカレーではお馴染みの「福神漬け」や「らっきょう」が無いのに気付いたのだが、他の和風のトッピングとの相性や、スタンダードなカレーとの差別化を意識しての選択なのかもしれない。

トッピングメニューとして、「ひきわり納豆」(+100円)、「温泉玉子」(+100円)、小ネギと玉ネギをスライスした「ネギまみれ」(+100)も見逃せない。さらに和風度が増していくはず!

卓上には「出汁しょうゆ」と「山椒」が、好みに応じて味の調節ができるように置かれている。これも”七味だとカレーうどんと変わらないから”との店主のこだわりなのだ。

カレー皿も染付け様の和皿を使用。小山さんが骨董屋などを巡ってコツコツと集めた1点ものも含まれているそう。

『平日昼だけ』のある荻窪銀座商店街には、酔街草が夜ともなれば出没する酒場やラーメン店などが多く、ここでランチすると”平日昼も夜も”通う羽目になってしまうのだが致し方あるまい。(笑)

願わくば「和だしそぼろカレー」をキリリと冷えたビールか純米酒と一緒に味わいたいところだが、残念ながら営業許可の関係で店舗内では提供できないのだとか・・・。

その代わり、ソフトドリンクの店内持ち込みは構わないのだそう。ま、そもそも4席のみの店で長居は野暮と言うもの。呑兵衛の戯言とご笑止されたい。

さてさて、今日も大満足。ご馳走様!

『平日昼だけ』
住所:杉並区上荻1-4-3『Bar Flourish』内
アクセス: JR中央線・東京メトロ丸の内線「荻窪駅」北口より徒歩2分
営業時間: 11:00〜14:00 (土日祝休み)
『平日昼だけ』公式X 公式Instagram

エディター・ライター(東京都杉並区)

中央線沿線の街並みとお酒をこよなく愛する、元・雑誌編集者です。長年に渡って杉並区の荻窪に在住。居酒屋をはじめ、グルメに関する話題・スポットを中心に、皆さんの役に立つ情報を発信して行きます。

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