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【札幌市中央区】「もう一つの豊平川」?山鼻川に迫ってみた!

ゆべーる地域クリエイター(札幌市)

山鼻川をクロスバイクにて探検?してきました。

実はこの前日の9月14日、ATWS(アドベンチャートラベルワールドサミット)2023のコースの実証事業モニターツアーに参加した時に、山鼻川の合流点より上流の豊平川の水量がかなり少なめである、ということに気づいたからなのです。

山鼻川は、古地図にも掲載されている天然河川です。源流は藻岩山、その南側を山をなぞるように流れている小さな川です。

ただし単なる天然河川かというとそうでもありません。

豊平川本流と山鼻川の合流地点より約12kmほど上流の簾舞(みすまい)にある「藻岩発電所取水堰」から汲み上げた水を、送水管などを使い藻岩山の麓まで引き、南33条付近で水力発電を行っています。

発電に使用された上流の綺麗な水は、南30条付近で山鼻川に加わります。そうして更に南27条付近で豊平川本流に合流(というか元に戻る)するのです。つまり山鼻川最下流の数百mは、天然河川に加えて放水路としても性格も持っているのです。

豊平川を遡上。

それでは少し豊平川を遡り、いくつかの地点の水量を確認してみましょう。

幌平橋のあたりではすでに山鼻川は豊平川と合流しています。この付近にはたっぷりの水量が流れていて、鮭の遡上を大いにアシストするでしょうね!

しかし、幌平橋ではこのような水量があるのに、

そこよりたった2km上流のミュンヘン大橋付近では、山鼻川がまだ合流していないので、このくらいの水量しかありません。

そこから更に5kmほど上流に位置する藻南橋では、底が透けて見えるほどの水量のみでした。

「藻岩発電所取水堰」から山鼻川合流地点までは、豊平川の水の一部が人造の水路を伝って流れているわけです。つまり「もうひとつの豊平川」を迂回していると、言えなくもないでしょう。

ちなみに9月14日(前日)、そのATWSのツアーで取水堰より上流の錦橋付近でカヌーをしましたが、水量は藻南橋付近より多い印象でした。

写真ではわかりにくいのですが、カヌーガイドさんのお話では、このあたりの最深部は4mほどだそうです。しかし取水堰より下の藻南橋付近は、昔は深かったのかもしれませんが、現在ではそれよりかなり浅そうです。

「豊平川の水量は、藻岩発電所取水堰から山鼻川合流までの間は少ない」ことが言えそうです。

合流点を確認。

それでは合流点はどうなっているのか?、ということをこの目で確認したくて、お次は2つの河川が出会う地点に行きました。

合流地点においては山鼻川は、豊平川本流に迫る水量があり、水質も清冽です。

奥が豊平川本流、手前が山鼻川です。ここで釣りをしている人もいました。ルアーでしたので、大物が潜んでいるのでしょうか。

山鼻川を遡上。

それでは。今度は山鼻川を少し遡ってみましょう。

わかりにくいですが、水がとても綺麗なためか、トンボや羽虫がたくさん飛んでいました。なるほど、これならばある程度のサイズのサケマスの仲間は釣れるかもしれません。おそらくはネイティブのニジマスかアメマスでしょうか?

少し上流に遡ると、小さな公園と碑がありました。ここでどうやら発電のための水が放水されて合流しているようです。

その碑には、この川の整備に際して多くの労働者の犠牲があったと書かれています。この辺りは事実として受け止める必要はあると思います。このような巨大なプロジェクトの陰で、いろいろなことがあったのだな、と考えさせられました。

そこから上流は天然河川だけの小さな穏やかな川となります。

エゾサンショウウオもいるらしいのですが、残念ながら出会えませんでした。なおこの付近はほぼサイクリングロードではなく細い道です。場合によっては自転車を押して歩きましょう。

そうして、ナナカマドが満開!紅葉もスタートしていました。(9月15日の訪問です)

そうして、昔は何か思いがあって作られたのだろうな、ということをしのばせる親水公園のようなスペースに出逢います。

その上流の源流部は、さながら小樽の奥沢水源地の超小型版のように、段差が綺麗な小河川でしたが、しばらく登るとなにやら森からがさっと大きい音が(後から知りましたが、ここより都市部の札幌ドームでも同日、山親爺が出ましたよね)。

まさかね。

というわけで今回はそこまでとし、記念撮影をして暗くなる前にまた川を下って戻りました。

見えてきたこと。

果たして、山鼻川という川があったから、豊平川の中流域の水位低下を招き、鮭の遡上を困難にした、というべきなのか?

それとも、別ルートを経由することによって川底から地下水に吸い取られる分を少なくし合流点にフレッシュな水を大量に供給できるおかげで、合流地点より下流の水質と水量確保にむしろ貢献し、その付近までの鮭の遡上を大いに助けているというべきなのか?

簡単には結論が出ない問題ですが、鮭(とサクラマス)の遡上と河川利用の良い関係性、ということについては、今後も考えていきたいと思いました。

■山鼻川岸の公園情報■

山鼻川緑地については、こちら。 

住所:札幌市南区南33条西11丁目3

地域クリエイター(札幌市)

通訳案内士(全国&札幌)、そしてライターや町おこし組織の認定ガイドとして、いつも札幌市内の出来事やおすすめ情報を探しに歩いてます。コーヒーショップ、ワイン、レストランなどが大好き。またホルン奏者でもあります。

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