【札幌市北区】「ゲイシャコーヒー」ってなに?専門家のいるお店に行って聞いてみた!
最近耳にすることが増えてきた「ゲイシャコーヒー」。
それはなに?
そしてたぶん、知りたいのは「芸者と関係あるのか?」ではないでしょうか。
私ことゆべーるは、偉そうにコーヒースタンドで「やっぱりゲイシャは美味しいよねー」なんて言っているのに、まったく実は知らなかったのです。
ということで、浅煎り系スペシャルティコーヒーでは、とてもユニークな活動をしている店主がいるコーヒースタンドがあると聞き、「時計のない喫茶店」に教えを請うべく行ってきました。
北海道大学に程近い南向きの一角に、そのお店はあります。
なるほど、コーヒーとお酒があって、時間を忘れるようなお店なのか?
と想像しつつ入店。
お見受けしたところ、少しシャイな感じのする店主。
実は彼と僕の共通の友人がいるので、今回はその紹介でお会いできたのです。そのお二人は実は札幌ではよく名前を知られた、某コーヒーの名門系列にご縁がある方々。
いっぽう、私はといえば単なるコーヒーオタクですが、かつてその名門コーヒー系列の源流のひとつである、表参道の名店に通いつめていました。コーヒーがつなぐご縁を感じました。
そして時は経て数年前、店主は神保町などにある浅煎り系スペシャルティコーヒースタンドに魅せられて、それからヨーロッパや日本各地のスペシャルティコーヒーの情報とテクニックを取り入れるようになったとのこと。
ちなみにその東京の名店は、私が現在東京でよく行くスタンドのひとつ。また店主に親近感が湧きました。
そこで、彼にであれば聞ける、と思って私は勇気を出して聞いてみたのです。
すみません、今更ですが、
「ゲイシャ」ってなんでしょうか?
「ゲイシャ」の正体がわかった
店主はニコッと笑って、いいます。
「まずはこれを飲んでみてください。」
ワインのようにグラスに入って、そのコーヒーはやってきました。
かなり明るめの色調です。
そして、香りを嗅ぎ、口に含むと
うわ!
よく知っているフルーツの香りがくっきり!
そう、これは
「まさにいちごだと思いませんか?」
と店主。
まさにいちご!
(注意 いちごが入ってるわけではありません!)
浅煎り系スペシャルティコーヒーは、もともとのコーヒーチェリー(果実)の個性が強く残ります。コーヒーの果実は、見かけはさくらんぼうそっくりで、果肉は少ないものの甘い果物の味はしっかりするのだそうです。
ふだん我々の飲んでいるコーヒーはその種子を取り出して焙煎しているのですが、生豆のニュアンスが残れば残るほど、ベリーや柑橘のようなフルーツの香りや味に近いものが感じられます。
これが、「ゲイシャ」です。
と店主は笑顔で教えてくれました。
そうか、「ゲイシャ」とは、コーヒーの品種の名前か!
元々エチオピアで発見され、パナマのエスメラスダ農園のように中南米で21世紀に入って再評価された品種の名前でした。
決して芸者ではありませんでした。
口にしなくてよかった。。。
エチオピアの「ゲシャ」という地域で発見されたのでこの名前だそうです。なぜ「ゲイシャ」になったのかは諸説ありますが、一説には、日本人がゲシャをゲイシャと呼んだとか呼んでいないとか。。。そういう点では「ゲイシャ」という呼び方には日本人が寄与?しているのかもしれません。もっともGeshaという綴りを一部の英語圏の方が呼ぶとゲイシャになる可能性もありますね。
現在、飲用に使用されているコーヒーの種類は、アラビカ種、ロブスタ種、リベリカ種の3種です。ゲイシャ種はもっともポピュラーなアラビカ種の一種です。
酸味と甘味がフルーツのように強く、香りがとても良い一方、収穫できるコーヒーチェリーが少なく、かつデリケートな環境が必要なために、希少価値が高いのだそうです。
今では中南米がゲイシャコーヒーの産地として有名ですが、元々はエチオピア由来の品種。エチオピアの程度の良いゲイシャは、まるでいちごのような芳醇で、鮮烈な香りを感じることができるのだそうです。
私の感想では果肉の風味はもちろん、ヘタに近いところのようなフレッシュなグリーンノートもしっかり感じました。少し冷めてくるとローズティーやミントの香りもしてくるという不思議な、でも素敵な体験でした!
浅煎りコーヒーと深煎りコーヒーでは魅力ポイントが違う
私とこちらの店主は、コーヒーマニアとコーヒーの専門家という立場の違いはあれども、同じ感覚を持っていました。それは「深煎りなだけのコーヒーは、苦手だなあ」という感覚です。
いつかきちんと理由を調べて書いてみたいのですが、札幌のコーヒーの味がとても深いのは東京やアジアでも有名です。
深煎りの魅力というのも、もちろんあります。以前取材させていただいた寿珈琲さんやhato coffeeさんのように、個性的で主張のきちんとしたフードを受け止めるのには最適な深入りコーヒーを出す名店もあります。これは札幌の誇るべき文化でしょう。
浅煎り系スペシャリティコーヒーは、風味が繊細なため、クリームやフルーツがたっぷりのフードとは、なかなか合いません。スコーンやマフィン、シンプルなナッツ系のタルトなど、コーヒーの風味を引き立てるペアリングが主です。あくまでもコーヒーそのもの、あるいはコーヒーメインに楽しむスタイルであり、フードにポイントがある場合は、深煎りを個人的にはおすすめします。
たとえば、コーヒーと一緒にベリーのついたケーキを食べるのではなく、コーヒーの中にベリーを感じてみたいならば、生豆の魅力がたっぷりの浅煎りのスペシャルティコーヒーをためして見るのも良いと思います。
浅煎りと深煎り、使い分けて楽しんでいきましょう。
「時計のない喫茶店」
店主とコーヒー談義をしながら、まるでノンアルコールのナチュラルワインのようなグラス一杯分の浅煎りコーヒーでホッとした、良い時間となりました。
もちろんコーヒーにいちごの味がすると言っても、それは個人の記憶を引き出しているだけですから、人によって変わります。私の大好きな作家マルセル・プルーストは、「失われた時を求めて」の中で、紅茶に浸したマドレーヌから幼少期をどんどん思い出すという有名な描写をしています。
味覚や嗅覚は、個人的な経験と深く結びついています。私たちがそれぞれの「プルースト体験」を持っているはずなので、イチゴと感じるのも個人次第。人によってはさくらんぼうかも知れないし紅茶かも知れません。山で取ったコクワの味を感じる人もいるでしょう。面白いですよね、香りや味覚を通して、自分の昔を思い出すのは。
「時計のない喫茶店」という変わった店名は、音楽の曲名からとったそうです(もちろん店内に時計はありません)。しかし私には、時計がない、という言葉の真意は「時間に縛られないで自分の記憶と出会うことができる空間」だ、と感じられました。香りや風味が豊かな浅煎り系コーヒーは。特にこうした個人の過去と出会うきっかけになりやすいのではないかなと思うのです。
コーヒーは、アートにも繋がる
そして店主のもう一つの情熱は映画、そして映画音楽!
店内にはフランスのミニシネマのポスターなどが飾られ、簡単な上映もできるようにスクリーンも実は設置されているそうです。
こちらはもっと時間をかけて、改めて聞いてみたいと思います。映画や音楽もコーヒー同様、個人の記憶を刺激して、豊かな時間を紡いでくれますから、コーヒーと良い組み合わせになるでしょうね。
また個人の記憶にタイムスリップできるような素敵な浅煎りコーヒーを探しに「時計のない喫茶店」に行ってみたいと思います。
【ご注意】
コーヒーの内容や値段は、紹介したゲイシャも含めてこだわりの小ロット取り寄せであることや焙煎の状況によって、短いサイクルで変更します。掲載しているものがすでにない可能性もあります。
不定休もありますので、行く前には、必ず公式Instagramなどで現在の情報を確認してください。
■時計のない喫茶店■
営業時間:
火曜日〜金曜日:10:00〜18:00(17:30ラストオーダー)
土曜日:12:00〜21:00(20:30ラストオーダー)
日曜日:12:00〜19:00 (18:30 ラストオーダー)
定休日:月曜日
住所:札幌市北区北17条西4丁目1−11
コーヒー豆の公式販売サイトは、こちら
公式Instagramは、こちら
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